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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
39/60

39.みーさんぽ

3/3

本日はここまで


 占いが始まる前にタエの元から飛び出した二人……を、追うつもりだったのですが、タエの言葉もあって追うことを止め実体化もせずふらりと散歩をすることにしたみーちゃん。


「はぁ、今日も失敗しちゃったなぁ」


 実体化をしていなくても、野良猫と同じぐらいの大きさのエネルギーを伴なった物体というのもあって、なんとなく周りの人達もあの辺りに何かあるような気配を感じるという不思議な状態。偶にくるっと体を回して私を探す人もいるのですが、見つけられることはなく、振り返った人たちは首を傾げる。


「一時間ぐらいお散歩……、ひーちゃんは何か気になるモノがあったみたいだけど、私はそういうのあんまりないし……どうしよう」


 地球の話は何度も聞いているものの、古い時代だと知っているものも殆ど無く、すまほ?とか、けーたい?とか、少しだけ気になっていたげーむ機も昨日タエの視線であれこれ見たものの見つけられず。


「あっちの方に行ってみようかなぁ」


 飛び出してすぐ、ひーちゃんを追うように動き始めたので、目の前にはパッカーンと割れるあの橋があって、昨日のお風呂上りにも見たようなのとは違う大きい川が。考えてみると川が所狭しとあるのは私的にかなりポイントが高い状態。


「とりあえず、行くところもないし呼ばれてる?気もするから、いってみますか」


 なんとなく川が私を呼んでいる気がしたので、お呼ばれしてみることに。

多少高さはあるもののトンッと強めに地面を蹴ってスタッと河川敷に降りると、狭い川でもないので変な匂いはそこまで気にしないで良さそう。


「私が反省……いや、ふーちゃんやつっちーが反省するべきだから、わたしは反省しなくてもいいかな?いや、でも……ちゃんと伝えられなかったのもその通りだし……うーん」


 このまま悩んでいてもいい答えなんかで無いような気がしていると、少し離れた位置でぽちゃんと水音が。

 さっきも川に呼ばれた気がしたのですが、ふらっと音のする方に向かうとそこにいたのは私と同じであろう人非あらざる者。


「なーにしてんの?」

「はんせー?」

「うわ、えらっ」


 驚き、ぱしゃんと水をあちらこちらからこぼす。


「偉くないよ。どうしようか考えているだけだもん」

「考えるだけ、偉いでしょ。そんな意味ない事して」

「意味、なくないよ?しないでいい事をした時点で、えらい?」


 けたけたと笑い、ぱしゃぱしゃと水を叩き、その様子はとても楽しそう。


「そういう、キミはなにしてるの?」

「川流れ?いや、今は君と話してる?」


 笑いながらも、少しだけ寂しそうに目尻を下げる。


「僕たちの力は強くなったり、弱くなったりが激しいから、なんというか遠くない未来消えちゃう気がするんだよね」

「そうなの?」

「まあ、すっごく僕たちを好いてくれている人はいるみたいだから、今日の明日パッて消える事はなさそうだけどね?」


 右手の平の上に水をぽこぽこっと溜め、石投げの要領で横にブンッと右手を振ると、水の塊が川の水の上をタッタッタッと走り、何回も水切りをする。


「悲しい?」

「どうだろう?僕達もさ、いい奴もいれば悪い奴もいるから、みんなが人に敵意を持っているわけじゃないけど、やっぱり出自自体が恐れられている事も多いからね」

「そうなんだ?」

「そうだよ。鬼はさー、いい奴も悪い奴もいるから結構迷惑してるってよくぼやいているよ」


 ボヤキを聞くほど仲のいい鬼が居るって、なかなかの友達想いというか仲のいい友達なんだろうなぁって頷きながら聞いていると、左手をポンと叩きながらも水が跳ねる。


「ぬらりひょんが、悪い事してないのになんでか怖がられてるって首をかしげていたよ」

「それは、勝手に家に入るからでしょ?」

「しょうがないじゃん、そういう出自なんだしって。ぬらりおじちゃんが笑ってた」


 そういいながらホイっと河川敷の石を私に投げて来る。


「どっちが水切り出来るか、戦わない?」

「別にいいけど、なんにも賭けないよ?」


 いきなり話しかけてきたこともあって、私が怪しんでいると伝える。


「いやー、本当はやっぱり相撲をして……尻子玉とか抜く?とかやろうと思ったんだけど、最近の人間って狡猾でさー」

「そうなの?」

「そうそう。お辞儀してくるんだよ。相撲をとろうっていうのにさ。で、お辞儀をすると……この通り、皿の水が結構落ちて力が出ないんだよねー。ま、甲羅にかくしておいた瓜食べて、無理矢理勝ったけどね」


 甲羅から一本キュウリを取り出すと、もしゃもしゃと食べる河童。


「賭けなくてもいいから、戦おうぜ。俺は河童橋の河童!じゃ、お前が勝ったら悩みを解決してやる!」

「もし、負けたら?」

「うーん、人間じゃないから尻子玉抜いても意味ないし、やっちゃばから瓜を持ってきてくれないか?」

「私、盗みたくない。あと、別に解決して欲しい訳でもない」

「なんだよそれー、あっはっはっは」


 なんかよく分からない河童と河川敷でグダグダとだべる午後は変な空気がします。




今回も読んで頂きありがとうございます。


大安吉日に公開……今月ここが一番間隔が短い部分なのです(笑)

いつもだったら、大体6日ぐらいあるのですが、4日しかない。

なんでだーーー!!!


次回が特に怪しいので、頑張ります(笑)


また、次の大安吉日によろしくお願いします<__>

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