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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第3章 マルガス公国
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てんやわんやな大公様

取り敢えず剣を買うことにする。しかし幾らになるんだろうそこだけが心配だ。


「銀貨5枚ですね。」


店員に価格を言われるが安いな。やっぱりこの商店では価値が分からなかったのかな。まぁいいや。他に買う物はないかな?


「こんな所にいやがった。ベル、話は終わったから次の場所に行くぞ。」


マドックがこちらを探していたのか自分の方にやってきた。ここで別れると言っていたのに何かあったかな?


「おや、その剣は………」


一緒にいた商会の会長が自分の買った剣に目を止めている。知っていたのかな?


「目に止まったんで買ったんですが会長さんは何かご存知で?」


試しに聞いて見ると会長さんも目には止まったがその価値がいくら見ても分からないので店には普通の剣として置いたそうだ。


「そうなんですか。自分は魔法の袋を探している時に見つけたんで気になって買ったんですよ。」


嘘は言わないように話をする。熟練の人たちは嘘を見抜きやすいから困るんだよな。


「あれ。その割には買ってないんだな。やっぱり高すぎたか?」


マドックが腰に下げた剣鉈と長剣を見ながら尋ねてくる。まぁ普通ならそう思うよね。


「金貨30枚で無理なら諦めるけど許可制らしいから紹介状がいるらしいんだ。父さんの紹介状で買えるかな?」


試しにマドックに書いて貰おうと考えていると会長さんに止められる。


「いえいえ。マドックさんの息子さんなら紹介状なんていりませんよ。それにクリステラ様を助けてくれたそうだとか。宜しければこちらで魔法の袋は用意させてもらいますよ。」


もうそんな話まで出回っているのか。向こうはタダで渡してくれると言っているがそれだとサラムーン海運に迷惑がかかるしな…


「会長さん。息子を甘やかさないで欲しいな。此奴は唯でさえ目立つんだ。特別な対応なんてしてたら図になっちまう。」


マドックが父親ぶってそれを止めてくれる。ありがたい事だ。


「そうですよ。売ってくれるだけでありがたいです。足りなければ父さんに出してもらいますから。」


マドックの顔が青くなるのを見ながら会長さんに魔法の袋の説明をしてもらう。容量は100kgが殆どで偶に容量が多いのが出ると国が買い付けるそうだ。また時間経過はするので生ものは注意が必要だ。100kgだと金貨10枚で買えるらしいので買わせてもらう。長剣を入れてみるが問題無いようだ。




商会を出て馬車に乗る。何故か王城に向かっているのは気のせいだろうか?


「何処に向かっているんですかねぇ?」


ジト目でマドックを見るが無視された。仕方がないので黙って外を見る。コルカ王国とは違い木で出来た建物が多く感じられる。王宮や貴族の家は石造りが多いものの宿屋や酒場などは殆どが木造だ。首都マルガスには農園は北のほうにしかないらしい。東が港のある海で南は湿地帯、西は砂漠になっている。道路は広く舗装されており交通を重視しているのがよく分かる。


「商会の会長と話してる時に王城から使いの者が来てな、俺とお前が呼ばれた。クリステラ様を助けた礼を大公自らしたいそうだ。」


要するに強制的に会いに来いって言われているようなものだ。マドックとしても不本意であるらしく機嫌が悪い。


「城には厄介な魔法やスキル持ちが多いからな。関わりあいたく無かったのに誰かさんのせいで大変だ。」


マドックがジト目でこちらを見るが冤罪だ。仕方が無いので魔法の袋から出すように見せかけてアイテムボックスから2つの指輪を出す。


「親父。これを使え。スキル、称号、ステータスを完全に見えなくする指輪だ。しているだけで効果があるから気をつけて。見えないということは怪しまれるって事だから。」


実はラシャンさんにこの間貰った物である。元勇者と使徒、こんなのが2人も一緒にいると疑われるのでラシャンさんが用意してくれたらしい。ユニークスキルですら通さないと言うから世界最高峰のアイテムだろう。


「こ、こんなのいいのか?国宝級を超えてるぞ?」


マドックが緊張しながら受け取る。流石に緊張するのだろう。もう1つ爆弾を入れておこう。


「何よりお母さんから託された物だからね。大事にしてよ?」


からかうように言うと完全に固まった。まぁ神様からの贈り物なんだ。当然だろう。




王城には問題なく着き、待ち合い室のような所まで案内される。中には誰もいない為2人で無言で待っている……訳もなく筆談にて会話?をしている。


「やっぱり何処かで見られてるの?」


「当然だろう。王城だしな。話す時も気をつけろ。言葉の揚げ足をとるのが貴族ってもんだ。」


「大公様が会うって言ってるけど何を聞かれるかな?」


「予想だがクリステラ公女の任務についてこちらがどれほど知っているか知りたいんじゃないか?」


「なるほどね。で何人いるか当ててみない?自分は3人で。


「俺は4人かな。1人は魔道具か何かで気配を完全に消してるようだな。」


マドックが最後に文字を書くと少し気配が騒めく。当たりなのだろう。流石は経験が違いすぎる。


しばらくすると部屋がノックされ人が3人ほど入ってくる。クリステラさんとギルツともう一人。背は高く190cmぐらいだろうか。30代ぐらいに見えるが竜人なので自信が無い。ギルツが扉を開け、クリステラさんが先に入って畏まっている姿を見るからに…


「すまんな、待たせたようだ。私がマルガス公国大公バルト・エル・ザルツだ。」


コルカ王国の王様より他国の王に先に会っちゃいました。後で面倒になりませんかねぇ。






書き溜めした分が無くなりましたので次からは不定期となります。申し訳ありません。

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