直撃だぞ それでもトーテムは無傷か
幼馴染のオビトを助けに行こうと、アスカはヒロミ=ドグブリードの道連れを頼みに行った。しかしヒロミにこれを断られ、一人、オビトを追いかけようとする。そのアスカを引き留めようとしたのが、フヒト=ウィスタプランの執事であるイノテ=ウェストマンだった。
そのイノテの様子がおかしい。守護霊を召喚してアスカを見つけたメイドを傷つけながら、それをしたのはアスカだと言う。
その上、イノテの守護霊銀灰の文士『博学の書生』が襲ってくるものだから、アスカも守護霊を召喚して対抗した。その名は、紅蓮の戦士『不動の解脱者』。
イノテ
「そう、それです。 アスカ様の守護霊。 この守護霊が、メイドを襲ったのです」
相変わらず、訳の分からないことを言う。呆れるというよりも、むしろ気味の悪さを感じる。
まずは『不動の解脱者』の先制攻撃。
『不動の解脱者』の手拳ラッシュ。『博学の書生』は軽く防御。そして、打撃が強いとみるや、後ろに飛び退いて間合いをとった。
イノテ
「ほう、なかなかのパワーですなぁ。 少しアスカ様の霊力をみくびっていたかもしれません」
アスカ
「イノテ! どうしてこんなことをするの? イノテは私の味方ではなかったの?」
イノテ
「私が? アスカ様の味方? どうしてそういうことになるのですか? 今日私は、一度もアスカ様の味方をしたことはございませんよ」
アスカ
「でも、イノテはさっき、私を、あのサウナ棟から出してくれた」
イノテ
「あぁ、そのことですか? あれを私がアスカ様を味方したと、そうとらえてくれたのですね。 とんでもない。 あの時、私はアスカ様に武器を与えてあげただけですよ」
アスカ
「私に武器ですって? 何のために?」
イノテ
「だって、サウナ棟から逃げ出せても、守護霊を召喚できなければ、メイドを傷つけることができないでしょう? それでは、私が乱暴者を征伐することができません」
アスカ
「つまりイノテは、最初から私と戦うために、私を逃がしてくれたと。 そういうことだったの?」
イノテ
「ご名答! そしてアスカ様、今日あなたはここで死ぬのです! 私は、必死でアスカ様を止めたのです。 でも、アスカ様が守護霊を召喚して抵抗してきたため、私も守護霊を召喚しました。 そして、守護霊バトルの末、私は誤ってアスカ様を殺してしまったのです」
サイコパスだ――イノテは、自分がこれからすることを、すべてアスカの責任にしようとしている。その上で、アスカを殺そうとしている。加えてそこには、良心の呵責がまったくないようだ。
イノテは『博学の書生』で能力攻撃。炎弾を連打する。
アスカの『不動の解脱者』はこれを回避すが、そこまで敏捷性に優れた守護霊ではない。連打された炎弾の1つが直撃する。
イノテはしてやったりの表情、その直後、驚愕の表情を見せた。
イノテ
「何? 直撃だぞ? それなのに守護霊は無傷か?」
『不動の解脱者』が平然と直立している。
アスカ
「『不動の解脱者』の能力、絶対防御を発動させたわ。 短時間だけど、この能力が発動している間は、あらゆる攻撃が通用しなくなる」
『不動の解脱者』が『博学の書生』に近づく。
イノテの『博学の書生』は炎弾を連打して『不動の解脱者』を近づけまいとする。しかし絶対防御の発動時間中なので、ダメージは与えられず、その歩みを止めることもできない。
そして『不動の解脱者』が『博学の書生』の腹に一発、強力なブロウを喰らわせる。『博学の書生』は大きく吹き飛ばされた。




