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第4話 娯楽町

 映画館――上映中。


『クローシス……いや、私の可愛い妹よ』


 大きな画面には、一人称の映像がずっと流れている。


 今流れている映像はクライマックスだろうか。檻から面談室に移動した主人公の目の前には、妹さんがそこにいた。


 金髪で、主人公によく似たとても可愛い妹さんだ。


 私にも、こういう妹とかお姉さんとか、いたのかな……


『は、はい……お姉様』


 軍服を着た妹が主人公に近づくと、主人公は自分の胸についた軍のバッジを外し、妹の胸元に取り付けた。


『お姉様……これは……』


 妹さんが戸惑う様子に主人公の ふふ と言う笑い声が流れる。


『立派になった者だ。そのバッジがよく似合うよ』


『はい、おね……』


『最後の命令を下す。腰につけた拳銃を貸してくれ』


『そ、それって……わかりました』


「え?」


 妹さんはすべてを悟ったのか、目を大きく開いた。


 手を震わせながら机の上に拳銃を置くと、静かに面談室を出ていく。


 私が喉が詰まらすなか、主人公はゆっくり拳銃を手に取り、弾が入っているか確認する。


『英雄が面談室で自殺、か……』


 不服そうに呟くと、口を大きく開き、銃口を咥え、自分の手で引き金を引いた。


 その瞬間、真っ白な映像が表示され、物語は幕を閉じた。


「なっ……え……えぇぇ……」


 いきなりすぎて結構驚いた。


 でも思い出せば、かなり悲しい話だったな。下手したら泣いてたかもだけど、最後の急展開のせいで涙が全部引っ込んじゃった。


「で、でもいい話だったね、猿渡さ――」


「グゴゴゴゴゴゴ、スピーーー……スピピピ」


「爆睡!?」


──5分後──


「ふあぁ……よく寝た」


 エンドクレジットもポストクレジットもなく、館内が明るくなってからだいぶ経ったころ、猿渡さんが目を覚ました。


 眠そうに目をこすり、椅子から立ち上がる。体を伸ばしながら大きくあくびをした。


「もう、寝るなら観なくてもよかったじゃん……」


「仕方ないじゃない。長旅で疲れてたのよ。で……どんな話だったの」


「それ聞くなら起きててよ。と言うか猿渡さんの知ってる人じゃないよ」


「歴史の教科書に載ってる人だしね」


「へー何した人なの」


「なんかの大戦の指揮官?何千万人殺して戦争を終わらせたけど、ノイローゼになって自分から檻に入ったけど、国は無罪にしたから拳銃で自殺した人」


「そうなんだ、映画そのまんま」


「そりゃ…そう言う人だからね、で……次はどこ行くの?」


「映画館に情報がないなら……市役所だけど……」


「けど、なによ。問題があるの?」


「うん。市役所さ、お偉いさんが多いから。生きてる人間だってバレる可能性あるし」


「うーん……じゃあ他に調べられる場所は……」


「図書館かな」


「図書館? なんで図書館なのよ」


「いや、図書館にはこの街の地図とか電話帳があってさ。もしかしたらそこに書いてないかなって」


「待ちなさいよ。地図はわかるけど、なんで電話帳に住人の電話番号が書いてあるのよ」


「え、だって家電の番号わからないと不便じゃん」


「そうじゃないのよ。なんで公に出てんのよ。大昔じゃないんだから」


「そうなの? ……ごめん、私そのへんの感覚が薄くて」


「なんで薄いのよ」


「って言われても……私は……」


「記憶がないから、あまりよくわからないって」


「……うん」


 私が頷くと、猿渡さんは呆れたような顔で口を開けた。


 互いに数秒、何も言わず見つめ合う。


「そんな顔しないでよ。仕方ないじゃん記憶失ってからずっーとこの街にいるんだから」


「ずっとって何年。と言うかあんた今何歳よ。ぱっと見14歳ぐらいだけど…」


「えーっと3年前からこの街いるかな」


「結構最近死んでるのねあんた、それで何歳なの」


「さ、さあ、年齢も誕生日わかんないし…そもそも死んだ後って年齢数えるのかな」


「言われると…そうね、死んだ後に誕生日数えるのもおかしいかもだけど。流石に死ぬ前何歳ぐらいはわかるでしょ…」


「わかってたら即答してるよ」


「それもそうね。でも本当にわからないの」


「わかんないって。そう言う猿渡さんは何歳なの」


「私?私は15歳あと数日で16歳になるわ」


「……ん?あと数日…あ〜そう言うことか12月産まれなんだな」


「あんま嬉しくないけどね」


「なんで」


「みんなと違って私は誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントが合体して1個だけなの」


 そう言うの本当にあるんだ…


「羨ましかったな…みんなだけ2つもプレゼント貰えてさ、まぁプレゼント欲しいとか言う歳じゃないからいいけどさ」


「プレゼントか…いいなぁ、私が生きてる時にもあったのかな」


 私がそう言うと猿渡さんは頭に手を置き ポンポン と優しく叩いた。


「きっとあったわよ」


「そう…だよね」


「とりあえず図書館に案内してちょうだい」


「はい」

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