表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/158

お義兄様のトーテムの真名は @ ここで本編に戻る

 ウゴウ=ウィスタプランは、父親のフヒト=ウィスタプランに命じられて、我らが主人公オビト皇子を暗殺しようとしていた。殺されると覚悟したオビトが守護霊(トーテム)の召喚に成功したため、ウゴウも守護霊(トーテム)を召喚した。


 オビトとウゴウ=ウィスタプランの守護霊(トーテム)決闘(バトル)が始まる。最後はお互いの能力(スキル)霊刀(プラズマソード)超回復(スーパーヒール)のぶつかり合いとなったが、能力(スキル)の応酬となると最後は精神力( M  P )の勝負となる。このような消耗戦では、守護霊(トーテム)使いとして修練を積んでいるウゴウにオビトが勝てるはずもなかった。


 ウゴウの守護霊(トーテム)、琥珀色の大賢者『知恵ある商人(ワイズマーシャン)』がオビトの黒装束の守護霊(トーテム)の頭を(つか)んで、高々と持ち上げている。


 オビトの守護霊(トーテム)を無力化したウゴウは、自らオビトの胸倉をつかみ、締めあげている。


ウゴウ

「思い知ったか! 今、オレは、貴様の生殺与奪の権を握っている。 何か、言い残すことはないか?」

オビト

「ま……まだです」

ウゴウ

「まだ、だと? まだ戦うつもりでいるのか? 能力値(パラメータ)は、わが『知恵ある商人(ワイズマーシャン)』の方が君の守護霊(トーテム)よりも優れている。 君の守護霊(トーテム)霊刀(プラズマソード)は恐るべきだが、君は精神力( M  P )を使い果たしたようであり、その能力(スキル)はもう使えない。 いったい君に、何ができると言うのだい?」

オビト

「分かったんです……」

ウゴウ

「分かった、だと? ハハハハハ! 君が、オレに勝てないということを、今さら分かったというのかい? 分かったところで、君が、今この場で、殺されるということに変わりないがなぁ!」

オビト

「違い……ます」


 ウゴウの目から、(わら)いが消えた。


 不快だ――このガキ、まだ何か(たくら)んでいる――


 ウゴウは、オビトの頬を、思い切り引っ叩いた。


 オビトは、ウゴウの顔をにらみ返す。


 死にたくない――ならば残された手段はただひとつ――


 オビトが、ひるまず話を続ける。


オビト

「お義兄(にい)様は、さっき、自分のトーテムについて『文殊菩薩とも対等に渡り合』ったと言いました。 それで、思い出したんです」

ウゴウ

「何が、言いたい?」

オビト

「お義兄(にい)様は、ご自身のトーテムを『知恵ある商人』と呼びました。 これは、トーテムの正体を暗示しているものではないのですか?」

ウゴウ

「いや、やっぱり聞かない。 もう黙れ」

オビト

「そして、お義兄(にい)様は、お尚父(とう)様|(フヒト=ウィスタプランのこと)から授かったという大経典からトーテムを召喚しました。 経典は仏具のひとつ、ならばお義兄(にい)様のトーテムは仏教系と推察されます」

ウゴウ

「黙れと言っているのだ!」


 本当に黙らせたかったら、有無を言わさずオビトを殺せばよい。ウゴウはそれをしなかった。否、人を殺す度胸がなくて、できないでいるのだ。


オビト

「おそらく、その経典は、クダラ国の尼僧から授かったもの。 その由来はこうです。 その昔、大祖父様|(カマコ=ウィスタプランのこと。 フヒトの父親であり、今は亡い)が大病を患ったとき、とある居士(こじ)の像を作って読経をすれば完治すると言われたことがあると聞きました。 お義兄(にい)様が持つその経典は、その時のものでは無いのですか?」

ウゴウ

「黙れ! それ以上、話をしたら本当に許さぬぞ!」

オビト

「いいえ! 黙りません! その経典の名は、ヴィマラキールティ=ニルデーシャ=スートラ! 居士(こじ)の名は、わが国では維摩居士(ゆいまこじ)と呼ばれている者! 維摩居士(ゆいまこじ)は、天竺国の商人にして文殊菩薩とも議論ができたという大賢者! したがって、お義兄(にい)様の守護霊(トーテム)の真名は、維摩居士(ゆいまこじ)その人、すなわちヴィマラ=キールティです!」


挿絵(By みてみん)


 正解だった。


 ウゴウの『知恵ある商人(ワイズマーシャン)』は能力値(ステータス)が半減して能力(スキル)を失い、これに掴まれていたオビトのトーテムは容易に離脱。


 守護霊(トーテム)の真名を言い当てられたウゴウは戦意を喪失し、オビトの胸元を締め上げる両腕からは力が失われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ