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どっちが悪役!?魔王と勇者の魔物討伐

 今回の話は過激な暴力表現があります、苦手な方は観覧をお控えください。






「ケケ!」



「ケケケー!」



 小さな鬼、ゴブリン達の集団。


 人型の鬼で人間の大人ぐらいあり、それぞれがボロボロの布切れを纏ったり棍棒や剣に槍、弓矢と多彩な武器を持つ者が多く見られた。




「グオォォ!!」



 先行するゴブリン集団の奥で大きな雄叫びが木霊する。



 3mは超えるであろう巨体、それに見合った大きな棍棒を右の片手で担いでいる。



 前方には手下のゴブリンが発見した村が見え、彼らはそこに狙いをつけていた。



 ケケケと愉快そうに、下品な笑みを見せるゴブリン達。これから自分達が思う存分に蹂躙する事を想像していたのかもしれない。



 だが彼らは気づかなかった。



 そこに魔王や勇者が居て、襲撃してしまったのが最大の過ちだった事に。




「とうとう攻め込んで来たのか魔物達…この村もおしまいか」



 家から妻と共に外へ出て来たゴラス、見える視線の先には村を目指して、平原から移動して来るゴブリンの集団とオーガの姿があった。



 自警団達は負傷している、仮に無傷だったとしてもあの数のゴブリンだけでなくオーガも居るとなれば太刀打ちは不可能だろう。


 ゴラスは村の終わりだと覚悟し、寄り添う妻の肩を抱き寄せる。



「我々が足止めします!その間に村から避難してください!」



「我らが倒れない限り村には一步も踏み込ませません!」



 サイラードとミディサ、二人の騎士が村人達へ逃げるように呼びかける。



「あんたらだけでって、無理だろ…」



「どうせすぐ持たず無惨に殺されちまう…」



 避難するよう言われるが村人達はたった二人程度で足止めは無理と、諦めてしまっていた。



「諦めるな!俺達が必ず助けてみせるから、信じてくれ!」



 絶対助ける、サイラードは諦めず声を張り上げて励ます。



「(想像以上に絶望で打ちひしがれている…!くそ、これでは…)」



 中々動こうとしない村人達、この状況をどう打開するべきかとミディサは必死で頭を働かせる。


 村人達を守り魔物達を撃退、決して簡単ではない。




「え…あれ…!?」



 その時、両親と共に居たクレアの表情が驚く。



 魔物の集団へと向かう二人の姿を目撃したからだ。





「連中、ぶっ殺す気満々だぜ。ありゃ話し合いの余地なんざねぇ」



 コリンの肩に乗るマルシャが恐れもせず、ゴブリンの集団を見ている。


 魔物の群れから感じたのは殺気に殺意、闘争心を剥き出しにしていて矛を収める気は無さそうだった。



「この前の不意打ちと違って今回は真正面、相手は人間を痛めつけたり殺す事をなんとも思って無さそうな魔物…ぶっ潰し決定だね?」



「ゴブリンって基本的に人間を下に見てる傾向があるから、その認識で合ってると思うよ」



「OK、遠慮無しのフルボッコ確定〜」



 自分達の方が優れていて人間は格下にしか見ていない、それがゴブリンの思考で、ボスのオーガは己の欲を満たすがままに振る舞う。



 これを放置すれば人間に甚大な被害が及ぶ、なので行いを断ち切らなければならない。



 コリンと短く会話を交わした後にアリナは1人、ゴブリンの集団に向かって進む。




「ケケケー!」



 人間の女が自分達にやって来たと思えば、ゴブリン達は笑い声のような奇声を上げる。


 次の瞬間には2体が纏めて、剣や棍棒を持ってアリナに飛びかかっていた。




 そこにアリナはそれぞれのガラ空きな腹部へと、右拳のボディブロー、左の膝蹴りをめり込ませる。



「ゴゲェ゙!?」



「グゲェ゙ェ゙!!」



 腹への強烈な一撃、まともに食らったゴブリン達はそれぞれ悶絶したまま地面に倒れ伏す。



「あれぇ〜?一発でもう終わりぃ?格下の人間に一撃でのされたねぇ、超ダッサw」



 倒れるゴブリンをアリナは見下すように笑う、その目は一切笑っていない。


 更に倒れた魔物達や健在の魔物達を煽っていた。



「ケ…ケー!!」



「ケケー!」



 一瞬怯むような仕草を見せるゴブリン達、だがすぐに殺気をアリナへ向けたまま一斉に襲いかかる。



「どっせぇぇい!!」



「ブゲェェ!」



 顔面を砕く勢いで、アリナの右ストレートがゴブリンの右頬を捉え、吹っ飛ばしていく。


 この時ゴブリンの歯も何本か飛び散る、それ程の破壊力だ。



「どらぁ!」



「ゴゲェ!」



 続けてアリナは別のゴブリンの脇腹へと、左足のミドルキックを浴びせれば、ゴブリンは蹴られた脇腹を押さえながら地面に倒れる。


 何本かあばら骨をやったかもしれない。



「グベェ!」



 アリナがそのまま体をクルッと回転させたかと思うと、後ろから忍び寄るゴブリンを右足の後ろ回し蹴り、高く上げた蹴り足がゴブリンの右側頭部に当たって、気を失ったか崩れ落ちていった。




 ゴブリン達が戸惑い始めた時、アリナは行動に出る。



「来ないのー?あんたら来ないとぉ、こいつ首締まって死ぬよ?」



「グェ…!ェ…ェ゙…!」



 向かって来る魔物がいないと見れば、アリナは仰向けに倒れるゴブリンの首を右手で掴み、絞め上げて圧迫させ始めていた。



 苦しそうにバタバタと足を動かして藻掻き、ゴブリンは首を掴むアリナの手を引き剥がそうとするが、彼女の手はピクリとも動かない。


 この細腕で万力を思わせる力だ。



「苦しいー?けど、あんたら散々人間達を蹂躙したり好き勝手してたよねぇ?だったらこれくらいの報い受けたり、同じ事されても文句言えないよねぇ?ワンパンしてはい終わり、じゃ終わんないから」



「ゲェ…ェェ…!」



 まるで悪魔、首を絞められながらゴブリンは苦しみと共に恐怖を感じ始めていた。


 元々白目を剥いているので状態は分かりづらいが、既に口から泡を吹き始めて、先程より抵抗も弱くなっており危険な状態にまで追い込まれている。



 このまま行けば死は免れない、だがアリナの力が緩む気配は無かった。



 ようやく緩んだのは、他のゴブリン達がアリナに襲いかかった時だ。




 遠巻きに見ていた他のゴブリン達は、アリナを見てヤバいと感じたのか彼女を避けて村へと襲撃に向かう。



 いくらアリナが強かろうが襲いかかる相手と、村を襲撃する相手を同時になんとかする事は無理だろう。



 ゴブリン達はそう考えたようだが、それは甘い考えに終わる。



「ゲゲェ゙ェ゙ェ゙ェ゙!!」



 村へ進撃しようとしたゴブリン達、そこに雷撃が襲いかかり全身に激しい痺れと痛みが走る。



 コリンによる雷魔法が炸裂し、ゴブリン達は黒焦げとなって倒れ伏す。



「何処へ行って何をしようとしていたのかな?」



「答えは分かりきってるけどよ」



 村へは一步たりとも入れさせない。



 立ち塞がる魔王と白猫が、彼らの進撃を阻止していた。





「小隊長、我々は夢でも見ているのでしょうか…?」



「俺も…同じ事を思っていた」



 村を守ろうとしていたサイラード、ミディサの2人は共に信じられない光景を目の当たりにする。



 あれだけ居たはずのゴブリン達が、コリンとアリナの手によって次々と倒されていく。




 コリンは雷の魔法を主に使い、それを詠唱も何も無しで放っている。


 本来魔法は強力な分、詠唱する時間が必要であり隙が生まれやすく、魔法の使い手がほぼ単独で敵に向かい動く事などあり得ない。



 それを詠唱せず、いとも簡単に倒して行く姿。



 やはり力は魔王というのを思い出させるに充分だった。



 アリナの方は武器を持つゴブリンに対して拳で戦い、薙ぎ倒し続けている。


 武術の型など特に無く、あれは武術というよりケンカ、暴力の方に寄っているのかもしれない。



 本来の勇者という英雄像と大きくかけ離れるが、圧倒的な強さだ。




 この領域に帝国騎士であるサイラード、ミディサの両名は共に入り込めず見ているぐらいしか出来なかった。





「ゲ…ゲ…」



 ゴブリン達は全員が戦闘不能、黒焦げで倒れていたり、何本か歯が転がっているだけでなく、血の混じった吐瀉物も地面に散らばっていて、凄惨な光景が広がっていた。




「意外と大人しいねぇ?それとも、大将さんビビっちゃってる〜?」



 不敵に笑うアリナが見据える先、そこに居るのは巨大な棍棒を持つ大型モンスター。



 群れのボスであるオーガだ。

此処まで見ていただきありがとうございます。


ボス戦がどうなるのか気になる、この作品を応援したいとなったらブックマーク、☆マークをポチッと押して応援いただけると凄い嬉しいです。


マルシャ「すんげぇわ、人間同士による町の喧嘩でもそこまでやらないんじゃね?」


アリナ「まあ村からは離れてるし、遠くからなら分かりっこ無いと思って思う存分やっちゃいました☆」


コリン「どっちが悪役なのか分からないぐらいだよね、悪い顔してたよー?」

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