番外編俺を拾ってくれた恩人。
時間ができたので書きました。
俺は小さい頃から人の心に隠している秘密が分かった。見るとその人物の隠してる事が心に浮かぶのだ。
「おかあさん、おとうさんはライアさんの方が好きだって」
この一言が原因で、浮気がばれた父親は俺や母親を捨てて出て行ってしまった。
「化け物!お前の所為で私は不幸になったわ!」
色々言い当てた俺を、母親は罵って置き去りにされた。捨てられたのだ。それから一人でひもじい思いをしながら生きてきた。力を使い、隠してあるお金を盗み出したりして生きてきた。そんな俺を拾ってくれた少年が今の御主人様だ。
「君、人の考えてる事が分かるのか?」
偶々、少年の前で捕まった俺はやけくそで答えた。捕まった腹いせに捕まえた男の秘密を暴露したからだ。
「そうだよ!俺は化け物さ!」
思わず母から言われた言葉を返した。傷ついていた、母親からずっと言われた言葉が俺の中で渦巻いていたんだ。
「化け物?違うだろう、きっと君は僕に仕える為に生まれてきたんだ。そうだ!僕の従者になってよ」
その少年はにこにこしながら俺にそう言った。誰も要らないと捨てた俺を欲しいと。不思議な事に少年には隠してる秘密らしき物が浮かばない!見えないんだ。
「見えない!隠しごとないの?」
そう言うと少年は笑った。不思議そうに俺がするとはっきり答えた。
「うーん、君が見えるのは本人の希望とか願いだろ?僕は実行すると決めてるし、叶わないとは思ってないからね」
嫌われる事はあっても、笑いかけられた事など今迄なかった。何だか嬉しくて涙が出てきた。こんな俺を必要だと言ってもらえる。
「本当に俺がいた方がいいの?側にいても嫌な顔しない?」
優しくされた事もない俺は、そんな事を聞いてしまった。
「君は悪くない!僕の側にずっといるといい、お嫁さんも見つけてあげるよ」
お嫁さんまで見つけてくれると言う少年に、俺は一生側にいて役に立ちたいと思った。お世話になって、従者の仕事を覚えながら、色んな事を教えてもらった。毎日が楽しかった。そんな日が続いたある日、御主人様であるシルバール様がこう言った。
「ラルス、僕の為に沢山の人を幸せにしてくれないか?お願いだ」
俺に人を幸せにできるんだろうか?壊してばかりの俺に。
「俺にできますか?」
不安そうにする俺に向かい、にっこり笑ってくれました。
「ラルス、大丈夫。君には人を幸せにする事ができる力があるんだよ。僕にとって君は幸運の使者だ」
シルバール様は俺の力を幸運だと人を幸せにできると。それを実行して、幸せを導き出したのは俺では無い。化け物と言われた俺に、自信と生きて行く力をもらった。どんなに感謝しても感謝が足りないと思う。
こんな俺にお嫁さんまで見つけて来てくれた。実を言うと一目惚れだったが、貴族のお嬢様に、平民の俺では釣り合いも取れない。憧れとして胸の奥にしまっておいた恋だった。彼女の秘密も知っていたので諦めも付いていたのだ。
「ラルス、この令嬢が君のお嫁さんだ。婿に行ってくれないか?」
俺が一目惚れだった人が目の前にいる。嘘だろう?
「え?俺は平民ですよ。俺では釣り合い取れませんよ」
彼女願いは、シルバール様の妻にだったはずだ。でも、今は見えない。
「ラルス様、私を妻にしてください。お願いします」
好きな人に言われたら断り切れない。だが…諦めもなくてもいいのだろうか?
「心配しなくても貴族の家に養子になれば問題無い。話も付いているから大丈夫だ。後は二人で決めてくれ」
シルバール様は部屋を出て行かれた。俺が婿に行く事は決まってるみたいだ。でも、もう一度彼女に聞いてみよう。
「本当に俺でいいんですか?シルバール様が好きですよね」
彼女はちょっと困った顔をしたがはっきり言ってくれた。
「私、綺麗な物眺めるのが好きなの。貴方を婿にしたらずっと見ている事ができるでしょう。だからお婿さんになって下さい」
彼女が微笑みながら言ってくれた。嬉しい。例えそれが、シルバール様を眺める為だとしても妻になってもらえるのだから。
「はい!俺で良ければ」
結婚してからも、従者をしながら家の事は妻に任せて頑張ってきた。子供にも恵まれた俺は幸せだ。俺にとっては、シルバール様こそが幸せを運んでくれた神様だ。一生かかっても返しきれない恩人だ。これからも、シルバール様の為にできる事をしていこう。




