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005⚫️道楽観光
「なんだ、運び屋のダンか。また面倒なモンを持ち込んだのかよ。」
カウンターの奥、くすんだグラスを手にしながら老人が顔を上げた。
「久しぶりだな、じいさん。実は腕のいいパイロットを探してる。女がいい。」
老人は琥珀色の液体を口に含み、値踏みするように目を細めた。
「腕利きなら掃いて捨てるほどいるさ。自称だがな。」
「美人がいい。歳は関係ない。どうだ?」
「おめえさんは’迷’パイロットだ。十分じゃねえか。わざわざ探すってことは・・・理由ありだな?」
ダンは親指で店の外を指し示した。
「あのお嬢様が航穴を通って’お忍び観光’したいって言ってるんだよ。道楽だよな。オレじゃ不安だ、同性がいい、ってワガママなオーダーだ。」
老人は低く笑った。
この街で’道楽’という言葉は、最高級の酒より甘く響く。
「景気がいい話だな。・・・おめえ、口は固かったよな?」
「固いなんてもんじゃない。口が裂けても秘密は言わねえ、鋼鉄の唇を持つ男だ。もっとも、口が裂けたら、なんも喋れんがな。」
老人はニヤリと笑い、指を一本立てた。
「情報は高いぞ、運び屋。その道楽娘、どれだけ積める?」
ダンは迷わず言った。
「決まりだな。教えろよ、じいさん。」




