プラズマソード
ウゴウ=ウィスタプランは、オビト皇子を暗殺するように命じられていた。
これに黒装束の守護霊を召喚して対抗したオビト皇子だったが、ウゴウが召喚した守護霊琥珀色の大賢者『知恵ある商人』に圧倒されて歯が立たない。
ウゴウ
「つまらぬ。 まったく手応えがない」
オビト
「……」
ウゴウの『知恵ある商人』が、片手でオビトの守護霊の頭蓋を掴み、軽々と持ち上げた。
ウゴウ
「ところでオビト君。 今、君の守護霊は、わが『知恵ある商人』の攻撃を受けて、抵抗できない状態だ」
オビト
「……」
ウゴウ
「さっきオレは、『守護霊がダメージを受ければ、術者の霊気に衝撃が生じる』と教えてやった」
オビト
「……」
ウゴウ「そこでオレが『知恵ある商人』の右拳に霊気をこめ、君の守護霊に一撃をくわえたら、どうなると思う?」
オビト
「……」
ウゴウ
「君の守護霊のボディに、大きな風孔が空くんじゃぁないかなぁ?」
オビト
「……」
ウゴウ
「ここで、だ。 君の守護霊に、ボディに風孔が空くほどの致命傷を与えたら、術者は一体、どうなっちまうんだろうなぁ?」
守護霊が致命傷を受けたら、術者は失神するほどの衝撃を受けると言われている。最悪、廃人となる。
『知恵ある商人』が大きく右手を振りかぶる。
次の瞬間、精神に強い衝撃を受けたのは、ウゴウの方だった。
オビト
「霊刀だ!」
無意識に声が発せられた。
「霊刀」という言葉を、オビトは聞いたことがない。
それでも「霊刀」と発音できたのは、守護霊の持つ記憶が術者に伝達されたからである。
それはオビトの守護霊が持つ、能力の記憶だ。
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黒装束の守護霊の右手から光輝くプラズマ状の刀が伸び、これが『知恵ある商人』の脇腹を貫いている。これが霊刀のようだ。
ウゴウ
「迂闊に、近づきすぎたのか?」
『知恵ある商人』がオビトの守護霊を放り投げる。
投げられた守護霊は、宙返りをして華麗に着地、すぐに霊刀でフェンシングの構えをとった。
ウゴウ
「なるほど、それが貴様の守護霊の能力か。 だが、能力ひとつで勝てるほど、守護霊決闘は甘くはない!」
『知恵ある商人』がオビトの守護霊との間合いをつめる。オビトの守護霊が霊刀を備えているとしても、『知恵ある商人のスピードならば、その攻撃をかわせるとふんだのである。
オビトの守護霊が、その手にする霊刀を下から上に振り上げた。
するとウゴウの『知恵ある商人』の右腕が切断されて、宙を舞い、蒸発した。