俺と誰この人?
今回はすごく短いです。
あと、ちょっとやってみたかった事をやった感じになりました。
スイマセン……
「姉さん、起きて。朝だよ。」
テノールのしっとりとした声と共に、体を揺さぶられる。やめてくれ妹よ、兄さんはまだ……って、え?テノール?というか姉さん?
「姉さん、早く起きないと、僕、お腹減りすぎて倒れちゃうよ?」
その一言と共に、寝台から飛び上がる。その直後、額を襲う鈍痛。目を開くと、そこには中性的な容姿をした青年が額を抑えながら涙目で此方を見ていた。お前、誰だよ。
「と、取り敢えず……部屋から出て行けーーーー!!!」
大きな声で叫び、その青年を蹴り飛ばして部屋から追い出す。叫んだ声は、毎日俺を困らせる妹のものに聞こえた。
兎にも角にも、現状確認が必要だ。そう考え、周りを見回す。普段と変わらない家具の配置、なのだが少しだけ部屋が広く感じられた。寝台から立ち上がる。やはり普段よりも視線が低く感じる。
「んー……あー………なんだこれ。」
困惑しながら小さく声を漏らすと、自身の耳に入ってきたのは、妹そっくりな声だった。これは夢、と思いながら、クローゼットへと向かう。クローゼットを開けると、可愛らしい服と芋ジャー、そして自分が通っている高校の女子制服が掛かっていた。
一先ず、それは後に回し、クローゼットに備え付けられている鏡を覗き込む。覗き込んだ先に居たのは、妹そっくりな癖に、どこか気の強そうな女の子だった。
「なななななななな……なんじゃこりゃーーーーーーーーー!!!??」
取り敢えず、こういう時のテンプレを叫ぶことに決めた。