港町にて
方向音痴発動☆
ザザーーーン…… ザッパーン
波が、寄せては返しているのよ。
これはいわゆる『海』ってやつよね? 多分。
私は今、岬の先、灯台の元に座り込んで海を眺めているの。
確か私、実家の方向を目指してたはずなんだけどなー。おっかしーなー。
実家の近くには海なんてなかったったはずなんだけどな~。できたのかな~? なわけないよね~。
自分の方向音痴は重々承知してるから、まずは迷いなく行ける村に行って、そこで王都への道順を聞いたのよ。東の森から西の森の方向へ行くには王都を横切るって、アル様が言ってたからね。
「あ~! サシェさん! こんにちは」
「あら、ガーネット! こんにちは」
「王都の方に行きたいんですけど、道を教えてほしーなぁって思いまして」
「え? 王都? アレッサンドロ様のご用事か何かで?」
「まあそんなところです」
「ご苦労様ね。この道をまっすぐ行けば村外れに出るでしょ? そこで三叉路になってるから、その道の真ん中を行けば、王都に着くわ」
「真ん中ですね?」
「そうよ。でも、徒歩だと結構時間かかるわよ。アレッサンドロ様に転移魔法をかけてもらった方が早くない?」
「今、アル様は外出中なんですよ。だから自力で頑張ります」
「そう? ……おかしいわね?」
「ん? 何がですか?」
「いえ、こっちの話よ。まあいいわ。気を付けて行ってらっしゃい!」
「ありがとうございました!」
話の途中でサシェさんに何か気づかれそうになったけど、笑顔でごまかせた。……はず。
にっこりと美しい笑顔を浮かべるサシェさんと別れ、教えられたとおり、村外れまでは順調に着いた。
そして三叉路。
真ん中を選んだはずなんだけどなぁ?
気がつけば南の地方の港町にたどり着いていたのだ。
う~ん、致命的だな。私の方向音痴は。(はたしてそれだけか??)
いつまでも海を眺めているのもなんなので、町に行ってみることにした。
宿も探さないといけないし、もういっそ、ここで薬屋をやるのもいいかもしれないし。
とりあえず視察せねば。
「よいしょっと」
立ち上がり、おしりに付いた砂をパンパンと叩いていると、
「ガーネット!!!」
よく聞き馴染んだアル様の声が後ろから聞こえた。
アル様の声に振り返った私は、そこにいるはずのないアル様の姿を見つけてびっくりした。
THE☆仁王立ち!
腕を組み、これ以上はないというくらいの不機嫌オーラが立ち上ってる。
纏ってる空気が黒いです~!!
って、なんでそんなに不機嫌なんでしょうか?
「アル様? こんなところにどうしたんですか? お仕事か何かですか~?」
と、まずは一番最初の疑問からぶつけましょう。
「はあ? 仕事なわけないだろ」
黒いオーラのまま、アル様は不機嫌に答えてくれた。
ふ~ん。仕事じゃないんだ。じゃあ次。
「じゃあ、親戚に会いに来たとか? あ、お友達かしら?」
「それも違う」
即答。
違うかー。じゃあなんだろ? 次の質問をうんうん考えてたら、
「お前を……」
「はひ?」
盛大な溜息をついた後、おもむろにアル様はつぶやいたんだけど、イマイチ聞こえなかったのよねー。ほら、波の音がサブーンサブーンておっきくてね。
「私がナンデスカ? 忘れ物を届けに来てくれたんですか?」
まるでト○ロですね!
充分確認してきたはずなんですけど、やっぱり抜けてる私ですね。てゆーかアル様も、そんなのわざわざ届けに来なくても処分してくれてよかったのに。
とつらつらと考えていたら、
「違うわっ!! お前を迎えに来たんだろうが!!」
今度はでっかい声で怒鳴られましたさ。
って? 私を迎えに来た? はて。なんで?
「ええ? アル様? なんで私を迎えにきたんですか? もしかして迷子になってるのが伝わりました?」
電波かなんか、とんでたのかしら?
「まあ、実際迷子になってるようだがな。それはいい。勝手に家を出て行くから、連れ戻しに来たんだ」
「ええ? 勝手じゃないですよ~? お手紙書きましたよ?」
「オレの同意はないだろが!」
「まあ、そうですね」
「じゃあ勝手だろうが」
「そうなりますね。ほんとだ」
「~~~~~」
「アル様?」
「とりあえず帰るぞ。話はそれからだ」
「えええ~~~???」
アル様は私に近づいてきたかと思うと、おもむろに抱え上げて、そのまま移動魔法を展開しちゃいました。
今日もありがとうございました(^^)
私は方向とか大丈夫な人なんですが、だからか、私の周りには方向音痴ばかりが集まってくる……(笑)
でも座右の銘は『すべての道はローマに続く』!!




