表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここはどこですか?  作者: 天笠 螢
1/5

プロローグ

「ここはどこですか?」


 可愛い女の子の声が聞こえた。

 声だけが聞こえて、その姿は見えない。目の前は真っ暗である。

 暗いのは、目を瞑っているからで、目を開ければ、視界は明るくなるだろう。

 そう思って、重い瞼を開くが、映ったのは薄暗く、ボロボロになった、木材でできた天井だった。

 照明はなく、部屋を照らし出すのは、天井や壁の隙間から零れた、外からの光だけだ。


「間違えました……これは、あなたのセリフでした」


 落ち込んだ声色で、意味の分からない言葉を吐いている。

 僕の台詞だ、と言ったのは、「ここはどこですか?」という台詞のことなのだろうか。

 確かに、今、僕がいる場所は、記憶の中には一片も存在しない。


 間違えて、人の台詞を言ってしまう女の子。彼女は一体、何者なのだ。

 気になって彼女の顔を見ようと、上体を起こす。

 すると、声の主は目の前にいて、目と目が合った。


 薄い青い色で肩を隠すくらいに長い髪の毛で、眼の色も青い。茶色でぼろい布切れを、一枚だけ羽織っている。真っ白で綺麗な肌は、所々、黒く汚れていた。

 完全に日本人ではない、その容姿に、僕は驚いた。聞こえてた言葉は、確かに日本語だったからだ。

 だが、考えてもみろ。このご時世、国際化が叫ばれる中、国際結婚も珍しくない。彼女が、ハーフである可能性は大いにある。

 何故、そんな彼女が、今目の前に膝を抱えて座り込んでいる?

 気になる事は、山ほどある。


 そこで、一つだけ試しに、彼女に向けて、尋ねてみることにした。


「ここは……どこですか?」


 これが、彼女と僕のファーストコンタクトだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ