097⚫️アキラとジンは二日酔いになるほど、何を話したのか
馴染みの店の扉を開け、カウンターに座った。
ジンの自宅以外で一緒に飲むのは初めてだ。
オレはいつものバーボン、ジンはワインをオーダーする。
こいつ、本当にワインしか飲まんのか?
「ん? 何か不思議そうな顔ですね、アキラさん。」
やっぱりこいつ、魔法使いだよな。オレの心を覗くんじゃない!
「アキラさんの言う通り、戦闘なしで解決できるのが一番いい。古代の兵法書にもありますよ。’百戦百勝は善の善なる者に非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり’と。」
「だが、実際は違う、ってことだよな。」
オレたちは共に随分と戦ってきた。
幸運にも命を奪わずに済んだだけだ。
もしオレやエイミー、ココアが本気を出したら・・・
そこにジンの策が加われば・・・一軍に匹敵する。
だからこそ、オレはふと不安になる。
「だからよお・・・ホントにオレたちって、意味あるのかあ?」
「アキラさん、飲み過ぎですよお。新月期だからって’今なら酔える!’はダメですよお。」
「そういうあんたも、ボトル3本目じゃねえか。普段そんなに飲まんだろ?」
「いやあ、わたしも、ちょっとばかりヒトのやることに、イライラがたまってましてねえ。」
「それでストレスが外で爆発するとヤバいから、いつも家で飲むのか?ホントは酒乱なんじゃねえか?」
「そうですねえぇ。ずっと話し続けるクセがあるみたいです。」
「じゃあ、いいじゃねえか。オレは暴れたくなるからよお。」
「あっ、だから満月期は酔えないようになってるのかあ。’天の配剤’ってやつだあ!」
「うるせえ。なんかどっかの壁を殴りたくなってきたぞお!」
「新月期でも、アキラさんが本気出すとコンクリ壁に大穴あきますよお。やめたほうがあ、いいんじゃないですかあ?」
「酔っ払いの忠告、ありがとう! あんたもだいぶグダグダだぞ!」
「これはいけないなあ・・・マチルダとバーバラみたいだあ。」
「だれだあ、そいつら? ココア以外に誰かいるのかあ?」
「そりゃあ、交友関係は広ろおく深あい・・・あ、眠い・・・。」
こうしてベロベロになったふたりは、支払いを済ませ、かろうじて帰路についた。
翌朝。
アキラは分室の壁を破壊したことでエイミーに叱られ、
ジンは二日酔いのまま出勤した。
’日の巫女’イヨが、
「もう、おとなの男の人って!だめなんだからあ!」
と呆れながら治癒能力を発揮してくれた。
めでたし、めでたし・・・と言っていいのかどうかは、微妙である。
アキラとジンがふたりで飲んだことへのエイミーの怒りは、第14部 096⚫️壁を砕く拳 https://ncode.syosetu.com/n3335mj/73/ ご参照ください。
イヨの治癒能力については、第6部 088⚫️遠い昔に見た光 https://ncode.syosetu.com/n2790md/77/ あたりをご覧くださいませ。




