第27章 試験
「第五試験、つまり最後の試験は、合否を決める試験です。毎年、この試験によって、それまでの試験をうまくこなしていたにもかかわらず、最後に脱落してしまう参加者が大勢います。」
監督官は言った。
彼は、それまでの監督官たちよりも、ずっと楽しそうに自分の役を演じていた。
彼らは町の公園に集まっていた。
監督官のほかに、すべてのメンター、ラジ兄のような何人かの先輩、そして他のメンバーたちもそこにいた。
「一体、どんな試験なんですか?」
一人の参加者が尋ねた。
「簡単な試験ではありません。これまでの試験とは違いますから。」
監督官は言った。
その一方で、サイは困ったような表情で右を見たり左を見たりしていた。
そして、自分の足元と地面を見た。
(なんだか、揺れているような気がする。)
「もしかすると、皆さんの中には、なぜ私たちがオーディションと試験をいつも区別しているのか、疑問に思っている人もいるでしょう。」
監督官は言った。
「試験と呼ばれているのは、この最後の試験のことです。なぜなら、これはかなり難しく、そして挑戦しがいのあるものだからです。」
監督官は言った。
「それで、試験は何なんですか?!」
参加者全員が急かすように尋ねた。
「わ、分かりました。ごめんなさい。」
監督官は笑いながら言った。
「では、試験とは……」
突然、全員が黙り込んだ。
地面が揺れ始め、彼らはひどく驚いた。
「な、何が起きてるんですか?!」
参加者たちが言った。
「どうして揺れてるの?」
「じ、地震です!」
監督官が言った。
地面はさらに激しく揺れ始めた。
いくつかの建物まで揺れ始め、灰があちこちに舞い始めた。
(やっぱり、さっき感じたのは本当だったんだ!)
サイは思った。
「大変だ! どうしてこんな時に起こるんだ?!」
カイが言った。
「ぼーっとしているな! 早く住民たちを避難させろ! これは普通の地震じゃない!」
ロッキーさんが叫んだ。
「はい!」
メンバーたちは一斉にその場から走り去った。
「わ、私たちはどうすればいいんですか?」
参加者の一人が言った。
「早く逃げよう!」
別の参加者が言った。
彼らは大勢で公園から逃げようとした。
しかし、まさに彼らの目の前で地面が割れ始めた。
そのため、彼らは足を止め、何人かはその場に座り込むように倒れた。
「大変だ! どうするんだ?!」
彼らは慌てた。
「おい、お前たち!」
先ほどの監督官が呼びかけた。
「早く安全な場所を探せ! 俺たちはお前たちの面倒を見ている暇はない!」
監督官は叫んだ。
「俺たちはどこへ行けばいいんですか?!」
彼らは言った。
サイは右を見たり左を見たりした。
「あっ、そうだ! 俺たちも本部に戻ろう!」
サイが言った。
「馬鹿! あの大きな建物が崩れたら、俺たちは死ぬぞ!」
一人の参加者が言った。
「そんなことにはならないよ! あの建物は、災害が起きても壊れないように作られているんだから!」
サイは言った。
参加者たちはただサイを見つめた。
「早く、あっちへ!」
サイは再び言った。
彼らはすぐに立ち上がり、本部へ向かって走り始めた。
サイが彼らを本部へと導いていた。
しかし、彼らの前に倒壊した建物があり、道を塞いでいた。
建物が崩れ落ちた衝撃音を聞いて、何人かの参加者はひどく怯えた。
「あっちへ!」
サイが指差した。
彼らはサイについて方向を変えた。
「た、助けて!」
人の声が聞こえた。
サイは足を止めた。
その一方で、他の参加者たちはそのまま走り続けた。
見ると、一人の人が倒壊した建物の瓦礫の下敷きになっていた。
「助けて! 助けてくれ!」
その人は参加者たちに向かって言った。
サイは迷うことなく、その人のところへ走っていった。
「おい! 何をしてるんだ?!」
参加者の一人が呼びかけた。
「助けなきゃ!」
サイは言った。
「俺たちの命だって危ないんだぞ! 早く本部へ行け!」
その参加者は言った。
「君たちは先に行って! 僕はすぐに追いつくから!」
サイはそう言って、先ほどの人のところへ再び走った。
「助けて! 体がすごく痛い!」
その人は言った。
「大丈夫。僕が助けるから。」
サイはその人にのしかかっている石を持ち上げようとした。
その人も、自分の体から石を押しのけようとした。
「すごく重い……。」
サイは言った。
石は少し持ち上がった。
しかし、サイには力が足りず、石は再び落ちてしまった。
「ああ……。」
その人はすぐに力を失った。
「ご、ごめん!」
サイはすぐにもう一度石を持ち上げた。
その表情から、彼がとても苦労していることがはっきりと分かった。
(これが……重いものを持ち上げるための試験がある理由なのか?)
サイは思った。
「だって、これはボランティアに必要なことだから!」
サイは全力を込めた。
そして、石を持ち上げ、その場所からどかした。
先ほどの人はすぐに立ち上がった。
その体は傷だらけだった。
「今度は僕と一緒に本部へ行こう!」
サイは言った。
「うん! ありがとう。」
その人は言った。
サイはうなずき、その人を連れて走り出した。
途中、サイは、崩れ始めた建物を避けながら、怯えて走っている何人かの人々を見つけた。
「早く、あのオーディション参加者について走って! 僕は先にこの人たちを助けないと!」
サイはそう言って、彼らのほうへ走っていった。
「分かった!」
先ほどの人は、立っている場所からまだ見えていた参加者たちを追って走り出した。
サイは先ほどの人々のほうへ走った。
「みんな! あの人について行って!」
サイは先ほどの人を指差した。
「一体、あの人はどこへ行くの?」
彼らは怯えながら言った。
「ついて行って。あの人は安全な場所へ向かっているんだ。」
サイは言った。
人々はその人について走り始めた。
「僕も早くみんなについて行かないと!」
サイは言った。
しかし、その足が止まった。
目の前で、小さな女の子が、今にも崩れ落ちて自分の上に落ちてきそうな建物の下で泣いていた。
「危ない!」
サイはすぐにその子のほうへ走った。
サイはすぐに飛び込み、その子を抱きかかえ、そこから逃げることに成功した。
サイは岩の上に激しく叩きつけられたが、その子は彼の腕の中で無事だった。
「大丈夫?」
サイは言った。
彼の体は傷だらけだった。
その子はすぐにサイから離れ、近くにいた母親のところへ走っていった。
「お母さーん!」
その子は叫んだ。
母親はすぐに娘を抱き上げた。
「助けて!」
母親はサイに向かって言った。
サイは立ち上がり、困惑したように彼女を見つめた。
「私の子がどこかへ行ってしまったの。今、どこにいるのか分からないわ。」
母親は言った。
「安心してください。僕が探してきます。」
サイは言った。
「ありがとう!」
母親は娘を連れてすぐに走り去った。
「お母さんの子は、どこを探せばいいんだ?」
サイは走り始めながら言った。
「もういい! とにかく、僕が出会った人は誰でも助けなきゃ!」
サイは言った。
「ボランティアになるためのシミュレーションだと思えばいい!」
サイは言った。
人々は皆、怯えて走っていた。
建物はさらに多くが崩れ始めていた。
「お母さーん!」
一人の子どもの声が聞こえた。
サイは声のしたほうを振り向いた。
すると、小さな女の子が瓦礫の下で泣いていた。
(あの子が、さっきのお母さんの子なのか?)
サイはすぐにその子のところへ走った。
「お母さーん……。」
その子は怖がりながら泣き続けていた。
「お母さん……お母さんはどこ……。」
その子は言った。
突然、サイはその子に背を向けてしゃがみ込んでいた。
「僕の背中に乗って。」
サイは言った。
その子は黙って、困ったようにサイを見つめた。
「お母さんに会わせてあげるから、一緒に行こう。」
サイは言った。
その子はうなずいた。
そして、サイの背中に乗った。
サイは再び立ち上がった。
しかし、彼は苦労しているようだった。
(この子、すごく重い!)
サイは思い、再び走り出した。
建物はすでにたくさん崩れていた。
サイは一つの岩から別の岩へと飛び移り、上から落ちてくる建物の瓦礫を避けながら走った。
(これが……重い荷物を背負ったまま障害物を越える試験の意味なのか?)
サイは走り続けた。
(練習してきて無駄じゃなかった……最後に人を助けることができるなら!)
サイは嬉しそうに思った。
しかし、彼はとても疲れていた。
その時、突然、大きな石が上から落ちてきて、サイの目の前に落下した。
サイはブレーキをかける暇もなかった。
そのため、すぐに左へ飛び退いた。
しかし、左側には下り坂があった!
サイはすぐに先ほどの子を抱きしめ、目を閉じた。
そして、地面に激しく叩きつけられた。
彼の体は完全にボロボロになった。
サイはすぐに起き上がって座った。
その時、一つの石がサイの頭に激しくぶつかった。
「大丈夫?」
サイは言った。
その子はうなずいた。
そして、上を見た。
「上を見て!」
その子は上を指差した。
サイも上を見た。
またしても、大きな建物の瓦礫が、彼らのほうへ落ちてこようとしていた。
(まずい!)
サイは思った。
(どうすればいい?)
サイはただ目を閉じることしかできなかった。
まさにその時、突然、地震が起きていた区域全体が光を放った。
その光はあまりにも眩しく、すべての破壊された景色が見えなくなるほどだった。
突然、町の状態が元通りになった。
倒壊した建物も、埃も、そして先ほどまで怯えていた人々さえも、何もなくなっていた。
サイはゆっくりと目を開けた。
そして、町が何事もなかったかのように元通りになっているのを見て、すぐに困惑した。
「何が……」
サイは言った。
そして、先ほど助けた子どものほうを振り向いた。
サイはさらに驚いた。
その子どもは、石になっていた。
サイは再び周囲を見回した。
自分はまだ公園にいた。
しかも、他の参加者たちも困惑していた。
「どうして俺たちはここにいるんだ?」
彼らは言った。
「さっき、俺たちはもう本部に着いていたんじゃないのか?」
サイは後ろを振り向いた。
そこには、両手のひらを前に出して立っているステラがいた。
彼女はカイや他の何人かのメンバーたちと一緒に立っていた。
やがて、ステラはその姿勢を解いた。
しかし、彼女はとても疲れているようで、今にも気を失いそうだった。
「大丈夫か?」
カイは言った。
ステラはうなずいた。
「うん。ちょっとエネルギーを使い果たしただけ。」
ステラは言った。
「何が起きたんですか? 一体、これは何なんですか?」
参加者たちは言った。
レオンさんは微笑んだ。
「みんな! 今日、一人で合格した新しい仲間に拍手を!」
レオンさんは言った。
メンバーたちは一斉に拍手を始めた。
全員がサイに向かって拍手をしていた。
困惑していたサイも、すぐに立ち上がった。
「これはどういうことですか? 合格って、どういう意味ですか?」
別の参加者が言った。
先ほどの監督官がメンバーたちの列から前へ出てきた。
「皆さん、試験は終了しました。」
監督官は言った。
参加者全員が困惑し、互いに顔を見合わせた。
「先ほどの災害は、私たちが作り出したただの幻でした。そして、それが皆さんに受けてもらう最後の試験だったのです。」
監督官は言った。
「ありえない! 一体、どんな試験なんですか?!」
一人の参加者が言った。
「この試験では、自然災害の中で、皆さんがボランティアや救助者として、どのように行動するのかを試します。」
監督官は言った。
「残念ながら、皆さんは一人の被災者にも目を向けず、自分自身の身を守ることに夢中になっていました。」
「皆さんは、自分がボランティアになるための試験を受けていることを思い出すべきでした。ならば、ボランティアとして行動してください。」
監督官は言った。
「ですが、少なくとも一人、自分自身の安全よりも他人の安全を優先した参加者がいました。」
監督官は言った。
そして、サイのほうへ手を向けた。
「この最悪の状況の中で、ボランティアのように行動できたのは、彼だけです!」
監督官は言った。
メンバーたちは再び拍手をした。
サイはまだ困惑していた。
しかし、やがてサイはゆっくりと笑い始めた。
拍手はまだ聞こえていた。
そしてサイは、列の後ろでラジ兄が小さく笑いながら拍手しているのを見ることができた。
サイはラジ兄に向かって手を振った。
しかし、次第にサイの体から力が抜けていった。
彼はとても疲れているようだった。
突然、サイはよろめき、そのまま地面に倒れた。
メンバーたちは一斉に驚き、そのうち何人かがすぐにサイのもとへ駆け寄った。
サイはまだ笑っていた。
「やっと……」
(僕、合格した……。)
そう心の中で思いながら、サイは目を閉じた。




