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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
34/60

34.二人乗りのおわり

1/3

が、頑張った(笑)


 再び双葉の自転車の後ろに乗り直し、占いをしている所まで送ってもらう事になったわけですが、さっきと打って変わって道中は静かなもので。

 ただ、その静かさは心地よく、やはりどこか懐かしさを覚えます。


 そんな私達の気持ちとは若干違いがあるのか、双葉さんはそわそわしている雰囲気を漂わせつつも、気にしない風を装っているのが丸わかり。

 その様子が可笑しいみたいで、脳内はまたも賑やかになり始めたのですが賑やかになると誰かしらが諫められ、一人耽っている風に見えた私をちらっと双葉さんが確認すると、ボッと頬を染め、またバランスを少しだけ崩します。


「あっ、ごめんなさい……何を考えていたんです?」

「今、ですか?」


 ごめんなさいと言われる意味は分からず、ただ耽っていたのはコロコロ変わる表情の双葉さんだと言えばいいだけ。

ですが、あれれ?と思いながらもスッと言葉が何故か出ません。


「ええ。何かすごく楽しそうに見えて」

「あー。今が凄く楽しいですからね。ちょっとしたイベントも今の時間も、それにこの後占いに来るお客さん達も気になりますし、夜はどんな美味しいご飯が待っているか――」

「ご飯、ってタエさんは何というか、食べる者の所にいっつも居そうですね?」


 言われてみると、――あれ?朝会った時は……お腹が減っていた時で、さっきのお昼は乾物屋さん。そして焼き鯖と食事の所でばかり会っているという言葉に間違はなさそう。


「人間、食べないと生きられませんからね」

「まあ、そうですね」

「だったら、少しでも美味しいモノがいいでしょう?」

「え?」

「美味しいモノか美味しくないモノか、二択でどっちか選びなさいと言われたら、美味しいモノを選びたいでしょう?」


 選択肢があるなら、選ぶべきは美味しいモノ。

 まあ、現実問題はそこに金額というもっと面倒な指標が追加されるわけですが、さっきのお店はとっても美味しくお高いお店……。もう一回行きたい気持ちはあるものの、手持ちのお金では難しそうな気も。

 そんな事をまたも考え耽ると、悩みながらも双葉さんが口を開く。


「食事の美味しさは、追及されて……いないかも?」


 さっきと違い、運転中という気持ちもあるみたいでほんのり上の空の様子を見せながらも、ぽつりと零す。


「美味しさへの追及は、人がするものではなく、自分がするんですよ?」

「え?」

「自分の美味しさを追求するんです。だから、双葉さんが好きであろう本や、物語の中に答えはありませんよ?」


 自分に合った美味しさは、自分でしか見つける事が出来ません。

 ちょっと醤油が強かったり、塩が少なかったり、ピリッとした辛みが好きだったり、逆に甘めが良かったり。

 そんな事を考えていると、双葉さんはグッと強くペダルを踏み自転車のスピードが少しだけ上がります。


「考えた事無かった。本は先生で、文字は答えで、世界が詰まっていると思って……」

「その考え方も正しいと思いますよ。ただ、世界は一つじゃない。本が何冊もあるように、世界も――」

「一つじゃない……」


 グンと上がったスピードは緩やかに落ち着きを取り戻し、今度は双葉が耽りそうな気配を醸し出す。

 そんな空気が、私たちは心地よく、足をプラプラとさせながら丁度いい食休みを満喫していると、かなり遠目の位置でぶんぶんと手を振る男衆。


「えぇっと、なんだろう?あっちの方が騒がしいような?」

「あー。親方衆の方々ですかね?腕もいいし、目もいいんですねぇ」

「え?あの人達、じゃあ、タエさんに手を振ってる……の?」

「ええ、多分。お昼食べに行ってきますって伝えていますから」


 何故か分からないのですが、自転車のスピードは次第に落ちていきあと一区画進めば占いをしている場所なのですが、多少手前で自転車が止まります。


「タ、タエさん?なんというか、熱を感じません?」

「熱?ですか?」


 そう言った言葉を再び飲みこむことは出来ない訳ですが、丁度止まっていたのもあってタエは自転車の後ろの方に置いていた手をそのまま双葉の頭の所に持っていき、ペタリと手の甲を額に当て、そのまま自分の頬に当てます。


「んー?熱はなさそうですよ?」

「あ、いえ、そうじゃなくて……って、余計に熱くなっていません!?」


 男衆のギンッと睨むような視線を受けて、本能的にマズイと悟った双葉は一人てんぱった状態に。


「あ、えーっと、タエさん、ココでいいですか?多分、皆さんが後は……ああ、睨んで……こっちにズンズンきているぅぅ!?」

「ええ、十分ですよ。わざわざ送ってもらってありがとうございます」


 タタッと腰を浮かせ、地面に着地してニコっと笑って頭を下げる。


「いえいえいえいえ」


 タエの顔が再び近くなってドギマギしたような顔の双葉は慌て、両手を左右に振りながら出てくる言葉はそれだけ。そして自転車があるのに両手を振るという事は……。



 ガシャンッ



 自転車が倒れ、更に慌てる双葉。

 その様子はちょっとおかしくて、堪えていたわけではないのですが思わず笑います。










二人乗り……したことないです(笑)

甘酸っぱい青春ってこんな感じ……なのでしょうか???


想像でしか書けないのでおかしかった教えて下さい。

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