第29章 トレーナー
「さて、皆さん。オーディションと試験に合格した後は、まず訓練の段階に入ります。皆さんのトレーナーが、皆さんに次の段階へ進む資格があると判断した場合、ボランティアの段階へ進むための推薦を受けることになります。」
一人の男性メンバーが、基地のホールでオーディションに合格した11人の参加者の前に立って言った。
そこにはすでに何人かのトレーナーがおり、ロッキーさんとレオンさんもそこにいた。
「見ろ、あいつが新しく合格した子だろ?」
一人の少年が友達に言った。
それを聞いたサイは、ただ黙っていた。
「どうしてあいつだけ合格したんだ? 俺たちは大勢で合格したのに。」
「俺たちは第四段階までしか試験を受けてないだろ。もし最後の試験まで受けていたら、今ここにいられたかどうか分からないぞ。」
その少年は言った。
「あいつ、すごく運がいいな。」
友達が言った。
「訓練期間中、皆さんは皆さんを訓練するメンバーを選ぶことができます。」
男性は、近くに立っている何人かのトレーナーを指差しながら言った。
「え?」
サイ以外の参加者全員が困惑した。
「どうしてもう一度選ぶんですか? 私たちはすでにそれぞれのトレーナーが決まっているんじゃないんですか?」
彼らが言った。
「確かにそうだ。しかし、ここに新しいメンバーが一人加わったから、もう一度選び直すことにしたんだ。」
男性は言った。
「せっかく私たちのメンバーを増やすためにオーディションを開催したのに、まさか合格したのが一人だけとはな。」
ロッキーさんが言った。
「そうですね。普段なら、合格するのはだいたい三人くらいです。」
レオンさんが言った。
「それが、私が彼に興味を持った理由だ。」
レオンさんが言った。
「じゃあ、前と同じトレーナーを選んでもいいんですよね?」
彼らが言った。
「もちろんだ。」
男性が言った。
「よし! 兄さん、また一緒に練習しよう!」
一人の参加者が列から前へ出て、自分のトレーナーを呼んだ。
「いいぞ!」
そのトレーナーはすぐにその参加者と一緒にホールを出ていった。
「先生! また一緒に練習しましょう!」
別の参加者が言った。
その参加者もホールを出ていった。
参加者たちは少しずつ全員が去っていき、先ほど参加者たちが並んでいた場所には、サイだけが一人で立っていた。
サイは驚き、その状況に困惑しているようだった。
男性も困惑した。
「ど、どうしよう? どうやら、もう一人分のトレーナーを連れてくるのを忘れていたみたいだ。」
彼は気まずそうに言った。
ロッキーさんは首を横に振った。
その一方で、レオンさんはロッキーさんのもとから歩き去っていった。
「せ、先生はいないみたいですね。」
サイが言った。
「大丈夫です。僕はもう行きます。」
サイは立ち去ろうとした。
「待て。」
突然、誰かの手がサイの肩に触れた。
サイが後ろを振り向くと、そこにいたのはレオンさんだった。
「君、私と一緒に訓練しなさい。」
レオンさんが言った。
サイは驚き、しばらく黙り込んだ。
「え、ええっ?!」
驚いて言った。
サイは数歩後ろへ下がった。
「どうした?」
レオンさんが言った。
「おじさんと一緒に?」
サイはまだ驚きながら言った。
「それがどうした?」
レオンさんが言った。
「い、いえ、何でもありません。」
サイが言った。
「ただ、レオンさんもロッキーさんみたいに怖かったらどうしようって。」
サイは小さな声で言った。
「何と言った?」
レオンさんが言った。
「な、何でもありません!」
サイはすぐに言った。
「そうか。では、私について来なさい。」
レオンさんが言った。
サイはすぐにレオンさんについてホールを出た。
***
「それで、サイ。君のこれまでのことを話してくれるか?」
レオンさんは一つの岩の上に座り、サイはその前の地面に座っていた。
二人はウィルダネスの丘にいた。
「これまでのこと? 何のためですか?」
サイが尋ねた。
「私たちは今、師弟なんだ。お互いを知るために、こういうことをしても悪くないだろう?」
レオンさんが言った。
「他の参加者もこんな感じなんですか?」
サイが尋ねた。
「いや、私たちだけだ。」
レオンさんが言った。
「私がこうしているのは、実は私はメンターとして参加者を訓練する役目を持っていないからだ。参加者を訓練するのはトレーナーの仕事だからな。」
「だから、君は私の最初の弟子ということになる。」
レオンさんが言った。
「え? 本当ですか?」
サイが言った。
「じゃあ、おじさんは初めてトレーナーになったんですか?」
サイが言った。
「そういう意味で昇格したわけではない。私は今でもメンターで、たまたまトレーナーになっているだけだ。」
「普段はロッキーさんと一緒に、警察の階級でメンターとして教えている。」
「だから、私たちは仲良くなれたらいいと思っている。」
レオンさんが言った。
(そうなんだ? レオンさんはロッキーさんとは違うんだ。 )
心の中で、サイはそう思った。
「君はさっき、私もロッキーさんのように怖いんじゃないかと思っていただろう?」
レオンさんが言った。
「え?!」
サイはすぐに驚き、気まずそうな顔をした。
「彼は厳しいだけで、怖いわけではない。あの時、君がゴールド・オーガニゼーションの飛行機に侵入者として来たから、君に厳しくしていたんだ。」
レオンさんが言った。
「僕は侵入者じゃありません!」
サイが言った。
「君のお兄さんに聞いてみるといい。きっとロッキーさんは、君が思っているほど悪い人ではない。」
レオンさんが言った。
「僕のお兄さん? ラジ兄?」
サイが言った。
「そうだ。」
レオンさんが答えた。
「そうなんだ? 僕、ロッキーさんは怖い人だと思ってた。」
サイが言った。
「それで、もう話せるか?」
レオンさんが尋ねた。
「もちろんです。」
サイが言った。
「僕は第一都市で生まれて、母さんと一緒に暮らしていました。でも、父さんはもう亡くなっています。母さんの名前はマワルで、父さんは……」
「サトリア・シャカラ?」
レオンさんが言った。
「え? どうして知ってるんですか?」
サイが尋ねた。
「君は忘れたのか? 君の父親はここでメンバーだったんだぞ。」
レオンさんが言った。
「あ、そうでしたね?」
サイが言った。
「私が20歳になった後、ゴールド・オーガニゼーションの個人メンバーになった。その時、君の父親は12歳でここに加入した。私が25歳の時にメンターになるためゴールド・オーガニゼーションに戻った時、15歳になっていた君の父親と知り合ったんだ。」
レオンさんが言った。
「二人は仲が良かったんですか?」
サイが尋ねた。
「うーん、私たちの関係は、君とカイの関係と同じようなものだった。」
レオンさんが言った。
「あ、そういえば、僕とカイ兄さんは10歳違いでしたね。」
サイが言った。
「君がボランティアの段階を終えたら、何になりたい?」
レオンさんが尋ねた。
「僕はラジ兄とカイ兄のように医者になりたいです。」
サイが言った。
「そうか? 何の専門医になりたい?」
レオンさんが尋ねた。
「え? 専門医なんているんですか?」
サイが尋ねた。
「いる。しかし、実際には必須ではない。カイのように、彼はただの一般医だ。」
レオンさんが言った。
「ラジ兄は何の専門医ですか?」
サイが尋ねた。
「彼は少し分かりにくい。ほとんどすべての病気を知っていて、いつも多くの病気を学ぼうとしているから、彼がどの病気に重点を置いているのか私には分からない。」
レオンさんが言った。
「それに、私は警察だから、ラジが何を選んで何を学んでいるのかなんて分からない。」
レオンさんが言った。
「確かにそうですね。」
サイが言った。
「それなら、僕は精神科の専門医になりたいです。」
サイが言った。
「精神科医か? いい選択だ。」
レオンさんが言った。
「はい。そういうことを学べたら、人の性格や人格についても学べると思います。そして、その人たちが何を感じているのかを理解できるようになりたいです。」
「でも、ラジ兄のように、他の病気についても学びたいです。」
サイが言った。
「僕は父さんやラジ兄のようにすごくなりたい。二人はそれぞれの段階を、全部一年だけで突破したんです。」
サイが言った。
「そうか? 君もそうなりたいのか?」
レオンさんが言った。
「はい! 僕を二人のように鍛えてくれますよね?」
サイが言った。
「もちろんだ。ただし、君が耐えられなくても私を責めるなよ。」
レオンさんが言った。




