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172  作者: Nora_
10/10

10

「こんにちは」

「こんにちは、今日もれみはれみって感じだね」

「そんなの当たり前よ、寧ろ私みたいじゃなかったら怖いでしょう」


 本当にそうだ、僕はいきなり馬鹿なことを言ってしまったことになる。

 でもまあ、失言をしたら死んでしまうとかそういう世界ではないから気にせずに歩き始めることにした。

 彼女の大学生活が始まってから初めてゆっくり過ごせることになるので、悔いが残らないような一日にしたい。


「どこに行こうとしているの?」

「え、それは映画館とかそういうところだけど」


 リードなんてできないからネットで調べて丸パクリしているだけだったが、どうしたらいいのか分からなくてうろうろして優柔不断状態でいるよりはマシなはずだ。


「そんなのいらないわ、あなたのお家に行きましょう」

「えぇ、それならどうしてここを集合場所にしたの?」

「雰囲気が出るからよ、行きましょう」


 雰囲気……出ていただろうか? ただ集まっただけだから特になにかがあったわけでは……。

 ま、まあいい、しっかり付いていかないと離れてしまうからそちらに集中する。

 それにしても彼女は本当に白い服がよく似合う、中学生のときは夏服姿に何度も目を奪われたものだった。

 高校生になってからはそういうこともなかったからやっぱり中学生の時期はそっち方向に寄りやすいのかもしれない――って、これは自分だけか。


「開けて」

「うん」


 ここは自分の家だから当然落ち着けるものの、せっかく彼女といるのにこれでいいんだろうかと悩み始めた。


「私は外より屋内の方が好きなの」

「うん、進んで外に出る子ではないのは分かっているけどさ」

「それにお店に行くよりこうして触れていたかったのよ」

「手を繋ぎながら歩くとかすればそういうのも満たせたんじゃないの?」

「私はよくてもあなたは人目を気にしてすぐに離してしまいそうじゃない」


 実は春休み中に彼女がそうしてきた際に通行人がいるからということで離してしまったから違うとは言えない。

 普通は女の子の方が恥ずかしそうにしそうなのに僕らは違うというか、僕がただただ女々しくて困るというか……。


「だから今日はずっとあなたにくっついているわ」

「そっか、じゃあ今日はここでゆっくりしよう」


 彼女がいてくれるならどこでもいい、それだけはいつまでも変わらないことだ。


「ところで、大学生活はどうなの?」

「まだ慣れていないわ、時間がかかるでしょうね」

「それは仕方がないよ」

「ええ、だからゆっくりやっていくわ」

「うん」


 こっちも新しいクラスに慣れるために努力をする必要がある。

 だから離れていても同じようなことができるからその点は嬉しかった。

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