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勇者は神様に頼んでギャルゲーの世界に転生しました  作者: 火村静
攻略ヒロイン一つ目 ツンデレ編(63928文字[空白・改行含む])
21/111

良い男なんていなかった

ユーシャは棚に置かれた教科書を少しだけ引き、

一番奥まで押し込んだ。

次に、さっき見ていたアルバムにも同じことをする。

そして、その二冊を取り出して大きさを比べてみた。

「やっぱりおかしいよな?」

どちらの本も奥へ押し込んだときの背表紙の位置は同じ。

しかし、明らかにアルバムの方が大きい。

(奥行きの長さが違う? あれ? もしかして)

ユーシャはその段の教科書をすべて床に下ろし、

棚の中身を調べてみた。

「あっ、こんなところに」

影になっていて見えづらいが、端に蝶番がつけられ、

その反対側には不自然な窪みがあった。

試しに窪みに指をかけて引っ張ってみると、

蝶番を軸に奥の壁が回転し、さらに奥の棚が開かれた。

「日曜大工かよ。エロ本隠すにしても手が込みすぎてるぞ」

新たに現れた空間に置かれていた者は主に雑誌らしきもので

そのうちの一冊を取り出してみた。

「結婚特集?」

表紙にはじょんぱくのドレスを着た女がブーケを持って

人生で一番幸せな瞬間を感じている写真が写されていた。

他の雑誌も手当たり次第に下ろしてみると、どれも結婚に関する内容ばかりだった。

「キャラ設定に一つ追加されたな」

将来したいこと:結婚

(結婚?)

ユーシャは普段のシャルロットを脳裏に浮かべた。

(アレのやりたいことが結婚……)

いつも刺さるような鋭い視線を送り続けてくるシャルロット。

女っぽい魅力が感じられないシャルロット。

色気のあるものはないのかと聞くと『そんなものにうつつを抜かす暇はない』、と憤慨するシャルロット。

(……。ぷっ、ははは。ははははははは)

「似合わねぇぇぇー!(o_ _)ノ彡」

抑えきれないほどの笑いに我を忘れて大声で叫んだ。

「あいつ、結婚したいのっ!? 何歳!? 小学生!?

いや、あえて逆のおばさん? 婚期逃しそうなおばさんなの? 気にしてんの!?

バカじゃね? っつーかバカじゃね?」【※注意 このセリフを言っている彼は主人公です】

落ち着くまでしばらくの間笑っていると、冷静な口調でユーシャはつぶやいた。

「まぁ、とにかくあいつの願望は分かった。攻略するなら結婚に関係する方法が良いんだな」

シャルロットは『結婚願望』という乙女チックな本性な持っていた。

しかし、彼女はそれを『女騎士』という鎧のように固い属性で必死に隠していた。

それは彼女にとって一番大切で弱い部分だからだ。

誰にもばれないように、礼儀正しく、遵法精神を高く、純潔な姿を見せ続けてきた。

「…………ぷはっ。ダメだ。何回思い出しても笑っちまう!」

一度引いた笑いの波がまた押し寄せてきてユーシャの腹をねじ切ろうとしてくる。

「そんなにおかしいかしら?」

「だって! お前、いっつも興味なさそうな顔してんじゃん!

男嫌いです、みたいな感じ出てたじゃん! それがよ?

デートとかすっ飛ばしていきなり結婚? 気ィ早すぎなんだよ!

そんなに挙式したいの? 今から独り身の心配してんの?

俺がもらってやるから安心しろよってなぁ。ハハハハハ」【※注意 しつこいですがこのセリフを言っている彼が主人公です】

「そう」

「はははは、はは。は、ははは。はぁ、あれ?」

笑いながら床をバシバシ叩くを手を止めて、ゆっくりとユーシャは顔を上げた。

そこにはオーラ的な何かを纏うシャルロットが仁王立ちしているのであった。

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