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070⚫️功なりて名を変ず
あの英雄の幼名として知られる「日吉丸」だが、史実に照らせば不自然さを孕んでいる。
戦国期の農民階級の子が「丸」を名乗るのは’身分’不相応であり、「日」と「吉」を重ねた瑞祥の響きも、太陽の申し子という伝説を補強するため、後世の作者が盛った可能性が高い。
実際には「小竹」のような地味な名であったとされる人物が、立身出世の果てに「日吉丸」という輝かしい幼名を“与えられた”のだとすれば、それは本人の願いであるのか、はたまた、大衆が天下人に投影した理想像であるのか。
歴史を塗り替えた男には、凡庸な名は似合わない。歴史という舞台が生んだ、最大級の’名の後付け’。それが「日吉丸」である。
「予は名を変えるぞ。たった今からラグナ・ヴァル・ゼルドではない。レグナス・ザルン・エイン。今後、それが予である。」
レグナスは勝利を成す者、ザルンは力の象徴にして王権の印、エインは唯一を意味する。
常勝にして唯一無二の王権を体現する名である。
以後、ゼルド・ファルマ王国はエイン・ファルマ王国と改称された。




