第28話 ノンストップ
「…あ、どうも」
風が吹く。
男のコートが揺れる。
「…は?」
猛スピードで動く電車の上で私と不審者の男は見つめ合う……いやこの状況だったら私も十分不審者か
「なんだテメェ、なんでガキがこんな所にいやがる」
「こっちこそ、貴方ですよね電車の電子機器を変にしてる犯人は」
「だとしたらなんだ、ガキンチョは大人しく帰んな、俺は仕事で忙しい」
「仕事?何を言って…ねえ!!ちょっと聞いてます」
男は鼻で笑いながら私に背を向ける、あの人話聞く気がない、私が子供だからって舐めてるんだ。
まずいこのままだと逃げられる、早くどうにかしないと、みんな死んじゃう…こうなったら多少強引でも。あの人を止める。
私は能力で拳銃を作り出すと、威嚇射撃で引き金を引く。
バンという音が高らかになり響き、音かは驚きでゆっくりと振り返る。
「あ!?拳銃まさかボリがき…」
私は男に拳銃を向ける。
「た……と…またお前か」
「う、動かないでください」
「じゃかましいお前、ガキは帰れって言ってんだよ、変にリアルな拳銃なんて持ち出しやがっ…」
完全に舐められてると感じた私は男の手を狙って引き金を引く、拳銃から弾丸が放たれ、弾丸は男の手に当たったが、弾丸はそのまま男の手をすり抜けた。
「え?」
弾丸が当たったのに…すり抜けた。
私がそんな異質な状況に驚いていると、男は男で別の理由で驚いていた。
「は?待て待て待て待て、おいおいおいおい…それ本物じゃねえかよ、なんでテメェみたいなガキが」
「う、動かないでください」
「おい命令してんじゃねえよガキが、なんでテメェみたいなガキが銃持ってんだって話だ」
「そんなことより能力を使うのをやめてください、このままじゃ人が…」
「と言うかよぉ……よくよく考えりゃこりゃ…まずいよなぁ」
「なにが」
「これりぁあくまで事故なんだ、事件じゃねえ…依頼は事故を起こす事だ、誰かに見られたらこりゃ事故じゃなく事件だ」
「な、何を言って」
「こりゃまずいな、これじゃあ事件じゃねえかよ、くそが…」
「あの…すいません、話聞いてくれませんか、早くしないと!!人が!!」
「いや、問題ない」
「…え?なんて」
「こうすりゃ事故だ」
ぶつくさと呟いたかと思うと全身から殺気と電気を放ちはじめる、この流れは…まずい。
「下の連中より先に死んでもらうぜ」
男がそう言うと体から溢れ出てる電気を私に向かって放ってくる、突然のことに驚きながらも私は咄嗟に絶縁体の壁を作り出し電気を防ぐ。
「あ?」
な、何なのあの人、いきなり攻撃してきた、と言うか普通に殺す気だったよね、私が能力でこの壁作らなかったら普通に電気で殺されてた。
「い、いきなり何をするんですか」
私は壁から少しだけ頭を出す。
「そんなくだらないこと聞いてるんじゃねえよ、殺すんだよ今からお前を」
「何でですか、そもそもなんでこんな事をするんですが、電子機械をおかしくしたら、能力者の人達が苦しんで…」
「あのなぁ…そんな事理解してないと思うか」
男の足元に青白い火花が散り、電車の屋根が一瞬だけ赤熱した。
男が電気を放ちながら高く飛び、私の作った壁を軽く飛び越えながら、私を狙って電気を放出し、私は自分を取り囲むように壁を作り電気を防ぐ。
「くっ…」
電気は分子じゃないせいで私の能力が効かないのがめんどくさい。
「もう!!」
壁を消しながら反対側に着地した男に銃を向ける。
「さっきから何なんですか」
「お前バカだろ」
「はい?」
「俺に銃は効かないし、俺は今電車が進んでいる方にいるんだぜ、今ここで撃ったら自分に飛んでくるぜ、ほら…あれだけ……相対性なんとかだ」
そっか…電車が進んでる側に銃撃ったら意味ないじゃん。
「何が目的なんですか」
「質問したいのは俺だ、お前何者だ…その銃も能力で作ったのか、壁の生成もだ……そんな力を持っておきながら、なんで規制装置をつけてない、つけてたら下で苦しんでるはずだ」
「やっぱり…首輪を壊したのは貴方ですね」
「だ か ら 質問するのは俺だ、お前じゃない、なんで規制装置をつけてない。お前みたいなガキみたいなヒーローなわけがない…まさかシグマの仲間か」
「シグマ?ねえ誰のこと言って」
「間違いねぇ、ガキで 強力な能力を持ってて 規制を受けてない……あいつの仲間だろ、間違いねぇ…間違いねえぞ」
「あ、あの……ねぇ」
何だあの人、全然話が通じてない、と言うか話をする気がない。同じ言語を使ってるはずなのに
それに何が目的かわからないけど、電子機械のおかしくして、電車内の人を殺そうとしている。
何が目的なのか知らないけど、とにかく今ここでこの人を止めないと、全員が死ぬ。こんな事件が起こってるのに電車は止まる様子がないってことは…
運転手の人が能力者か、それかあの人か制御装置か何かを壊したか何かで多分電車が止められないんだ、どこの駅で止まるつもりだったのかは知らないけど
このまま走らせたら危ないのは何となくわかる。
だから早く止めないととんでもないことになる。この人はここで止める。




