昇格クエスト③
「ご、合格で良いんですか!?」
あんな無様に負けてしまったのに合格って・・・・・
何か意図があるのか?・・・・
「ああもちろんだ!」
「理由を聞いてもいいですか?」
「良いだろう!まず、お前はFランクだ!」
どうした急に。
そんな大きい声で言うな。
周りに聞こえたら恥ずかしいだろ。
「Fランクでお前は高度なフェイントや俺の攻撃を1度とはいえ受け流した!これだけでも十分過ぎるほどに合格に出来る資格がある!」
・・・・・え?そんな事だけで?
受け流しは・・・・・ともかく、フェイントなんてある程度剣を齧ってたら誰だって出来るだろうに。
「それだけでは無いぞ!アレス!お前が1番凄いところは特訓を初めて1ヶ月で魔鎧を習得した事だ!」
ザワザワと周りがそれをブライドの言ったことを聞き、少し騒がしくなる。
「それは俺が凄いんじゃない。クラウスのおかげだ。」
「いいや、アレス。お前の努力の結果だ!確かにクラウスさんの指導は上手い!それは誰もが認める程に!だがしかし!アレス!お前はそれほどの才能を持ちながら努力を欠かさなかった!それは素晴らしい事だ!!!!」
キーン
耳がいてぇ!
・・・・・けど、まさかこんなに褒めてくれるとは思いもしないかった。
しかし、何でブライドさんはそんな事まで知ってるんだ?
さっきもクラウスと俺が特訓してたことを知っていたようだし・・・・
「アレス!お前はBランク冒険者である俺と打ち合ったんだ!Fランクのお前がだ!」
「え!?Bランク!?」
クラウスブライドはCランクって言ってたのに・・・・・
「ん?クラウスさんに聞いてなかったか?・・・・あ、いや待てよ?クラウスさんにBランク上がった事を言ってなかったな!ガッハッハッハ!」
なんかずっと楽しそうだなこの人。
この人と居ると、自分自身もちょっと楽しくなってくる気がするな。
「そういう事だ!アレスは合格だ!というか俺はEランクなんて言わず、一気にDランクまで上げたいがな!」
「そんな事したらギルドに怒られませんか?」
「怒られる!」
怒られるんかい。
「だから出来ないのがもどかしいな!」
「大丈夫ですよ。俺はいずれもっと上がるんで、絶対に。」
「その言葉、信じてるぞ!俺も2週間後に大きな仕事が控えてるから今すぐには無理だが、お前と一緒に冒険行ける日を!」
後半は言ってねぇよ。
でもまあ、この人とクエストに行けたら楽しそうだな。
クラウスとも知り合いっぽいし。
今度行けたらいいな。
「では、俺は行きますね。」
「おい!・・・・・一緒に筋トレしていかないか!!!???」
「・・・・」
「ガッハッハッハ!俺相手に無視とは!良い度胸だな!ではまたな!アレスよ!」
ーーーーーーーー
「すいませーん。クエスト依頼達成しましたー!」
「はい。・・・・はい、確かに。クエスト達成です。昇格おめでとうございます。」
「あ、ありがとうございます。」
「では、ギルドカードをお貸しください。」
「あ、はい。」
うーん。
女性耐性がないから笑顔で褒められるとどうしても嬉しくなってしまうな。
営業スマイルとはいえ・・・・・
「はい、どうぞ。お気をつけて。」
「はい、ありがとうございました。」
ギルドカードのランクの部分がFからEに変わってる!
よし、よしよし!
少しずつだけど、確実に成長してる!
この調子でもっと強くなっていかないとな!
クラウスに報告しに行かないとな!
ーーーーーーー
「クラウスー!戻ったぞー!」
「おお、アレス!どうだった?」
「合格!」
「よくやった!まあ俺は心配してなかったがな。お前で合格出来なきゃ他のFランク冒険者はずっと合格出来ないからな。」
「ははは。流石にそんな事は無いでしょ!」
「どうだかな・・・」
2人で笑い合う。
幸せな時間だな。
前世のようにスマホやゲームなど、娯楽は圧倒的に少ない。
けど、今俺はこんなにも充実してる。
どれもこれも全て、最初に良くしてくれたクラウスや良くしてくれる周りの人のおかげだな。
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