032⚫️束の間の間のささやかな休息場
激戦の続く都市の大通りに、その立ち呑み屋が店を構えている。
「らっしゃーい!すんません、混んでるもんでねえ。」
「ええで。よっこいしょ、っと。すんません、半身ではいらしてな。」
「なんにします?」
「’トリアエズ・ビール’おいてる?」
「あいよ!つまみはサービスだよ!」
「うーん、うまい!おっ、今の爆発音はでかいなあ。」
「あんた、みかけない顔だな。どこのファミリーだ?」
「わし?エンターサプライズ、ってちっちゃあいやつやで。」
「へっー。俺、グレート・キャッツのもんだ。よろしく!」
「ほーですかあ。たいへんやね、ここ。」
「そうでもないさ。あっ、おっさん、ありがと!」
「あの人、なんですのん?焼き鳥一本置いてってくれんの?」
「ああ、あれはウチとドンパチやってる、ビッグ・マッキーの人。」
「あれ?もめてんのとちゃうん?」
「いやあ、この店の中だけは休戦協定があってね。こんなとこがないと、俺らやっていけないからな。」
「へっー、そうですんか。ああ、そやからここには、弾、とんでけえへんのか。」
「そうそう。このあいだなんか、夜更けまでグチの言い合い。いやあ、スッキリしたなあ。」
「ふーん。そやけど、一歩ここでたら、撃ち合いになってまうのん?」
「まあ、暗黙の了解で十数える間は、狙わんということにしてるんだよな。」
「そりゃあ、えらいなあ。なんか、トップよりずっと律儀ですやん。」
何度もこの店に通う中で、グレッグは、レオル・ヴァンデの居場所について貴重な情報を掴んだ。




