第72章:ニコはどこ?
彼らは食べ物を探して歩き回り始めた。何人かは食べられる植物を見つけ、それをニコのバッグに入れた。
「おい、なんで全部俺のバッグに入れるんだよ?」ニコはバッグの中身を見ながら言った。
「お前は何も持ってきてないだろ」とハリーが言った。
「ルーカスが空のバッグを持っていろって言ったんだ」とニコが言った。
「食べ物を入れる場所が必要だから、そう言ったんだ。全部を入れるために、わざわざ器を持ち歩くよりいいだろ」とルーカスが言った。
「おい、これを見てくれ」木の近くにしゃがんでいたディオンが言った。全員が近づいた。
「見てくれ、形がすごく変だぞ」ディオンは奇妙な形をしたキノコをいくつか見て笑った。
「お前にそっくりなキノコだな」とニコが言った。
「どうしてそうなるんだ?」とディオンが尋ねた。
「どっちもブサイクだからだよ」とニコが言った。
それを聞いて、全員がすぐに笑い出した。
「どういう意味だよ、ああ?!」ディオンは納得がいかない様子で言った。
「ところで、このキノコは食べられるのか?」とルーカスが言った。
「僕の知る限り、食べられないよ」とサイが言った。
「これは食べた人を半日も眠らせてしまうキノコなんだ」
「目が覚めたとしても、その後何時間かは体がだるくて、力が出ないらしい」と彼は言った。
「そうなのか? なら、採らないほうがいいな」とハリーが言った。
「あ、そうだ! ファッタ、イワン、ライアンはどこにいるんだ?」とルイスが言った。
「おーい!」という声が聞こえた。
彼らが振り向くと、ファッタが手を振っていた。その隣では、イワンが同じように満面の笑みを浮かべて立っていた。
「川を見つけたぞ!」とファッタが言った。
「早くこっちに来てくれ! ライアンはまだあそこにいる!」とイワンが言った。
***
一方その頃、ライアンは魚を釣っていた。何匹か釣り上げると、隣に置いてあるバケツに入れた。
「ここに川があるなんて知らなかったよ」とルーカスが言った。
ライアンが振り向くと、ほかのメンバーもすでに来ていた。
「俺たち三人がさっき偶然見つけたんだ」とイワンが答えた。
「ちょうど十匹釣れたところだ。全員分には十分だろう」とライアンが言った。
「俺たちも食べられる植物を見つけたぞ」とハリーが言った。
「よし、これで最初の課題にはチェックを入れられるな?」ルーカスは課題リストの紙を開きながら言った。
「誰か料理できるか?」とライアンが尋ねた。
「そうだな。食材がたくさんあっても、調理できなければ意味がない」とニコが言った。
「ミシェルはできるんじゃないか? 女の子だし」とディオンが言った。
「えっ?」ミシェルは少し驚いた。
「そうだな、これを任せてもいいか?」とイワンが尋ねた。
「そうすれば、最初の課題はもう終わりだな?」とハリーが言った。
「おい! ちょっと待って」ミシェルが口を挟んだ。
「私は料理できないよ」と彼女が言った。
「えっ?!」サイとルイスを除く全員が驚いた。
「普通、女の子なら料理できるだろ」とニコが言った。
「それって女の子だけの義務だとでも思ってるの? ああ?!」ミシェルはだんだん腹を立て始めた。
「ち、違うって。俺は誰かに負担を押しつけようとしてるわけじゃないんだぞ」とニコが言った。
「インスタント食品や軽食なら作れるけど、こんなふうなちゃんとした料理は無理なの」とミシェルが言った。
「だったら、俺たちも同じだな」とファッタが言った。
「なんでそんなに困ってるんだ? こいつ、料理が得意なんだぞ」ルイスはサイの肩に腕を回した。全員がサイを振り向いた。
「本当か?!」彼らは嬉しそうに言った。
「本当よ! 家事も得意なんだから」とミシェルが言った。
「みんな、大げさだよ」とサイは気まずそうに言った。
「よし! 料理は僕に任せて」と彼は言った。
***
サイは、湯気が立ち上る熱い鍋の中のスープをかき混ぜていた。鍋の下では火が燃えている。
そのスープの鍋の隣には、蓋の閉まった、もう少し小さな鍋が置かれていた。
全員がそれぞれ自分の器を持っていた。ニコとディオンは、すでに先に食べ始めていた。
「サイが魚の塩焼きか何か、簡単なものを作ると思っていたけど、こんな料理を作るとはな」とイワンが言った。
「何歳から料理を習い始めたんだ?」とファッタが尋ねた。
「僕の知る限り、五歳からだよ。父親が家に帰ってこなくなった頃だ」とルイスが答えた。
「サイ! おかわり!」ディオンは器を持ち上げて言った。
「まだ残ってるか?」とニコが言った。
「うん、まだたくさんあるよ。好きなだけ取っていいよ」サイは小さいほうの鍋の料理を引き続き世話しながら言った。
「もう一つの鍋では何を作ってるんだ?」とルーカスが尋ねた。
「これ? スープを作りすぎちゃったから、追加で入れる場所が必要になったんだ」とサイが言った。
「早く食べたほうがいいぞ! ここに長居するわけにはいかないんだからな。もしほかのチームに見つかったらどうするんだ?」とルーカスが言った。
「わかった、僕もちょうど食べ終わったところだよ」サイはその鍋に蓋をしてから、一緒に食べ始めた。
***
「次の課題は防衛だ」ルーカスは課題リストの紙を持ちながら言った。彼らは再び森の中を歩いていた。
「もし誰も僕たちを襲ってこなかったら、この課題は達成できないってことか?」と彼は言った。
「でも、達成できなくても、僕たちの点数には影響しないみたいだな」とイワンが言った。
「そうだな、運がよかったと思えばいい」とディオンが言った。
「おい、もう少しゆっくり歩いてくれないか?」ディオンの後ろ、正確には全員の一番後ろをゆっくり歩いていたニコが言った。
「食べすぎたから、歩けなくなったんだろ?」とハリーが言った。
ディオンはいたずらっぽく笑うと、突然足を止めた。
「ドンッ!」
ニコはディオンにぶつかった。彼は顔を押さえた。
「あああっ、何するんだよ?!」彼は腹を立てたが、声にはあまり力がなかった。
ディオンは笑った。「大きな声すら出せないのかよ」と言いながら、再び歩き始めた。
全員はそれ以上会話をせずに歩き続けた。
突然、ディオンがまた立ち止まり、ニコは再び彼にぶつかった。
「ああっ、そういうことをするのはやめろよ。みんなに置いていかれるだろ」とニコが言った。
ディオンは笑うと、少し前方にいる仲間たちに追いつくため、速足で歩き始めた。一方、ニコは相変わらずゆっくり歩いていた。
数歩進んだところで、ニコは突然何かを踏んだような感覚がして、足を止めた。
彼は不思議そうに自分の足を見つめた。しかし次の瞬間、足がロープに絡め取られ、音もなく上へと引き上げられた。
「ところで、僕たちはほかのチームを襲わないのか?」とライアンが言った。
「お互いに足を引っ張り合うのはよくないだろ」とハリーが言った。
「運営側は、各チームが互いに潰し合わなければならないとは言っていないからな。できることなら、戦いには巻き込まれないほうがいい」とルーカスが言った。
「そうだね。緊迫した状況で、身を守ろうとしてうっかり元素を使ってしまうのも嫌だし」とイワンが言った。
「そうなったら、すぐに失格になるかもしれないぞ」とファッタが言った。
「でも、相手チームを苦戦させることができれば、僕たちの点数は加算されて、相手の点数は減るんだ」とイワンが言った。
「そうだ。さっき第二競技の開会式で、そんな説明があったよな」とハリーが言った。
「例えば、ほかのチームのメンバーを捕まえて、相手が取り返せなかった場合だ。この競技はチームの十人全員で完遂しなければならないから、そのチームは点数を失うことになる」と彼は言った。
「ほかにも、ほかのチームを攻撃して、競技を進めるのを難しくさせる場合だ」とライアンが言った。
「でも、すべての課題をうまくこなせば、もっと高い点数をもらえるんだ。特に、そのやり方が印象的ならな」とファッタが言った。
「つまり、第三の課題を達成したことによる点数と、問題をどうやって乗り越えたかによる点数が同じように加算されるってことか?」
ディオンは会話に加わらず、ただ黙っていた。またしても、彼は突然足を止めた。
数秒待ってみたが、何も起こらなかった。
ディオンが後ろを振り向くと、ニコの姿が見当たらず、すぐに驚いた。
「おい! ニコが消えたぞ!」とディオンが言った。全員が一斉に振り向いた。
「さっきまで俺の後ろを歩いていたんだ!」とディオンが言った。
「ちょうど今、そんな話をしていたばかりなのに」とルーカスは真剣な表情で言った。
「どうやったら、まったく音も立てずに連れ去れるんだ?」とハリーが言った。
「お前たちがまた話し始めたときには、まだ後ろにいたんだ! ってことは、そんなに遠くには行ってないはずだろ?」とディオンが言った。
「確かに、まだそれほど時間は経っていない。でも、ニコをさらった連中は、どうしてもう姿が見えないほど速く動けるんだ?」とルイスが言った。
その頃、木の上では、ニコと同じくらいの年齢に見える三人の少年が枝の上に立っていた。彼らの近くには、口をテープで塞がれたニコがいた。
「今になってようやく気づいたのか?」ニコを捕まえている一人目の少年が言った。
「ずいぶん油断していたな」と二人目の少年が言った。
「どうだ? 俺の考えはすごいだろ?」と三人目の少年が言った。
「ああ、簡単に捕まえられたな」と一人目の少年が言った。
(開催地側のチームか?)ニコは真剣な表情をしていた。
(さっきは本当に集中できていなかった。まさか八番街のチームが、こんな隙を突いてくるとはな)
「こいつをここから連れていけ。残りの九人は、俺のペットに任せよう」と三人目の少年が言った。
「わかった」一人目の少年はニコを連れて、その場から立ち去った。
「どうする? 別々に行動するか?」とハリーが言った。
「こんな緊急事態に別行動をしたら、かえって危険だ」とルーカスが言った。
サイは周囲を見渡し、森の隅々に目を凝らした。
「どの方向にもいないとしたら、もしかして……」サイは上を向いた。
二人の少年は驚いた。
「あそこだ!」とサイが言った。
全員がすぐに上を向いた。二人の少年はたちまちひるんだ。
「くそっ! あいつら、八番街のチームだ!」とルーカスが言った。
三人目の少年は口元を歪めて笑った。「できるものなら、ここまで上がってこい」と彼が言った。
「この距離から俺たちを攻撃できるならな」と二人目の少年が言った。
「任せて」ミシェルは腰のバッグからロープダートを取り出し、それを振り回して、ロープダートの矢先を二人の少年に向けて投げる準備をした。
突然、犬の鳴き声が聞こえた。少し大きく、凶暴そうな犬が彼らからそれほど遠くない場所にいた。
「いつからこんなところに犬がいるんだ?!」パニックになったサイは、すぐに一番近くにいたミシェルの後ろに隠れた。そのせいで、ミシェルは動きを止めた。
「犬が怖いの?」とミシェルが言った。
「そんなこと、今まで知らなかったよ」とルイスが言った。
「僕たちが知り合ってから、犬に会ったことがなかったからだよ」とサイが言った。
「ばかばかしい。まさか噛まれたことがあって、そんなに怖がってるのか?」とルーカスが言った。
「違うよ。ただ、子どもの頃から父さんに、犬には近づくな、噛まれるかもしれないからって言われていたんだ」とサイが答えた。
「でも、そのせいで今でも怖いんだ」と彼が言った。
「父親にすっかり刷り込まれたんだな」とファッタが言った。
「大丈夫だよ。走ったり、慌てたり、攻撃したりしなければ、犬も襲ってこないってよく聞くから」とイワンが言った。
「でも、最初から僕たちを襲うつもりの犬なら話は別だよ」とサイが言った。
そして案の定、その犬は彼らに向かって走ってきた。
「逃げろ!」とサイが言った。全員がすぐにその場から走って逃げた。
二人の少年は笑った。「こんなに簡単に、あいつらを混乱させられるとはな」




