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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第2章 コルカ王国
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てんやわんやな辺境伯

「さて、久々の強者よ。全力で戦おうではないか。遠慮はいらんぞ」


 戦う気MAXの老人がそこにいた。


 手には刃先の無い槍を持ち、練武場で待ち構えている。


 顔の笑みが獰猛過ぎて引いてます。


「やる気はいいんですが、自分そこまでは強く無いですよ?あまり期待しないで下さいね」


 そう言って木刀をかまえる。


 全くどうしてこんなことになってしまったのやら。







 辺境伯の執務室から逃げようとしたら辺境伯に捕まり、練武場に連れていかれました。


 現場を見られるのが嫌だったのでアバストとリデルに制限して戦う事を嫌々了承したのです。


「武技無し、致命的一撃を与えないで良いのか? 其方は別に使っても構わんぞ? 」

 

 よっぽど早く始めたいのか槍をブンブン振り回している辺境伯。


 戦闘狂ですかね…こちらも準備運動をしながら相手を見て対策を考える。


 最初の一撃は真正面からで後はリナイデルの右腕側から攻めるか。


 今回の審判はアバストさんにしてもらう。


 アバストさんも何故かやりたがっていたが今回は遠慮してもらった。二戦なんて無理です。


 許してください。


「それでは…始め!」


 アバストさんの合図とともに自分は飛び出す。


 考え通り真正面からの一撃狙いだ。


 リナイデルは受けの構えを見せている。流石練達者。『見』から入るか。


「ぬぐぅ ⁈ 」


 リナイデルが呻き声を上げる。


 自分の一撃を受けたからだ。


 ただ当った訳ではない、槍で受けたのに受け切れず弾き飛ばされたからだ。


「なんて重さだ!中位魔獣並みの一撃じゃねぇか。これでスキル無しだと?」


  すいません、神造体なのでぶっちゃけ体の作りが違います。


 最初から反則なんです。


 それにしてもよく受けれたものだ。


 普通なら槍が折れるか、受け切れず終わってしまうはずなのに。


「今の一撃で分かってもらえましたか?ならここでやめません? 」


  駄目元で聞いて見る。


 あまりこちらの異常さを見せたく無いしボロを出したく無い。


 そう思って言ったのだが、逆効果だった。


「もう勝った気か?まだまだこれからよ!今度はこちらからいくぜ! 」


 そう言うと向こうから突っ込んで来た。


 受け切れないなら攻撃させない、といった所だろう。


 事実それで当たりである。


「受けるのもやるにはやるが、ちとぎこちないな。修練が足りんということか? 」


 フェイントを織り交ぜられた槍捌きに、避けたり受けたりで何とか躱す自分を判断するリナイデル。


 やはり長年の経験が違い過ぎる。


 力押しなら勝てるが相手のペースでやられたら流石にきつい。


 相手の動きは見えるし避けれるが攻撃と防御の切り替えが熟練者のそれとは違い過ぎる。


「まだ戦い方を教わって1年位ですからね。まだまだ未熟なのは自分が一番分かってますよ」


 そう言うと、連撃が止まった。


 リナイデルの顔が驚きで固まっている。


 まぁ仕方ないよね。


 練習自体時間が止まった世界でやってたから実時間だと2週間経ってないもんな。


 まだ…




「はぁ?剣持って1年でそれだと?冗談…じゃ無いみてえだな。なるほど確かに『異常』だなそりゃ。」


 槍の構えを解いて話しを続けるリナイデル。


 これで終わりかな? 対人なんて先生以外全くしてないから比べようが無いし魔獣向けの練習は幻獣や神獣が戯れて来るのを必死で抵抗して覚えてだけだし…


「分かったでしょ? 体のポテンシャルは高いけど技に関してはスキル任せなんでそれ程強くは無いんですよ。

 ですから辺境伯が思っている程強く無いんです」


  そう言うと、やれやれといった感じで自分をみている。


 他の2人も同様だ。


 解せぬ。


  「儂が異常だと言ったのは、お前さんが一年で武技無しでそこまで戦える事じゃよ。実際スキル無しでもそこまで戦える人間はそうはおらんよ。一体どんな人に稽古をつけてもらえばそうなるのか。そちらの方が知りたいぐらいじゃ」


 そう言ってこちらを面白そうに見つめるリナイデル。稽古か…


 あの恐ろしい、殺伐ととした戦闘訓練と言う名の実験の日々を…


  《酷い言われようです。良かれと思って頑張りましたのに。偶には箱庭に戻って来て下さいね。まだまだやるべき事はありますから》


  首飾りから何か聞こえて来たが無視だ無視! ってか思考に割り込まないで頂きたい。


 箱庭がまだ占拠されているようだ。


 自分のスキルなのにどうなっているんだ。


「取り敢えず言える事は、自分の先生は教える事が大好きで教えた事が出来るまで鍛えてくれる…その結果がこれですね」


  「お主…汗が酷いぞ? 何か身体がガクガク震えておるぞ? も、もう無理に答えんで良いから落ち着け ⁉︎ 」


 少し時間が経った後、辺境伯はどうやら自分を認めてくれたらしくこの街にいることを許可してくれた。


 また、これ以降は国が何か言いださない内は自分の詮索をしないと確約してくれた。


 国と人とを第一に考える、流石統治者である。


「そう言う事で、お主には伸び代がまだまだあることが分かったしもう少しやろうではないか。中々壊れぬ相手はおらぬからの。良い訓練になるわ」




 爺さん元気過ぎるだろう ⁈ こらアバストも入ってくんな! 無言で笑いながら入ってくんな!


  この後夕暮れまで訓練と言う名の乱闘は収まらなかった。




 異世界は今日も平和です。






 












 

戦闘回は一番時間がかかってしまいます。

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