Q,勝負って何だ?A,駆け引き
ほんの少しの間考えたエクスマは言う。
「後攻で」
第1セット
攻撃:エクスマ
防御:ユーシャ
エクスマがそれを選ぶのは必然的だった。
ユーシャが言った
『反則行為を見つけても中断することはできない。
その反則行為を特別にやってもいいことにする。』
というルール、これをルールとして成立させることなど
もはや馬鹿げていると言ってもいい。
これの悪用など考えるまでもない。
最終セットで反則をすればいいのだ。
そうすれば確実に一回は満点を取れることになる。
(どうせなら参考書から答えが載ってあるページだけちぎって
堂々と見ながら答えてもいい。
それを邪魔することはできないんだし)
ただし、高得点を狙う上で圧倒的なアドバンテージをもらえることに対して、
一つだけデメリットがある。
エクスマが後攻、そして勉強時間は10分
という決定が下ってからユーシャは
自分が言った手順に習い、参考書を一冊取る。
「じゃあ、第1セット目は国語だ」
エクスマは苦虫を噛み潰したように
ユーシャが椅子に座りながら国語の
参考書を読んでいるのを見ていた。
(やっぱり『国語』を取ったか。
そうよね。国語は先輩の得意科目だものね)
鉛筆を転がしてからしか答えを書けない科目が
得意と言えるかという事はさておいて、
ルールには『3セット前までに使われた科目は選べない』とあった。
これは裏を返せば『4セット以上前に使われた科目は選べる』となる。
つまり、1セット目に選ばれた科目は
必然的に4セット後の5セット目に使えるということなのだ。
しかも、この流れは絶対に変えられない。
先攻は勝負の3分の2を得意な科目で進めることが出来るのだ。
さらにエクスマにとって不都合なことに
国語はエクスマにとっても(本当の意味で)得意な科目、
平均以下の成績ではあるが、ユーシャより20点以上の成績を出した。
最終セットは別として2セット目、4セット目を素で挑戦する際に
是非取っておきたい科目であり、初戦から痛手を負ってしまった。
とは言え、ユーシャの頭の悪さをエクスマはよく理解していた。
五教科合わせても50点を超えない元々の学力に
数日間の補習で底上げされていたとしても
せいぜい100分の9が18になる程度。
確かに相手のペースで進められることは痛いが
指に静電気が走った程度の痛み、
後攻によって得るアドバンテージを考えれば何の問題もなかった。
10分の勉強時間の後、参考書がエクスマの手に渡った。
二人は向かい合って椅子に座り、
出題と返答を三十回繰り返した。
結果 第1セット 攻撃:ユーシャ 得点:30点中――28
「――――」
予想外の点数にエクスマは言葉も出なかった。
「いやぁ~、やっべー。これ、負けた。
2問も間違えてちゃったよ、どうしよ。恥ずかすィ~」
両手で顔を覆いその場で膝を抱えながらごろごろと
転げまわるユーシャだが、その声色は全く恥ずかしそうには聞こえなかった。




