表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/33

31.力を返す日

 夢の中で、誰かがカリナを起こす。


「起きて、起きて。私よ」


「あなたは‥‥‥」


 昔、泉のほとりで会った妖精。

 あの頃と変わらない美しい姿のまま、彼女は夢の中で微笑んでいた。


「ネックレス、本当にありがとう。私ね、あれからずっと無くさず身に付けているわ。彼との大切な思い出なの。今はソル王国も滅んでしまって、彼の思い出は何も残っていないから」


「ソル王国? それって伝説の国ね。妖精の姫が恋した王子がいた国‥‥‥」


「そうよ。ただ、どうしても寂しい時は、過去に会いに行くけれどね」


 フフフと彼女は笑う。


「もしかして、そのネックレスは彼から貰ったものなの? じゃあ、あなたは妖精の姫なの?」


 彼女は今頃、分かったのね。

 そう言うようににっこりと笑った。

 

 カリナは伝説のことをいろいろと尋ねたくなった。

 でも、彼女は急に真顔になる。


「いろいろ話したいけど時間が無いわ。少しマズイことになったの。あなた、力を大きなことに使ってしまったわね。神に気付かれてしまったわ。怒られる前になんとかしないと」


「大きなこと? もしかして、国王陛下の暗殺を防いだことかしら?」


「そうよ。私の力は未来も過去も見通す力。‥‥‥私、時の妖精なの。私の力は時を超える力。そして、今を見通す力。その力を少しだけあなたにあげたの。だから、なんでも分かったはず」


「えぇ。例えば、運命の相手、運命の相手が住んでいる家、出会う場所。それに今、違う場所で運命の相手が何色のドレスを着ているかも分かる‥‥‥」


「そう、それが私の力。私は意識だけでも時も空間も超えて、好きな物を見られるの。あなたの望みは占いだったから、知りたいことだけをカードが示すように工夫しておいたのよ」


 妖精はそこで、カリナに申し訳なさそうな顔をした。

 カリナは理解した。


 この力はきっと、本当は人間が持ってはいけない力。

 神に怒られてしまう前になんとかしないと。つまり‥‥‥。

 

「‥‥‥その力を返す日が来たのね」


「ごめんなさい。ネックレスを探してくれたのに」


「いいえ。この力のお陰で、いろいろなことを知れたわ」

 

 そう言った瞬間、体の中から何かが抜けていく。

 そんな気がカリナにはした。


「また会いましょう。次に会う時はもっとゆっくり話をしたいわ」


「えぇ。そうね」


「じゃあ、約束ね。また来るわ」


 そう言うと、フフフと笑い声を残し、妖精は消えてしまった。

 





 次の朝、夢から覚めたカリナは悟った。

 自分は、妖精の力を失ったのだと。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ