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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
37/60

37.次に行きましょう

1/3です

ただ、次回はウぐぐ……


 占いの内容や結果は個人のモノなのですが、娯楽の少ない時代というのもあって占われている人の周りには人だかりが。その結果、占いの結果も含め内容も周りの人と一緒に共有される形に。


「コレは……逆位置の死神」


 私の言葉に、周りの人達も唾をのむゴクリという音が聞こえる。

 更に、次の言葉を待つお客さんに目を合わせる。


「し、死神?俺は……もう、死ぬのか?」

「いえいえ。逆位置ですし、死神に死ぬという意味自体はほとんど含まれていませんよ」


 目を合わせて嘘が無いというのを感じ取ってもらえたみたいで、ホッと一安心したお客さんが矢継ぎ早に聞いてきます。


「じゃ、じゃあどういう事だ?見た通り不吉な絵柄にしか見えないが、いい事でもあるのか?」


 全体的にデフォルメされた私の使っているカード。今回の図柄の死神は基本に倣って骸骨が体と同じぐらいの大きさの鎌を持っている絵柄なのですが、骸骨の上には狐耳がしっかりとついていて、ホログラムというわけでもないのですが角度を変えれば真っ赤な目や骸骨自体に肉や服も見える仕様。

 そんな事を気にする余裕もないお客さんに落ち着くように両手をバッと挙げて落ち着くように手の平をクイクイと下げて見せると、お客さんが頷きます。


「意味としては、執着、未練、断ち切れない思い――いえ、あなたの場合は癒えない傷ですかね?」


 この言葉に反応したのは周りの人達。

 パッと見ても、占われているお客さんにケガの様子はなく何処かの部位が欠損しているようにも見えません。


「癒えない傷というのは、見えるモノばかりじゃありません。あと、お客さんをあまりみなさんが威圧しちゃだめですよ?あまりに酷い場合は、見るのも禁止にしますからね?」


 私の言葉にぐいぐいと周りで見ていただけのお客さん達が一歩引いて、私の言葉の意味を理解した占われているお客さんは少しばかり睨むように私を見てきます。


「そういうのがあったんだ。――仕方ない」

「ええ。ですが、あなた自身も区切りをつけたいのでしょう?このカードには思い切って決断するべきという強い意志が現れた時にも呼ばれるのですよ」


 ハッとするような顔のお客さん。


「何も今すぐに立ち向かえとは言いません。ただ、この占いをいいキッカケには出来るのでは?」


 私を睨むような目の目尻が緩み、その視線がだんだん柔らかくなるのが分かります。


「新しく何かを始めるというのは、こう背中をパーンっと押して貰った方が楽ですからね?ちょっとだけそういう力になれるように力を込めて――、折角なので厄除けも追加しちゃいましょうか?」


 厄除け?大師様じゃなくて?と、周りのお客さん達がまたもやんやと賑やかになりますが、ぎゅっと握ったヒイラギの葉っぱはいつもの御守りに。


「よく頑張りました。次に行きましょう?」


 周りのお客さん達には聞こえるかどうかわからないぐらい小さめの声で御守りを渡しながらその言葉を伝えると、想いと一緒に言葉も届いたみたいで両手でしっかりと御守りを受け取り、ぎゅっと強く御守りを握りしめながらその両手を額に。

 そんなことになると思っていなかった周りが驚きながらも、午後に入って最初のお客さんの占いが終わるわけですが、何というかちょっとしたお祭り騒ぎのように周りの屋台と違いただの机と椅子しかない場所に人がかなり集まってしまうのは周りに迷惑な気が。


「どうしましょうかね?」


 ぽつりとつぶやくのですが、そういえば相談に乗ってくれるいつものみんなは散歩中。

 ついつい誰かの反応があると思ってしまったのですが、自分で今回はどうにかしないと。


「とりあえず、占い待ちの人達は……ちゃんと椅子に並んでいますね?そうすると、問題は一緒になって見ている皆さんですか。そうですねぇ――」


 周りの屋台の人達が変に怒らないようにしてもらいたいので、なにか良さそうな事にならないか考え、出た答えは一つ。


「もし、他の人の占いが見たいのであれば、大人の人は周りの屋台で何か一品、食べるか飲むか出来ればして下さい。それと人が通る時はちゃんと道を譲って、他の人の迷惑にならない様に!!守れない人は、後で親方さんにどやしてもらいますからねー」


 私が腕っぷしでどうにか出来るとは思うのですが、こういう時は人を頼った方がいいと習ったような気がするので、大きな声で周りに宣言すると少し離れた所からカンッカンッといい音が。


「タエさんよぉ。任されたぜー」


 音の方をお客さんともども見ると、親方さんが手を大きく振りながら宣言を聞いてくれたと教えてくれます。


「親方さんが味方なら百人力です」


 私の言葉に周りで見ていたお客さん達も小刻みに縦に首を振りながら、一杯ぐらいはいいだろうと屋台でお酒や蕎麦、串モノなどを頼む人達が。


 さぁて、みんなが帰って来るまでもうちょっと稼ぎますか。






三話で他の人の一話よりちょっと短いぐらい……ですね。


切りがよく終わる事ばかりではないのですが、一応最近はその辺りを少しばかり意識していたりもします。


自分で言うのもなんですが、このタロットカード……ちょっと欲しい(笑)

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