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世界は裏でまわってる  作者: 最上 品
23/60

23.お昼はどこだ?

2/3

もう一話ありまーす


 占いを再開してからそこまで時間が経たないハズですがちょくちょく若い衆が団体で現場を離れ、そして戻って来るというのが繰り返し始めた頃、昨日占った人がペコリと挨拶をしてくれます。


「少し早いですが、お昼時は混むので順番に食事に行くんですよ」

「もうそんな時間です?」

「ええ。ゆっくりしていると鐘の音が聞こえちゃいますからね」


 彼の言う鐘の音はちょうど十二時を指す鐘の音でしょう。

 そして、その時間帯だと混むのは私にもしっかり覚えが。


「では、次のお客さんで私達も休憩にしましょうか」


 並んでいる人には申し訳ないですが、朝も早かったので、気にしてしまうとお腹が減ってきてしまうもの。

ただ、今日は懐も温かいので、朝見に行った市場の方に繰り出すのもよさそう。



「市場だったら、やっぱり焼き魚かな?」

「えー、お寿司がいいなー」

「でも、朝は見かけなかったよ?」

「だったら、まだそこまで有名になっていないけど、実は地元で愛されていた牛めしとかもいいんじゃない?」

「もしかして、有名になるあのお店?」

「そうそう。アリじゃない?」


 頭の中は勝手にお昼が始まっていて、どのお店に行くかと相談が始まったかと思ったのですが、どうやらすぐにとある一件に決定したみたい。

 ただ、今はまだ占い中。あまり余計な事を考えては占いに集中できないので、お客さんにばれないように雑念をはらいながらなんとか目の前のお客さんの占いを終わらせて、御守りを渡したら、気合を入れて立ち上がります。



「机と椅子は……どうしましょうかね?」


 ここに置いたままでもいいような気はしますが、今の時代だととにかく物が不足中。わざわざ取られるようなことをするのも逆に周りに迷惑なので、周りの目がこちらに向いていないことを確認しながら、スススっと椅子を一纏めにして、机の横に置いてキョロキョロと確認しつつも全てをポケットの中に。


「では、お昼へ行きましょう」


 誰に挨拶するわけでもなく、その場を後に向かうのは朝も向かった市場。

 そして目当ては牛めしのお店なのですが、予想だにしない列がそこにはあります。


「まじかー」

「昔から有名だもの」

「流石にあの列はちょっと……」


 列に並ぶだけでも結構かかりそうな人だかりがあったので、脳内会議がすぐに行われたわけですが、結果は否で別のお店を探すことに。

 ただ、微妙に諦めきれない子も私の中に居るので、しっかりと列の近くを通る時に聞き耳を立てています。


「なになに?5時から13時でお店が閉まる。メニューは牛めしだけで……男性ばっかり?えぇ、私達が入ると場違い?あ、でも中途半端な朝の時間だったら意外と空いている?」


 並んでいる男の人達のあれこれを聞き分けているみたいで、情報収集はどうやらバッチリ。


「明日の二度目の朝ごはんにいいんじゃない?」

「……二度目の朝ごはんって響きがす・て・き」

「それはわかったから、この後のお昼どうしよう?」

「アテが外れたから……って、また人の波に流されていない?」


 遠くでどうやら鐘の音が鳴ったみたいで、更に人の流れが激しくなると自分が行きたい方向に全く動けない状態に。


「この流れに乗るのも一興ですかね?」


 脳内的には反対みたいですが、何というか私が知っている人達よりもこの時代の人達はパワフル。明確な強い意志が無いと流れに乗った方が楽な事は昨日と今日でよーく知っていて。

 そして、市場に居る人達の流れに乗っているつもりが、ポーンと弾かれ落とされた形になったのは、女の子が案内してくれたお店の一つの乾物屋前。

 流れから落とされた理由がよく分からないでいた訳ですが、人の流れとは別のスポットの様に丁度ぽっかりここだけ穴が開いているようになっていて。


「だーかーらー。こんなカスはいらねぇ。しっかりしたモン寄越せ!」

「お前さんも五月蠅いねぇ。カスじゃないよ?それにほら、これっぽっちじゃ売れるモノはこういう物にしかなりゃしないよ」

「わっかんねぇババアだなぁ。俺が欲しいのはちゃんと削った鰹節だっての」

「だから、この程度の金で渡せるのはコレだよ!!」


 落とされた場所はどうやら若い男と乾物屋のお姉さまの喧嘩の真っただ中。

 今の会話を聞く限り、若い男が鰹節を買いに来た事も分かり、その金額で渡せるものはこの程度のモノと乾物屋のお姉さんも引かないところを見ると、折り合いがつかないのでしょう。

 そんな喧嘩の真っただ中に落ちた私は……、思いっきり皆さんの視線を浴びる事になったのですが、お昼ごはん……の空気はどうやらここにはないみたいで。


「いきなり出て来て、何の用だい?」

「なんだ、なんだ、別嬪さん?お前さんが解決してくれるってのか?」


 ……本当に私のお昼は何処に行ったのでしょう?







タイトル通りな回になっているでしょうか?(笑)


並んでいたら食べられたのに?…まあ、今回はご都合主義ということで(笑)


乾物屋さんとか、今の子知っているのかな??

スーパーじゃなくて、個人商店があって、いやその前に市場の商店はさらにちょっと違いがあって……。


と、説明だけで長くなりそうなのでそう言うお店があるって思って貰うだけでとりあえずオッケー。

気になったら、調べてみてね?(丸投げ)


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