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050⚫️見えない探索者
ムサシは球状形態のまま、次元の境界に広がる薄い層を音もなく滑っていた。
亜空間の澱みに潜むその姿を、この世界の住人が視認する術はない。
アーレン工廠。
飛び散る火花と槌音の中、ムサシは人や資材の奔流をただ淡々と『記録』する。
組み上がる艦の竜骨、積まれる海獣皮の厚み。
新造高速艦の設計図が、冷徹な信号へと置換されていく。
次なる転移先は、薄暗い地下。
押し殺した声、錆びた鋼の匂い。蜂起を待つ反乱分子の脈動。
それらも等しく、ひとつの情報として整理される。
ムサシは短く同期信号を放つと、再び位相をずらした。
風は凪ぎ、光は歪まない。
境界の向こう側では、無数の’ムサシ’が今日も世界線を跨ぎ、
果てなき観測を続けている。




