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027⚫️融点
街は既に、逃げ場のない市街戦の坩堝と化していた。
あちこちで爆弾が火柱を上げ、至る所に死の罠が仕掛けられる。
住民たちは時期を逸したのではない。
逃げる間もなく、混沌という名の濁流に呑み込まれたのだ。
縄張り争いという名の徹底抗戦。
若い男たちは、家族のため、カネのため、あるいはただ生き残るために、何かに憑かれたように戦場へ身を投じる。
一方で、彼らを動員する幹部たちは安全な奥地で居場所を転々とし、財力と威圧をもって、名もなき命を次々と戦火へ焚べていく。
逃亡は許されず、待つのは死のみ。
もし、命に「融点」があるとすれば、それは今、この場所で観測できる。
過酷な熱量に晒され、個々の人格も願いも、ドロドロに溶けて「消耗品」へと成り果てるのだ。
命に代えても守るべきものは、本当にあるのか。
命に代わる宝などないというのは、ただの幻想なのか。
今日もまた、’魔界都市’の路地裏で、
数えきれない命が融点に達し、
静かに消えていく。




