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行宮に迫る
三年春正月、帝は屋島にお出ででしたが、
朝拝、諸節会は止まる事と成りました。
人々はご皇室のご神事が等閑に成る事を
憂いに成りました。
やがて摂津の福原の宮に徒御
(神輿または高貴な方がお移りになられる)なさいました。
そして源氏と密かに通じる事あれば、
中納言平教盛、越前守平通盛、能登の守平教経、
起ちて之を打ち破る。
進軍し、源義継、源義久を淡路に打ち破った。
義継は斬殺、義久は捉えられた。
河野通信、沼田某を沼田城に打ち破った。
沼田某を虜にしたれば、
通信、伊予に逃げ込んだ。
教経、安摩宗益、園部重茂を吹井浦に敗った。
河野通信、緒方惟能、海田宗親、臼杵維高を
今木城に攻め寄せた。
春の新緑は朱に染まった。
二月五日源義経は三草山に駐留、
左近中将平資盛を攻撃する。
春霞に煙る朝に戦場は混沌とした。
資盛たまり兼ねて敗走。
七日源範頼、源義経一万の軍勢をそろえ、
行宮に迫った。




