無題
「本当にいいんですか?」
「ありがとう、門崎三葉。シナリオ通りね」
「いえ。それで、後は彼を自宅に運ぶだけでいいんですよね?」
「そう。それだけしてくれたら後は好きにしていい」
「分かりました。こんなのお安い御用です。あなたは私を生き返らせてくれたんですから」
「魂を降ろしただけよ。生き返らせたなんて、そんな素晴らしい物じゃない。これからあなたは体が朽ちる前に他の体に乗り換えていく、そんな生活をしなければならない。そんなの生き返らせた、蘇生なんていえないわよ」
「そうですか? 普通はそれすらできないと思いますけど? それに老いってそういうものじゃないですか」
「何にせよ、私は失敗した。それが結果よ」
「自分に厳しいんですね」
「甘えに甘えた結果よ。私は……私が自分に甘いから、こうなった」
「そんなものですよ、人間なんて。甘えというなら、私のこの体もその甘えの結果といえます。殺人のために、あなたという悪魔の甘い蜜を啜ることにしたんですから」
「悪魔、か。フフ、まさにその通りね。さて、無駄話はここまで。私は……これでさよならね」
「分かりました。さようなら、
神代未零さん」




