商団護衛クエストーーーブライド視点②
「警戒しない訳がないだろう。お前達はあまりに怪しすぎる。」
「ん〜。酷いなあ。初対面なのに。」
なんだこいつ。
こちらを見定めようとする粘りつくような視線。
ただ、警戒はしていない感じがする。
戦う気がないのか、それとも・・・・・戦闘になっても簡単に勝てるという考えか・・・・
どちらにせよ、こいつらは危険だ。
すぐに離れた方がいいな。
「用件はなんだ!なければ俺たちは先に進ませて貰うぞ!!」
「ん〜?なんで怒ってるのお?・・・・もしかして、君達を無理やり止めた事を怒ってる?」
何も言う気はないのか?
それか、本当に何の用もなしに止めてきたのか?
・・・・こいつの悪戯で仕事が台無しになるのは勘弁だな。
先に進むか!
「用件は無いという事だな!なら、俺達は進めさせて貰うぞ!」
「あ〜!!待って待って!思い出した!用件!思い出したよ。・・・・まあ君達は僕達を無視出来ないだろうけど。」
「なんだと?」
「君達、この道を通ってるって事はこの先の村に行くんだよねえ?」
「?・・・そうだ。」
何故そんな事を聞いてくるんだ?
この道はアルツ村にしか繋がっていない。
冒険者ならわからないが、商団ならそこしか行き先は無いだろう。
こいつも商人ならそれくらいわかるはずだ。
それに・・・・無視出来ない?
なぜこいつは自信を持ってそう言えるんだ?
「それね、意味ないよ?」
「・・・・?」
「何を言ってるんだって顔をするね。・・・・その村は盗賊団に滅ぼされたよ。」
「・・・・・は?」
バカをいうな!
アルツ村が滅ぶ?負けたのか?
あの村にはグリスヴァルドからの兵も沢山いる。
それに、グリスヴァルドにそんな事が起きたなんて、一切報告が入っていない。
・・・・一体、何を言って・・・・・
「それは本当なのか?・・・お前らが見たのか?」
「いや、見てないよお。僕達が着いた時には既に遅かったねえ。」
「?・・・・ならなんで盗賊団だと分かr・・・・」
「だって僕達が皆殺しにしたからさあ!!!」
「なっ!?」
無視出来ないというのはこういう事か!!
こいつらがアルツ村を襲撃した盗賊団なら、確かに相手せざるを得ない!
殺ると決まれば速攻で決める!!
「後衛!!魔法を撃て!!!!」
「う〜ん。いきなりだなっ・・・・」
ドゴオオオオオオオオ!!!!!!
魔法が相手の馬車に直撃する。
俺と話していた男もその馬車に乗っていたし、普通なら死んでるはずだ。
・・・・・だが、どうしてもこの程度で死んだ様には思えない。
「グレン!!煙が晴れたらすぐに切り込む!いいな?!」
「おう!任せろ!!」
「お前は後ろの奴らにこの事を報せに行ってくれ!!」
「分かりました!!」
1歩後ろで待機していたグレンチームと合流し、いつでも突撃できる様に、剣を抜く。
「そろそろ煙が晴れる・・・・!?」
「いきなり痛いなあ。」
キン!!
煙の中からブライドを殺そうと、さっきの男が飛び出してくる!!
あっぶねえ!!
速い上に躊躇なく首を狙ってきた!
こいつ、人間と戦い慣れてやがる!!!
「「「「やれええ!!!」」」」
「迎撃しろ!!絶対に負けるなよ!!」
煙が晴れると同時に、剣を持った人間が一斉に突撃してくる。
あの男の仲間か!!
この人数・・・・・中々の数の盗賊団だ!!




