朝っぱらからこのザマである
ミカンが生まれ一日が経過した。
曜日で言えば土曜日。つまりは休日である。
「出て行けぇっ!」
一坂は朝っぱら、開口一番これだった。
しかし、当の本人はラブリーな寝顔で、
「すぴすぴす ぴーすぴすぴす ぴすぴすぴ……」と、寝息で一句詠んでいる。
膨らませた鼻提灯で、今にもお空にぷかぷか浮いてしまいそうだ。
そんなエイリアン娘は中身は五歳児がせいぜいだが見た目はしっかりお年頃。
パジャマ代わりに着ているTシャツが無防備にはだけちゃって、可愛いおへそが、ちらり☆なんてドッキドキの刹那なのだが、生憎一坂はそれどころではない。
一坂の住むアパートは、また倒壊の危機に瀕していた。
ミカンは尻尾の寝相がすこぶる悪く、平和な寝顔とは裏腹にさんざっぱら暴れ回ってくれちゃって、おかげさまで部屋が日当たり良好風通し良しの劇的なビフォーアフターを遂げていた。
「もうあきまへんて……こないな生活」
寝ていようが関係ないっちゃ。
このまま簀巻きにして、警察に着払いで送りつけてやる。
……………パチ。
起きた。
大っきなエメラルドグリーンのお目めをパチクリさせている。
「パパおはやー」
起き抜けからの太陽サンサン笑顔の元気。
「……………ああ、おはよう」
なんか、怒気を抜かれてしまった。
やりどころを失った一坂はがっくり肩を落とす。
「起きていたか。感心感心」
いつの間にか詩織がいた。
「どうした? まるで目の前で起こる凄惨な光景に身動き一つ取れず、一睡もできなかったような顔をして?」
「ズバリだよちくしょったれ!」
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おきな




