表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/158

琥珀色の大賢者『知恵ある商人』

 フヒト=ウィスタプランは、名刀黒作懸佩刀くろづくりかけはきのかたなを授けて三男のウゴウ=ウィスタプランにオビト皇子を暗殺するように命じていた。オビトは、ウゴウに斬り殺されようとしたところ、黒装束の守護霊(トーテム)を召喚してこれを防いだ。


 守護霊(トーテム)とは、術者(マスター)が操ることができる一種の霊体である。人々の信仰心が結集して異能をもった霊体が形成される。これが守護霊(トーテム)である。

 守護霊(トーテム)を操る術者のことを守護霊(トーテム)使いという。あるいは術者(マスター)という。守護霊(トーテム)は特殊な霊体であり、よほど強い霊気を発揮しない限り、守護霊(トーテム)使いにしか視ることができない。


 オビトを殺そうと振り上げたウゴウの刀が、オビトの黒装束の守護霊(トーテム)に受け止められた。


ウゴウ

「おまえ、守護霊(トーテム)を使えるのか?」

オビト

「たまに、現れます」


 そしてオビトの守護霊(トーテム)がウゴウの腹を蹴る。


 ウゴウが突き飛ばされる。さっと受け身をとる。そして、ゆっくりと立ち上がる。


 ウゴウの殺気に怯え、オビトは3歩だけ後退した。


 後退するオビトに、ウゴウは1歩近づく。


ウゴウ

「貴様のような腰抜け、造作もなく(ころ)せると思っていたが。 だが、貴様が、守護霊(トーテム)使いで良かった。 貴様の如くか弱き者を(あや)めては寝つきが悪くなる。 貴様が守護霊(トーテム)使いとなって脅威となれば、こちらも遠慮なく()れるというものだ」


 ウゴウはオビトに寄せて、刀で斬り付ける。


 これをオビトの守護霊(トーテム)が手甲ではじく。


ウゴウ

「なるほど。 良い動きをする守護霊(トーテム)だ。 それでこそ、殺し甲斐があるというもの」

オビト

「なぜ? なぜ、自分が殺されなくてはならないのですか?」

ウゴウ

「親父に聞け! 生きてここから出られたらなぁ!」


挿絵(By みてみん)


 ウゴウが刀を振り回す。


 ことごとく黒装束の守護霊(トーテム)にはじかれ、防がれる。


オビト

「無駄です! 守護霊(トーテム)に守られている自分は、誰からの攻撃も通用しません!」

ウゴウ

守護霊(トーテム)に守られているだって? だから誰からの攻撃も通用しないだって? 浅薄(あさはか)! 今の攻撃が、貴様の守護霊(トーテム)の動きを見るためにした、試し打ちだったことが分からないかっ?」


 刀による攻撃は無駄と、ウゴウは今度はオビトと間合いをとった。


ウゴウ

「オビト君。 君はひょっとして、守護霊(トーテム)を扱えるのが自分だけだと思っているのかい? 君のような腰抜けでも守護霊(トーテム)の加護があるんだ。 だったら、由緒正しいウィスタプラン家の血を引くこのオレも、守護霊(トーテム)が扱えるとは思わないのかい?」

オビト

「お義兄(にい)様の、守護霊(トーテム)とは?」

ウゴウ

「それでは見せてあげよう! 我が守護霊(トーテム)! 召喚する! 琥珀色の大賢者『知恵ある商人(ワイズマーシャン)』!」


 ウゴウは刀を納め、懐中から一片の巻物を取り出した。これを開くと、中から琥珀色のジャケットを羽織った紳士が飛び出した。これがウゴウの守護霊(トーテム)、琥珀色の大賢者『知恵ある商人(ワイズマーシャン)』である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ