もう一度①
「あれ、あれがずっとこの広間から移動しないせいで上へ上がれないの」
ヴェガに連いて行った先で見たのは、見覚えのある龍だった。
忘れるわずもない。
初めてのダンジョン攻略でクラウスやガルドパーティーと共に戦い辛勝した龍。
「焔龍・・・・・・」
思わず声が震えた。
あの時の光景が頭を駆け巡る。
「焔龍!? あれ焔龍だったんだ・・・・・・初めて実物見れたよ」
「なるほど、奴らがここを通ろうとしないわけだ」
俺達の視線の先、巨大な広間に鎮座するのは1度だけ戦ったことのある焔龍。
「でも地龍よりは小さいね」
「強さでいえば焔龍の方が上だ。奴は飛ぶ上に素早く、ブレスも放ってくる」
「うわっ、それは・・・・・・3人で勝てるの?」
地龍よりも一回りほど小さい焔龍を3人で遠目から観察しながら作戦を立てていく。
「奴が地龍よりも劣っている点は防御力だ。地龍よりもダメージは入れやすい上に、回復させてくるような奴もいない。勝率は低くないはずだ」
「俺もそう思います」
もうあの時とは違う。
俺も随分強くなった。
今度は足手まといにはならない。
「そう、まぁ負けるつもりなんてないけどね。家でレインが待ってるんだから」
「そうですね。勝ちましょう。3人で」
「ああ」
ヴェガとフィルドと互いに頷き、覚悟を決める。
何も出来なかったあの頃とは違う。
丁度いい機会だ。
ここでどれくらい自分が強くなったか試してやる。
こんなタイミングで言うことじゃないだろう。
大勢の冒険者が殺されて、アリサとアルトと離れている今思うことではないだろう。
けど俺は今、物凄く興奮している。
心臓が脈打つ鼓動は早まり、武者震いが止まらない。
さぁ、再戦の時だ。
やってやる、勝って必ずここから抜け出してみせる!
「行くぞ!」
「はい!」
「うん!」
3人ほぼ同時に岩陰から飛び出し走り出す!
それを確認して焔龍がゆっくりと起き上がり、こちらを見つめる。
まるで王者のような風格と余裕だな。
けど、それもいつまで持つかな!
「ふっ!」
真正面から近づいていた俺は真っ先に焔龍を射程に収め、剣を背中から引き抜いた勢いで上段から斬り掛かる!
ザンッ!っと音と共に砂埃が舞う。
「そう簡単にはいかないか」
焔龍は大きくバックステップをして俺の攻撃を避けていた。
しかし、下がった先にはヴェガがいた。
「おりゃああああ!!」
足を狙い斬り掛かるヴェガに対して、焔龍は簡単に命を刈り取るその凶器的なまでの爪を振るう!
「くっ!」
ギイイイン!!っと鈍い音がする。
ヴェガが咄嗟に軌道を変えて爪を受け止め大きく吹き飛ばされる。
「氷結旋槍!」
追撃しようと追いかける焔龍の頭や首を狙って横から氷の槍が飛来する!
「避けるか。予想よりも強個体だ。それに賢い」
「ですね」
まだ少ししか戦っていないが、それでも地龍なんかよりかは余っ程厄介だと分かるくらいには強い。
「私が足止めする。お前達でダメージを与えろ」
「分かりました」
「私のことは気にするな。常に奴の足元へ張り付け。一撃でも直撃すれば致命傷だ、気を抜くなよ!」




