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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第3章 マルガス公国
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てんやわんやな聖域回3

 ダークエルフを肩に担いでキャンプ場に戻ると、そこには頭の上にオモチを乗せ足先をペシペシとリッツに叩かれているハニカムさんが、困った顔でテントを立てていた。


「参ったな…今まで立てたテントの構造とまるで違うから、建て方が分からん……フォルディル殿、貴殿なら分かるであろうか? 」


 ブツブツと小声で話すハニカムさんに、少しだけ申し訳ないと感じながら声を掛けてあげる。


「すいませんね。それ、自分が作った物だから既存の製品とは少し違うんですよ。『これ』を預けますんで、少し様子を見てて貰えますか? その間にこちらで立てますんで」


 自分の声に、安心したように振り返るハニカムさんだが、簀巻きにされて口に布を噛まされて気絶しているダークエルフを視界に入れた途端、動きが固まる…うん、ごめんなさい。


「それじゃ、それを見てて下さいね」


 それだけ言うと、簀巻きエルフを地面に置き、簡易テントを立て始める。


 よく考えたら、これ地球にあるテントをモデルにしたからこの世界のテントとはまるで違う物だったんだ…10分も掛からずに作り終えた自分だが、これから少し説明しないといけないな。







「成る程、この聖域にダークエルフがいるとは驚きましたが、まさか侵入していたとは……さらに厄介な事になりましたな」


 渋面になるハニカムさんに自家製エールを渡し、自分は雄鹿の解体をしながら料理を作っている。


 オモチとリッツには、先に聖域で見つけた果物を与えているが、オモチのいつも以上の食いっぷりに、肥満で飛べなくなるんじゃないかと不安でいっぱいになる。


「【鑑定】した所、「魔獣教団」なんて所に所属しているんですよ」


【鑑定】では中々通らなかったので【看破】や【解析】を使ったことは内緒だ。


「何ですって? 魔獣教団と言えば、大公が最重要指定している案件ではないですか! 」


 さらりと、最重要指定を自分に漏らすハニカムさん…わざとなのかな?


「そうなんですか…それなら尋問してみましょう」


 自分も情報が欲しいので、このダークエルフから情報を得る事を考えてみる。


「べ、ベル殿、それは余りに無茶な事かと、この者を外の兵士に渡した方が安全だと思われますが…」


 ハニカムさんはそう言うけど、自分には不安な点がいくつかあるんだよね。


「ハニカムさん。申し訳ありませんが、それは一番不味いやり方です。先ずは、こいつがどうやって、この聖域に入って来たかを考えて見てください。この聖域は、そんなに簡単に入れるものなのですか? 」


 自分の言葉に、怒りを見せるハニカムさん。


「そんな訳無いでしょう! この聖域を囲む塀には特殊な魔法が掛けられており、空間転移などの魔法ですらこの場所に入る事は出来ません。ましてや、門にいたっては今日確認して頂いたばかりではありませんか! 」


 言葉も多少荒くなっているハニカムさんだが、そこまで分かっているなら自分が心配している事が分かりそうなものだが…


「そこまで分かっておいでのハニカムさんなら、後の答えは分かるんじゃ無いですか? 」


 少し、意地悪な言い方になったが、ハニカムさんの顔が青褪めているのを見て、分かってくれたと確信する。


「ま、まさか…内部に内通者か、手を貸している者がいると言うのですか ⁈ 」


 口にする事すら恐れていたハニカムさんに自分は黙って頷く。


「竜の卵を盗まれた件と、クリステラが仲間に襲われた件をお忘れなく。奴らの手は予想以上に、この国の内部に入っていると考えた方がいいでしょう」




 魂が抜けたようになっているハニカムさんを放っておいて、自分はダークエルフの体を先ずは確認していく。


【鑑定】や【危険感知】に引っかかる物は全て解除していく…やっぱり口の中に毒薬のカプセルはあるし、隠し武器も多数あった。


 その後は後手に拘束し、目隠しをしてから【聖魔法】の(アウェイクン)で目を覚まさせる。







「ぐっ……俺は捕まったのか? 」


 起きて早々、自分の状態を把握するダークエルフ…これは厄介そうだ。


「ハニカムさん。これから起こる事は、大公陛下以外に喋る事を固く禁じます。これは大公陛下も同じ意見ですので覚えておいてください」


 小声でハニカムさんにだけ聞こえるように言うと、私は尋問を始める。


「さて、ユーリッヒ・バヌア。君には聞きたい事がいくつかある。正直に答えてくれたら私も楽なのだかね」


 私の言葉に、少しだけ驚くユーリッヒだが、すぐに表情を戻し挑戦的な言葉で私に挑んでくる。


「私に勝ったぐらいでいい気になってもらっては困るな。いくら使徒でも我らが主人の足元にも及ばんよ」


 私は【真贋】でこの言葉に嘘がない事を確認する。


「私を倒すことすら出来ない君を送る主人とやらに、私をどうこう出来るとは思えないんだが。ユフリス国のダークエルフには、そんな事すら分からないのか…」


 私の言葉に絶句するハニカムさんと、ユーリッヒ。


 私は更にユーリッヒを追い込む貯め、もう少しユーリッヒを動揺させる事にする。


「さて、魔獣教団の下っ端がマルガス公国の聖域に何の用かな? ド(・)ラ(・)ゴ(・)ン(・)との契約にでも興味が出て来たのかな? 」


 私の言葉に「違う! 」と叫ぶユーリッヒだが、【真贋】で嘘だとはっきり分かる。


「おやおや、嘘はいけないな。君は自分の状態がどうなっているのか全く理解出来てないようだ」


 私の言葉に口を閉ざし、喋ることを拒否するユーリッヒ。




 さて、どうやって崩していこうか.






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