てんやわんやな竜の咆哮
竜種。それはこの世界において最強と呼ばれるに相応しい能力をもった幻獣。
人間以上の知性を持ち単独での生活を好む。住処はまちまちだが龍脈と呼ばれる場所の近くに作る事が多い。魔法は自分の属性を好んで使う。
全長10m〜100m程。中位〜最上位までのランク有り。性格は人間と同じで多彩。
マドックから簡単に説明された竜種のスペックだが流石にドラゴンだ。自分は某ゲームで竜王と言う名のドラゴンでドラゴンを知ったが最近のゲームではハントされる気軽な存在になっていた為その能力を忘れていた。
…そうだよな。現実にいるとしたらそりゃ天災みたいな存在だよな。首都なので全力でかかれば勝てない事はないが被害が凄い事になるだろう。自分はマドック達の指示に従わなければならないが1つ疑念がある。
「父さん。竜種ってどんな理由があれば襲ってくるの?」
自分の言葉を聞いたマドックは少し考えて答えてくれた。大体は住処を襲われたり、その体を狙われたりはたまた卵を盗まれたりが多い原因らしい。
「被害者である事が多いんだね。」
マドックの説明を受けたら同情するようなレベルだった。基本的に専守防衛じゃないか。これだと逆にこの首都にそのような人間がいる事になってしまう。
「ドラゴンと話して理由を聞けないの?」
平和的解決を提案するが怒れる竜に言葉は通じないらしい。何度か竜に襲われる事があったので念話や共感、ドラゴン語など色々試したらしいが全く耳を貸さないらしい。この世界の人間は何度竜を怒らせているんだ…
「最悪は竜化を使える竜人が取り押さえる事もあるが中々竜化まで出来る竜人はいないからな。」
逃げる事を前提に自分達は行動する事になったが問題は逃げる場所である。燃えやすい物がある場所は危険らしいので木造の建物は駄目だな。石造りの建物なら耐えれるかもしれないが王宮や貴族宅ぐらいしか見られない。
「船の整備が途中だが無理矢理にでも出すか。目的は首都らしいし海に逃げた方が安全かも知れない。」
マドックは海へ避難する事を考えていたようだが副船長に止められる。
「どうやらドラゴンはその海から来ているようなのです。逆に危険になりかねません。」
…海にドラゴンがいるのか。そう言えばクリステラを拾ったのも海上だよな?嫌な考えしか浮かばない。下手したらこの国自体が関わっているんじゃないだろうか?
「海からだと?他の島からでも襲って来ているのか?…まさかな」
マドックも同じ事が頭に浮かんだのだろう。言葉にはしないが自分の方を見ている。大体こういう嫌な考えはよく当たるものだ。
「予定変更だ。首都郊外に出るぞ。ここだと最悪炎に巻き込まれかねん。」
マドックが決断し皆がそれに従う。出来るだ食糧を携えそなたに向かう。周りの人達も避難をするのか大通りには多くの人が集まっている………何だと?全ての門が閉じられている⁈
「どういう事だ?門が閉められていて外に出れないだと?」
周りの様子を見ていたサルサも気付いたのか驚きの声を上げる。門前は大混乱みたいだ。遠視で確認しているが警備の衛兵が門に近寄らせないようにしている。
「こりゃ暴動になりかねませんな。」
副船長も苦い顔ををしている。空からくる竜に火を吐かれたらこの首都は火の街と化すだろう。そうなれば逃げる場所はどこにも無い。どうしようもない状況にマドックも歯痒い思いをしているのだろう握り締める手から血が出ている。
「仕方がないか。親父少し席を外すから後は任せた。」
自分はそういうと港に向かって走る。マドックの止める声が聞こえるが気にする時間も惜しい。セラムーン海運の人達には死んで欲しくないし流石にこの人数の人が死ぬのを黙って見ていられない。
「お前も私から離れるんだ。竜の相手をするから連れてはいけない。達者で生きるんだぞ。」
そう言ってフォルディルを肩から降ろそうとするが…剥がれない。必死になってしがみついている。
「私の言葉は分かるんだろ?良い子だから離れておくれ。今から行く所は竜の前だ。危険すぎる。」
なんとか説得をしようとするが聞いてくれない。時間が惜しいのでそのまま走る。人の波を逆走するような形で港に着くと軍艦が準備されている。一般人は殆ど逃げているようだ。これなら人目につきにくいか?
[索敵]を掛けとんでもない敵性反応を感じる。[認識阻害]に[飛行]を使いその反応に近づいていく。敵性反応の周りに幾つかの反応がある。この感じは以前にあった事がある。竜騎士のワイバーンか?
流石に素顔のままではばれる可能性があるので少し手を打たせてもらう。[竜化]を使い半竜人の姿となる。髪は銀色に肌は青く鱗が現れ耳の後ろから角が伸びる。お尻から蜥蜴のような尻尾も生え、歯が全て犬歯のように尖ってくる。[百花繚乱]では完全な竜にはなれないがこのくらいなら出来る。最後に大空を羽ばたく翼が生え[飛行]な、性能がさらに増す!
目に見えて飛行の速さが上がり竜と竜騎士との戦いの場につく。竜騎士は5人程で足止めをしていたらしい。かなりの傷を負っている人もいるがまだ戦えるようだ。自分は息を吸い込み魔力を乗せてドラゴン語で吠える…
「ヴオオォォォォォオオ‼︎」
(竜の咆哮)によりその場にいる全ての者がこちらを見ている。
「近所迷惑だ!少しは大人しくしやがれ!」
吠えた内容はアレなのだがどうやらみんなの気を引くことは出来たみたいだ。
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