第八十五話 イマームの苦悩
信仰と共存
R2.5.15(金)早朝
ヨンダイ大陸 トークシーマンの地 ナールトン西部 霊山寺
タカショタ
亜里沙様、出発の用意が滞りなくすみました。
神輿へお座り願いまする。
うん、よっと、じゃー、出発!
数分後
あれ、西に向かわないの?
亜里沙様このまま西進されると、おやすみになられる場所が無い為、一旦、南進し、トークシーマン国に入ります。
ふーん、トークシーマン国に行けば良いって事ね。
はい、トークシーマン国はトークシーマンの地では一番人口も多く発展していますゆえ、ご寝所には困らないかと
どこに泊まるのか、決まってるの?
候補はあるのですが、まだ、決まってはいないのです。
候補って、お寺?
はい、いくつかの宗教施設が是非に亜里沙様のご寝所にと申し出ております。
寺社仏閣、モスクなどが名乗りを上げております。
モスク?モスクってイスラム教の?
はい、そうです。
正式にはモスクでは無くマスジトと呼称するそうです。
黒の女王信仰は関係なく無い?
亜里沙様が寺社仏閣、教会、モスク等の宗教施設を庇護されるとの話しが伝わり、信仰は違えど感謝の意を伝えたいようです。
ふーん、じゃ、モスクにしようよ。
あっ、マスジトね、入った事ないし、見てみたい。
わかりました、では、伝令を先発のヒーデキンに送ります。では、トークシーマン国へ向かいます。
ヒーデキンの元に伝令が来る。
黒の女王様はマスジトをご寝所にと?
わかりました。と、トークシーマン国のマスジトに使者として出向く。
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半日程してトークシーマン・回教寺院(イスラム教マスジト)にヒーデキンが到着する。
導師
なんと、当マスジトに寄られるのですか?
素晴らしい、早速、女性礼拝所の一部を寝室に致しましょう。
心よりお待ち致しております。と、お伝えください。
ヒーデキン
急なことで無理を言いますが宜しくお願い致します。くれぐれも・・いや、良しなに願います。
では、後ほど
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黒の女王様が来られるとは・・しかし、どこまで寄り添う事が出来るのだろう?
イスラム教は一神教、黒色教は黒の女王信仰
神を拝するマスジトへ伝説の黒の女王様が来訪する。
神の使徒と言うがいったいどんな神の使徒なのかも分からない。
黒の女王様、さて、どう対応した物か・・
導師は迎え入れる用意を手伝いながら、皆に伝える。
黒の女王様に無礼があってはならない。
しかしながら、黒色教の使徒であっても、マスジトに入るなら、イスラム教の流儀は守って貰わねばならない。
(ここを呑んで頂けるかどうか・・結果として対立する事になるかも知れない。)
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しかし、黒の女王様が来られるとは・・断れる訳も無いし、対談で理解して頂けるだろうか?
〔それとも、我々を迫害する為の罠・・いや、庇護をすると言っている。信じよう。〕
マスジトの建物の手前に天幕が設営され、二階にはご寝所が作られた。そして、女性回教徒達が料理の下準備に入る。
導師は胃がキリキリするのを感じつつ、最悪の結果にならない様、宗教戦争、聖戦などに結び付かない様に神に祈る。
祈り終わり、深く瞑想をしながら思案する。
黒の女王様へのご挨拶は失礼に当たらない様にお辞儀だけに留めるべき・・
こちらが妥協出来ないのは?・・
1.女性がマスジトに入る前に髪を最低限スカーフで隠して頂けるご理解を
2.マスジト内での黒色教や他宗教の行事や礼拝をしない様にご理解して頂く
3.豚や酒類等のハラムの持ち込み禁止、喫煙の禁止もご理解頂く
4.黒の女王様や他の女性に不必要に肌を露出しない様にして頂く
5.マスジト内では男女でスペース分けをしているのでご理解を頂く
6.そして、これが一番大事な部分、アッラーが我らにとって唯一の神であり、信仰対象である。
この6つが最低限、受け入れて頂か無ければならない。
ダメなら招待しておいて、門前払いと言う事になる。
まずは歓迎の証として普通のスカーフとビジャブーをプレゼントさせて頂き、チャイを振る舞う。
何とか宗教論争までで納まるよう、誠意を持って接しよう、伝わるはずだ。
そして、黒の女王様一行がトークシーマン国に入ったと連絡を受け、チャイや歓迎の料理の指示を出すとマスジトの前の道路まで出迎えに出る。
なっ!
街頭の人の多さに驚く!
〔何と言う求心力、味方である事を祈る〕
ヤー、アッラー、我らに導きを!
参照
徳島マスジト
http://www.islam.co.jp/masjid/tokushima/index.html
次話は水崎 叡です。




