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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
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38/127

38.隠者の灯

2/3

あと一話ありますよー


 占いを見ているお客さん達も周りの屋台にある程度移動し、占いを再開すると全体的に賑やかな空気になり、更にお酒を飲んでいる人達も占いを見る形になって少しばかり賑やかを通り越しそうな空気が出て来たのですが、時間的にも親方さん達の休憩時間があり、一緒に私も休憩をとっていると、お酒を飲んでいた人達はふらふらとこの場を後に。


「タエさんは人を使うのが上手いな?」

「えぇ、そうですかね?」

「ああ。馬鹿する奴も居なければ、ココの通りに寝っ転がる阿呆もいない。更に周りの屋台連中もお客が来てくれて万々歳。三方よしってのはこういうのだろう?」


 三方よしは、本来買い手、売り手、そして世間の三方ですが、私も周りも一緒に見ているお客さんも全員よしとすれば、これもまた三方よし?ちょっと違う気もしつつ、間違いとも言い切れずにいたので、愛想笑いとも苦笑いとも言えない微妙な表情に。


「ん?ちょっと違う感じか?」

「そんな気もしたのですが、言葉の意味が間違っているわけでもないので、いいのでは?」


 親方さんと話をしながら湯呑のお茶を頂きつつ、和やかな会話をしていると不思議な人が歩いていることに気がつきます。


「ん?タエさん、どうした?」


 親方さんが声を掛けてきますが、なんでしょう?この感じは。

 今は休憩中なので占いをするつもりは無いのですが、なんとなく不思議な人を見てみたいという気持ちが湧いてきたので、飲んでいた湯飲みを横に声を掛けてみます。


「そこの眼鏡の人、もしよければ占いはいかがです?」

「ん?私か?」

「ええ。何やら数奇な巡り合わせが見えまして」


 いきなりこんなことを言われて怪訝な顔になる眼鏡の人。


「私が見たいだけなので、お代は無くて結構です」

「いや、金は払う。騙されるのも一興だろう」


 眼鏡の人の言葉に周りがざわつきますが、案内をすると気にせずに席に座って十円を手渡し。受け取りながら占い方を伝えると、頷き両手でカードを混ぜ合わせ一枚のカードを選びます。

 そしてカードをめくると、そこに現れたものは「隠者」のカード。狐の面をした大きなフードを被った男とも女ともみえる人がランプを片手に掲げているヘンテコなカード。


「正位置、隠者のカードですか」

「隠者?」

「ええ。――今のお仕事も悪くはなさそうですが、その内いい出会いがありそうですね。そして、そこでの貴方がやるべきことがこのカード」

「隠れろってことか?」


 眼鏡の奥、ギンッと鋭い視線がねめつけるように私を見ます。


「このカードの意味ですが、正位置なので理想の追求、自分と向き合う、深く考える等の意味があり、勿論今言ったような隠れるというそのままの意味も。まあ、ご自分の事ですから私が言わずとも『分かっている』のかもしれませんね?」

「ふんっ」


 中らずと雖(いえども)も遠からず。そんな表情を見せます。


「私の見立てでは、かなり大きな流れの一つ。そこに立つあなたが見えます。縁の下の力持ち、陰の立役者……そういう物にあなたはなれるのでは?」


 私の言葉を聞いたうえで、反論というよりも思っている疑問を問います。


「上が無能だと、ただ使い潰されろって事か?」


 その目は濁り、ともすれば悲しみも湛え色々な思いを宿しているのが分かります。


「いえ、大きな家は土台がしっかりとしているからしっかりと建つのです。大きな光や力強いモノも、支える力が無ければ光りません」

「――二番目はずっと、二番目だろう?」

「二番目のなにが悪いのです?」


 私の言葉は占いをされている眼鏡の人よりも周りにいた見ている人達の方にどうやら少しばかり刺さったみたいで。


「二番目は……悪くないのか?」


 群衆の一人がぽつりと零すと、周りの視線が動きます。


「一番の方がいいとは思いますが、二番は十分上ですよ。あと、私が伝えたいのは一番、とか二番とかではなく、支える力の話です」


 眼鏡の人がズイと前に出てきますが気にせずに言葉を続ける。


「一人で出来る事は限られています。でも、支えてあげる人が居れば一馬力は二人力。倍です。車輪は二つの方が真っすぐ進むでしょう?」


 その言葉にまたも眉をひそめますが、目の色は濁りが消え真っすぐにこちらを見つめます。


「伝わったみたいですから、御守りを」

「いや、そういう物は持っていても……」

「では、そうですね。気休めを」


 そう言って、机の横に立てているヒイラギを左手でスッと持ち、鈴に見立てたように眼鏡の人の頭の上まで持ち上げて、シャンシャンと葉っぱがこすれる音だけのはずが幻聴かの様な音が周りにも響く。


「見せていただきありがとうございました」


 持っていたヒイラギを戻し、深々と頭を下げると座った時と同じようにスッとなにも言わずに席を立つ。


「表に出なくていいとは恐れ入った。期待せず待とう」


 去り際の一言は私が占いをしてよかったと思える言葉を貰えた瞬間だった。





サブタイトルって、難しいです(私には)


読んでもらいたい所を書いてしまうと、タイトル落ちに。

でも、明後日の方向の文章だと意味不明。


いい塩梅っていうのがね……難しいです。


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