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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第3章 マルガス公国
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てんやわんやな神の箱庭6

 幻獣達の住む森で、グリフォンに帰還の挨拶を派手にされている自分です。

 この子は俺が先生から野営の練習を受ける時、いつも俺を追いかけてくれた子だ。

 この子に悪気は無いのだが、その力は余りにも強過ぎて、自分はいつも死に物狂いで夜中の森を逃げ回った記憶が今でもしっかりと残っている。


「べ、ベル。本当に大丈夫なのか?」


 リデルが恐る恐る自分に近づきながら話しかけてくる。

 凄いな!自分は慣れるまでに3日はかかったんだが…自分はグリフォンを見て話しかける。


「大丈夫だよ。今では仲の良い友達だから。お前に私の知り合い達を紹介しにきたんだ。この人達が私の知り合いだ。じゃれついてはいけないよ?」


 俺が説明すると皆を見渡し、頭を縦に振る。

 本当に頭がいい子なんだよね。ちょっと手加減が下手だけど。


「触りたい人がいるなら触ってもいいよ。今なら何もしないから」


 ちょっとしたいたずら気分で皆に聞いて見るが流石にいないかな?…っと思っていたら、クリステラとフィナさんが手を上げてこちらに近づいてくる⁈ 予想外の展開だが目を輝かせてくる二人に嘘とは言えないので視線でこちらに来ることを了承する。


「クリステラ!無茶をするな!」


 青褪めた公爵が止めようとするが二人は意に返さない。それどころか首やお腹を撫でている!


「クリステラ様、この子凄いですね。ふわふわです〜」


「首元の羽毛もとても素敵だわ。本当に頭のいい子ね」


 考えてみれば一人は翡翠狼に突撃し、一人は飛竜乗りである。

 男達は流石に恐怖を感じるのか近寄ってこない。

メリナさんもいつの間にかそっと撫でているし男達の完敗だな。







 その後満足するまで女性陣が堪能した後、幻獣達の住む森を案内して行く。

 基本的にここにいる子達は自分を襲ったりはしない。

 この森の植物は強い魔力を持つ為、その草花や実だけで生きていけるからだ。

 また、この世界には魔獣がいない為安心して生活ができる。

 ある程度見回り、自分が挨拶を終えた頃一人のアリスがこちらにやって来る。


「ご主人さま。夕食の準備が整いました。皆様に来てもらうようお願い致します」


 アリスはそう言うとその場から消えて行く。皆が驚く中、俺はグリフォンに別れを告げ転移魔法で玄関まで一瞬で帰って来た。







 そしてその玄関口には木の杖を持ち、戦闘衣に身を包みやる気満々の識天使が皆を待ち構えていた。


「やられた…」


 自分の口から漏れた言葉が静かな玄関に響く…これは自分も気を抜き過ぎていた。

 識天使なる自分の先生は口を少しだけ歪め嬉しそうに自分達に告げる。


「さて、夕食の前に皆さんと一汗かきましょうか」


 自分達の死刑執行が決まった瞬間だった。






「皆さんはどのような武器であろうと魔法であろうと使って構いません。但し手を抜かれた方は追試が待ってますのでお喜び下さい」


 抑揚は平坦ながら嬉しそうに聞こえる先生の声に苛立ちを感じながら自分は皆に覚悟を決めてもらう為、話をする。


「自分からは一つだけ、あの人は俺の『先生』です。俺の全力でも1回も一本を取れたことはありません」


 その言葉に皆は言葉を失う。怒れる竜種を止めれる人物が歯もたたないと分かったからだ。

全員分の武器や鎧はここで自分が作り出したものを使ってもらう。

それなりに作ったもので皆は驚いていたがそれでも先生相手には木の棒と変わらない。


「親父は俺と組んで行くぞ!その方が勝率を少しでも上げれる」


 俺の言葉に頷くマドック。胸当てや手甲などである程度の部分しか守らない格好でスピード重視のマドックなら連携が取れるだろう。

 13隊はいつもの陣形で戦うようだし、上位冒険者達も同じようだ。

 公爵チームは戦力不足なので俺達のサポートに回ってもらう。




「では、行きますよ!」


 その言葉が終わると同時に三人になった先生が俺達に襲い掛かる。

 13隊は先生が三人になった事で多少の動揺があったようだ。

 先生はそれを見てとるや否やバーディに一気に近づくと盾に掌を当て吹き飛ばす!鉄の塊のバーディがゾハンの方向に吹き飛び、ゾハンごとまとめて吹き飛ばされる。

 それを見たギルベルトが魔法を唱えようとするが、その懐に入り込んだ先生の杖がギルベルトの顎を捉えようと…する所でギルベルトが横に飛ばされる。

 ギルベルトを蹴り飛ばしたサルジが投げナイフを無数に放つが先生の杖で弾かれ、フィナに全て向かう。

 動揺するフィナの前にリデルが立ちふさがり全てのナイフを剣で薙ぎ払う。


「強すぎるだろ!」


 リデルが吠えると同時に先生に肉薄し動きを止めようとする。

 剣戟の嵐で手数で押そうとするが、全てを木の杖で力を流され、体勢を崩される。

 フィナの魔法の嵐が先生を包み動きを止めようとするが、杖の一振りで拘束は解かれフィナの腹に杖の一撃が入る。


「てめえ!調子に乗るんじゃねぇ!」


 傷だらけのバーディが決死の勢いで盾ごと体で先生を潰そうとするが、足を杖で払われ体勢を崩されそのまま蹴り飛ばされる。

 動かないゾハンに回復魔法を掛けていたギルベルトの所に蹴り飛ばされたバーディが飛び込む形となり、三人がピクリとも動かなくなる。


「俺ごと構わんから斬り殺せ!」


 サルジはそう言い残すと一瞬で先生の横に回り、体に抱きつく。

 その体に秘めた魔力を全て開放し、魔力の剣を生み出したリデルは二人とも纏めてその剣から放たれる魔刃の嵐で切り飛ばした。









次回も戦闘回が続きます。

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