てんやわんやでオモチ誕生
無課金プレイの俺は異世界にいってもチートとは程遠い存在だった。それなら地味に生きて行くしか無いな〜異世界で細々と生きる無課金プレイヤー
という小説を投稿しました。こちらとは違いネタと話題の課金ゲームを取り入れた小説です。気になった方は是非お読みください。
神龍様の取りなしでどうにか話を進める事が出来たのだが今度は竜の卵自体に問題がありそうだ。
『その子は…石児なのですじゃ』
その言葉に自分は何も言葉が出てなかった。神龍様も目を伏せ、他の竜達も悲しそうな目で卵を見ている。
『卵として生まれてもう100年以上経つのだが卵から感じる生命力はもう殆ど感じられない。それでもトリヴェスはこの子が生きている限りは面倒を見ると言って聞かないのでの。万が一を信じて龍脈に置いてあるのじゃ。』
『その子はまだ死んではいない!今も必死に生きようとしているんだ!』
トリヴェスの必死の言葉が竜の集まるこの場所に響き渡る。この切ない話をどうにか出来ないのだろうか?自分は卵を撫でながら何か打開策は無いかと必死に考える。生命力は僅かだか確かに感じる。しかし、確かに時間はあまりなさそうだ。自分は神龍紋を発動する。ただ発動するだけだ。そして卵に話し掛ける。
「怖がらずに出ておいで。確かに外には怖い事や苦しい事が沢山ある。それでもこの世界は君が生まれてくる事を望んでいる。トリヴェスや竜のみんな、神龍様も見てくれているよ。私も君が生まれてくる所を見たいな。私はこの世界で色々な場所を旅している。それで思うんだ、世界は広くて生きているだけで素晴らしい事なんだって」
神様が転生させてくれたこの世界は自分に様々な影響を与えてくれる。この世界に来て喜怒哀楽が大きくなったような気もする。そんな中で失われようとしている命。出来る事なら助かって欲しい。
『あぁ…あの子が頑張っている。あれ程何も反応しなかったあの子が頑張っている!』
自分の手の中にある卵が薄っすらと光りだす。卵自体も少しだけ暖かくなった気もする。光りだした卵は徐々に点滅するようになり卵の殻にヒビが入り始める。
「おぉ!竜の子が、竜の子が生まれるぞ!」
竜の王の驚きの声に竜達の視線は卵に釘付けになる。まるで自分が見られているようだ。卵のひびはさらに大きくなっていき、遂には欠けらが剥がれ落ちていく。
『頑張れ!頑張れ!』
トリヴェスの必死な応援を受けて卵から脚が飛び出す…鳥みたいな脚だな?鳥はトカゲから進化した説があるから間違いじゃないか。
『ギョピーー!』
なんか竜とは思えない声が聞こえてきた。何か羽毛も見えてきたぞ⁈段々と不安になる自分を他所に竜達は大喜びだ。
『これは…』
神龍様が何か言いかけたが、はっきり言ってもらえませんかね。自分にはヒヨコの羽化にしか見えな…
『ギョピピピピィ!』
卵が完全に割れると中から白い物体が自分の顔に飛んでくる。これ前にもあったやつだ。そんな事を考えながら俺は羽毛枕に顔を埋めるような形で竜の誕生を祝福したのだった。
『フェザードラゴンとは本当に珍しい。これは良いものが見れました』
神龍さんはそう言って喜んでくれるが自分はそれどころではない。竜の子供は自分から離れないのでトリヴェスの近くに行って面倒を見ている。周りの竜達の視線を感じながら相手をしているのだがどう見ても白くて大きい以外は本当にただのヒヨコに見える。羽毛が毛とは違った感じてモフモフするので気持ちはいいのだがこれで良いのだろうか?
『とりあえず名付けをお願いしたい。我が主人よ』
そんな事を言われたが自分にはそんな大層な事は出来ない。
「親御さんにつけてもらってよ。自分には荷が重い」
そう言うとトリヴェスの顔が苦痛に染まる。何か悪い事を言ったかな?
「この子の母親はこの子を産んで死んでいった。父親は誰なのかはここにいる竜達の中で知る者がいない。この子は親無しだ」
「分かったよ。自分が名付けるとしよう」
親がいないなら生まれる原因を作った自分が名付けるのはおかしくないだろう。白くて丸い体につぶらな目を見ているとどうしても「あれ」を思い出してしまう。
「おもち…」
ふと口にしてしまったので慌てて口を閉じたがフェザードラゴンの子供は目を輝かせ自分をよじ登っている。
『オモチ…不思議と柔らかな感じがして良い名前ですね』
『オモチ…神聖な気がする!』
『これは良い名を頂いたな!』
『オモチ!オモチ!』
あっという間に広まってしまった!間違いだと言いたいがそういう雰囲気ではなさそうだ…竜達なんて宴会を始めちゃったぞ…
『私はそろそろ帰らせてもらいますね。ベル殿にはフェザードラゴンまで助けて頂いて感謝のしようがありません。お礼にこの鱗とそろそろ抜ける歯をお渡ししますね。』
神龍様はそう言って1m程もある鱗と2m近い牙を渡してくれた。受け取らないという選択は周りの気配でありえない事が判明したした為有り難く頂く。
『それではご機嫌よう。そうそう、私の名前はアンジュラと言います。覚えておいてくださいね。』
そう言って神龍アンジュラさんは霞のように消えていった。そろそろ自分も帰らないとまずいな…
「自分もこれで用が無くなりましたので帰らせてもらいますね。その子をどうかよろしく…」
…顔面が羽毛塗れだ。これも前にやった気がするイヤイヤと言わんばかりに抱きつく為自分の顔は獣臭くなっていく…
『我が主人、その子は連れて行ってあげてください。その子は貴方の心に反応して生まれたのです。言わば貴方の子です』
トリヴェスがそう言うと周りの竜達もうんうんと頷く。竜の王まで頷いているよ…
「分かりました。責任を持って育てたいと思います。偶には遊びに来るからトリヴェスは宜しく頼むよ?」
『喜んで!』
最後にトリヴェスを撫でて自分の部屋に転移する。今回もハードな一日だった。早く普通の生活に戻りたい…
読んで頂きありがとうございます。




