第七十三話 アウェー
ご挨拶
ヤッター、ヤッターと言ってると、お勧めの店に着く
張り紙には「味噌モツ鍋」、「新鮮刺身」、「魚料理」、「寿司」、「郷土料理」と貼ってある。
腕を組んだまま暖簾をぐぐり、元気よく彼女が挨拶する。
こんばんは!彼氏を連れて来たよう!
従業員一同
「いらっしゃいませ」
全従業員だけで無く、常連客とおぼしき人達からも水崎の前身を舐め回すように見られる。
だよなぁ、リトルプリンセスって言う位だからファンもいるよなぁ、アウェー感スゲー
只今、お座敷のご用意を致します。それまで、カウンターのお席、どうぞ!と案内され、席に着くとお茶とおしぼりが出される。
前にいる板さん達に鋭い視線を向けらる。
カッスンガー
今日は味噌の牛モツ鍋、ニラ倍で!あと、刺身の盛り合わせと御飯を二つ!
厳つい板さんがヘイ!有難う御座います。とオーダーを通す。
大将さん、この人が婚約者の水崎 叡 さん、なんと伝説者なんだよ!
厳つい板さん
ほう!?今日はじっくりと男見物をさせて頂きましょうか!水崎さん。
初めまして、伝説者の水崎 叡 です。
よろしくお願いします。
厳つい板さん
自分が大将やらせてもらってます、お嬢はデビュー当時からの付き合いでね、常連様って言うよりコノ店の子みたいなもんなんだよ!
古株っぽい常連客や板さん達が頷く
〔ひょー!お父さんがいっぱいだ、視線が痛い。〕
そうなんだよ、私ね、田舎から15で出てきて、この店の裏の小屋で住み込みで店で働きながら、探共の仕事をしてたの
2年前に探共長になってからは立場上、今の所に引越ししたんだけどね、このお店はキタンキュウシン国での実家なんだよ。
そう言う事なんでね、少しばかし、水崎さんには質問をさせて頂きやすぜ!
あっ、ハイ、ドウゾデス。
男女問わずに常連客、従業員から様々な質問が浴びされる。
そして、蓄えがあるのか?と言う初老の男性客からの質問に正直に答えると、何っ!と、皆さん、大きな声が出る。
初老男性客
いくら伝説者とは言え、蓄えが少な過ぎなんじゃないのかね?
えっ、ハイ、ごもっともです。
来たばかりなので、まだ、蓄えが・・すいません。
初老男性客
うーん、婚約する前に蓄えるべきだと思うんだけどね?お父さんとしてはそう言うしかないな。
あの初仕事の代金のほとんどを婚約披露宴で使用してしまい・・なんとも言ってよいやら。
女性従業員
そもそも、伝説者って言うけど、何故、この世界に飛ばされたの?召喚されたとか?
アキバからの話しをして行くと板さん達の手以外は止まり、皆が聞いている。
中年女性従業員
アーベン神と再戦って事は将来的には居なくなるって事なの?お嬢は知ってたの?
お母さんは心配だわ
カッスンガー
初めて聞いた、舞い上がって何も聞いて無かった。
大将
で、水崎さんは将来的にはどうすんだ?
お嬢を捨てて、元の世界に戻るのか?
見た所、若造って年でも無いようだが、生半可な気持ちで付き合ってんじゃないよな?
水崎 叡
先の事は分からないですが、元の世界には戻り方も分からないし、アーベン神に封鎖されてるので戻れ無いです。
アーベン神と再戦後、選択出来るならコノ世界で暮していきたい。
彼女が居るのなら・・
大将
そうかい、納得は出来ないが理解はした。
で、お嬢はそれで良いのかい?
カッスンガー
うん、一緒に居てくれるならそれで良い。
大将
・・うーん、水崎さん、大事にしてやってくださいよ。
はい、お約束致します!と、周りにもきこえる様に答える水崎であった。




