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自分語りをしまくった勇者は魔王の年にビックリ、可愛いから良しとしよう

 魔王コリンによって大国は彼の支配下に置かれる。



 だが、それを公表する事は無い。



 世界最大を誇る大国の城が攻め落とされたとなれば、その街だけでなく世界中が混乱に陥る可能性がある。



 皇帝ロードハルトに、魔王によって攻め落とされた事は伏せるよう話し、魔王コリンは勇者アリナと共に城の外へと出て来た。


 セオンはそのまま残り、魔王の代理でロードハルト達から色々話を聞く。



 外で彼らを見た騎士達、揃ってコリンを変なものを見るような目を向ける。



「こらー、見世物じゃないから散った散った」



「あ、失礼勇者殿…!」



 シッシッと右手で追い払う仕草を見せ、騎士達をアリナは追い払っていた。


 勇者が魔王を監視という形で付いていなければ、敵意を剥き出しにして斬り掛かっていたかもしれない。



「やれやれ、何処の世界も珍しい物見ればジロジロ見たりと変わらないもんだなぁ」



「何処の世界も、て事は此処以外の世界を知ってるの?」



 ブツブツと呟いた文句がコリンの耳に入ると、アリナの顔を見上げて尋ねる。



「(あ〜、その上目遣い良いわぁ〜♪これで白飯行ける!)」



 その顔がまた可愛らしいとなって、アリナは顔がニヤけてだらしなくなりそうなのを堪えた。



「ぶっちゃけると、あたしこの世界の人間じゃないからねー」



「マジでぶっちゃけたなこの女」



「流石にそれは驚いちゃうね」



 内心エキサイトしつつも、自分がこの世界の人間ではなく異世界人だと、さらりと発言するアリナにマルシャが冷静にツッコミ、コリンはへえ〜という感じで笑った。



「本当のあたしは現代日本のブラック企業の会社で扱き使われる可愛そうなOL…という訳ではなく普通に学校に通う成人式迎えた学生でしたー」



 最初は悲劇のヒロインのように悲しみ、よろめく姿を見せるも、後半は明るく振る舞い説明する。


 簡単に言えばアリナは、元々現代日本で暮らす20の大学生という事だ。



「お前普通に説明出来ねぇのかよ、紛らわしい」



「(げんだいにっぽんにブラックきぎょうってなんだろう?)」



 芝居がかった説明に文句を言い若干呆れ気味のマルシャ、コリンは聞いた事の無い単語に?マークが頭に浮かんでいた。




「いやー、もう普通に暮らしててある日突然よ?光に包まれたかと思えば、真っ暗闇でそこへ見るからに女神様って感じのきわっきわな格好した金髪美女が現れてねぇ、貴女は選ばれた者って言われて初回サービスか能力プレゼントされて、そんでこの世界ご招待を受けたって訳だねー、これがラノベで見て来た異世界転生…いや、あたし死んでないから転移だわ」



「すんげぇ喋りまくりだぞこの女」



「よく息続くなぁ、凄いー」



 自分の身に起きた事を2人に、アリナはマシンガントークのように説明していた。



 女神やら能力やら、ちょくちょく重要そうな事も出しつつ。



「それで旅立ち、戦いを重ねて山を越えて海を越えて…そんなこんなで色々あってこの帝国に辿り着いたって訳よー」



「すんげー省いてねぇか?」



「ちゃんと説明したら日が暮れるけど、聞きたい?」



 ざっくりとした説明だなとマルシャの言葉を受け、アリナはちゃんと説明するならそんくらいかかるよと、告げられた言葉にマルシャもそこまで話に付き合う気は無いようで、それ以上追求しなかった。




「まあ色々学んだものよ、今居るこの大陸はピアーチェ大陸!此処の世界は銅貨、銀貨、金貨とあって紙幣無し!魔法は魔力ある者でなければ扱えない!幸いあたしは白兵戦も魔法戦も行けちゃう万能魔法戦士みたいな感じだけどねー!」



「さりげなく自慢入ってんな」



「アリナ魔法戦士なんだねー、そういう人滅多にいないから凄いよそれ」



 数々の此処での知識を学びまくった日々、それを振り返りながら城の者達からの視線を気にせず、アリナが語りまくる。



 コリンもマルシャも共に、最後の魔法戦士という部分に反応していた。



「んで、此処の武闘大会が開かれていて優勝賞金に釣られれば、体格ある肉食系っぽい男達をちぎっては投げ、ちぎっては投げで無双してアイムチャンピオン!ってね♪そんなこんなで国一番の大国でおっさん…もとい、お偉いさん達に勇者とされてめでたく勇者アリナの出来上がりという訳でした」



 テンション高く、武闘大会の時を再現するように、シュッシュッと拳を突き出すアクション付きで勇者に至るまでの説明を終えたアリナ。



「うん、アリナが強い勇者って事は伝わったね♪」



 彼女の話が面白かったのか、コリンは可笑しそうに笑う。



「ってあたしの話だけして語るのも自分語りばっかになっちゃうから、コリン君とマルシャだっけ?そっちの事も教えてよー」



「え、僕達の事?」



「俺は呼び捨てでコリンは君付けかよ、まあ良いけどな」



 自分達の事を語ってほしいと言われ、コリンは何を語ろうかと杖を持ったまま考える。



「うーん、例えばさ。魔族なんだよね?コリン君って何歳なのかなぁ?」



 魔族なら人間より長寿で長い人生を生きる、それがアリナの現代日本で学んだ知識だ。



 100歳でも200歳でもおかしくない、さあ来いと構える。




「900歳だよ?」



「(めっちゃ年取ってた!?けど可愛いから良しとしよう!)」



 想像よりもコリンが歳を重ねている事にアリナは内心驚くが、これはこれで良いと900歳とは思えぬ幼き魔王を見て話を聞き続ける。

此処まで見ていただきありがとうございます。


900歳の幼き魔王が良い、この作品を応援したいとなったらブックマーク、☆のボタンをポチッと押して応援いただけると凄い嬉しいです。

 

アリナ「900歳かぁ、あたしが20で…めっちゃ年の差コンビ!」


コリン「独り言が多いんだなぁ」


マルシャ「これやべぇ女の監視付いたんじゃね?」

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