部活~二日目~
開いてくださりありがとうございます。
そして遅れてしまってすみません。
今回は高校生とは別行動をとります。
目を開ける
あまり見覚えのない天井で一瞬どこにいるのかわからない。
あぁ、俺旅館に来ているんだったな。
鷹士はそう思い、最近ちょくちょく変わっている天井に体の疲れが取れないのにうんざりしている。
コンコンッ
ん?うるせぇな、まだ眠いからしばらく寝るつもりだよ。
ゴンゴンッ
あぁーもう、あぁーもう!!!!
掛け布団を乱暴に横に投げ出し、布団から起きる。ズンズンと入り口に向かって歩いていき、チッと露骨に舌打ちをしながら扉を開けようとし、鍵を開けてドアノブに手をかける。
あれ、なんかこんなことがあったような気が・・・
やべぇ!!!
声に出していたかもしれない、頭の中からサイレンが鳴り、ドアを開けた瞬間に大きく横に飛び退る。
その瞬間に風を切る音が聞こえる。
「あれ?」
あれ?じゃねぇよ。
案の定チョップが目の前を通り過ぎた。
「あぶねぇじゃねえかよ。次当てたら恨むぞ、ったく。」
「わるいわるい♪」
まったく悪びれた様子もなく、軽い調子で話している。
悪いですむ痛さじゃないんだぜ。
「んで、何の用だよ?また恋の話でもすればいいのか?」
え?という顔をしたと思ったら、昨日のことでも思い出したのか、少し顔が赤くなる。
思いっきり恥ずかしそうにはしていない。昨日の話でだいぶ吹っ切れたようだ。
少し顔を赤くしながらも話した。
「んー?ちゃうちゃう。」
「じゃあ、なんだよ」
朝からヒヤヒヤされたことに対していらいらして答えると
「部活!もう始まってるけど?誘いにきたんやけど。」
あぁ、そっか。もうそんな時間なのか。そう思い、壁にかかっている時計の時間を見る。
ってまだ10時かよ。
ぃや、高校生は朝早いんだったな。
「あぁ、今日は午前は予定があるから午後から参加しようと思ってんたんだよ。」
田口はえ?という顔をして
「え?なんで?テニス以外になにやるん?」
「旅行に来たんだからテニス以外にもやろうと思ってたんだよね。」
来てみたら特に無くてびっくりしたがな。
「んー、そうなんや。どこに行くん?」
んーどこに行こうかなー、とりあえず、ぶらぶらすることにするか。
「とりあえず、ここに来れなかった友達にお土産でも買いに行くとするよ。」
「わかったわ。ほな、午後から参加してなー」
ばいばーいと言って走りながら旅館の出口に向かっていった。
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俺は準備をして起きた時間から大体30分ぐらいで準備が完了した。財布と携帯、最低限の物だけを持っていく。旅館を出るときに女将から朝食はいかがしますか、とのことだったので、今日は天気が良いので外で食べてきますと、丁重にお断りした。
そしたら女将がへこんでしまったので、明日は必ずいただきますといって何とかなだめた。
旅館から出たら山の空気が俺の鼻腔を通し、心地よい空気が入ってきた。
やっぱり自然の空気は良いなと思いつつ、旅館に来た道を戻る。
とりあえず、やつらにお土産を送ってやらなくちゃなー、と正人と沙織とシゲが頭に思い浮かぶ。
何買っていこうとかなー、とか考えながら歩いて約15分。昔ながらのお土産屋があった。
中に入ると、ちらほら人がいて商品も色々あった。
店主だろうか、おばちゃんがいて、いらっしゃーい、と人懐こい笑顔で対応してきた。
大きさで言うとそれほど大きくはないが、商品が色々な場所に置いてあるため店の大きさにはあっていないほどの量が置いてある。
八橋を初め、赤福、野沢菜、この山で取れたのだろうか、ジャムまである。
ていうかお土産と言うより、商店に近いものを感じる。
とりあえず、有名なものは片っ端から買う。
初めはおばちゃんもびっくりしていたが、お店にこれほど利益があるのは中々ないため、ありがたやーとか言っている。
すると、またお店に来た客がいるようだ。
そんなものを気にせずに商品に物色している。
おっ、東京名物まである、なんだよ、この店。
とか思っていると商品を隣で見ている客が東京名物に手が伸びた。やっぱ珍しいのかなーとか思ってふと隣の客を見る。
年にしては割と体を鍛えていると見受けられる3人の若者がいた。ラケットバックを背負っているから多分高校生だなー、とか思っていた。
あっ、すいませーん、と軽く会釈をして他の商品に物色をし直す。
おっ、ソーダ味の八橋があんじゃん。
色々物色してお土産を結局2万ぐらいの買い物をした。
おばちゃんは不安そうに俺に向かっていった。
「大丈夫かいな?」
「ちょっとさすがに量が多いので送ってもらえますか?」
「あっ、いやそれはええねんけどな。とりあえずこれに住所書いて。」
俺はニコニコしながら住所を書く。
「じゃあ、お願いしますね。別に日程とかは特に希望無いので適当なタイミングで送ってください。」
「はいよ、でな・・・」
おばちゃんが声を小さくして俺に顔を近づけていった。
「さっきからあの3人がずっとあんたのこと見てるよ、店出てからも気ぃつけや。」
「ぅん、大丈夫ですよ、おばちゃん。ありがとね。」
ニコニコした営業スマイル(他人用)を使い、おばちゃんまたねーと声をかけて店を出る。
すると追いかけるように出てきた3人の気配があった。
え~。間違っていたかなー。と思い、車が通っている店の通りから離れ、旅館とは反対方向の少し山側に入って何も無い場所に行く。そうしたら声を先ほどの3人が声をかけてきた。
「おいおい、こんな所に何しにきたんや。もしかして迷子になったんか?」
きたー。完璧に絡まれた。
んー、どうしようかなー。普通に謝って返してもらおう。
そう思い、振り返ると3人がニヤニヤしながらこっちを見ている。
気持ち悪ぃな、顔が。
「んー、少し迷子になったみたいです。さっきのお店に戻ろうと思っているんですけど教えていただけますか?」
すると不細工トリオの一人が
「教えてもええぞ。」
あまり期待しないで待ってたら
「さっき来た道を戻ればええんや。」
この発言の後、割と丁寧に道を教えてくれた。
もしや、これは大丈夫かと思い、不細工トリオから通り過ぎようとしたら
「でな俺らも助けてほしいことがあるんだよ。」
不細工トリオの一人が通り過ぎた後に言ってきた、もう俺は通り過ぎて見ることすらしなかった。
すると気配が変わった。
俺はすっと躓いたように見せかけて横に移動した。
「なっ!」
殴りかかってきたやつは多いによろめき態勢を整える。
俺はため息をつきながら振り返る。
「すいません、大丈夫ですか。」
不細工トリオは一瞬焦っていたが俺が躓いたように見えたので安心したのか、野郎が一人話し始める。
「でな、助けてほしいって言ったのは財布の中身やねん。」
話の脈絡ねぇよ、ばかかこいつは、と本気で呆れてしまって俺は、そうですかとだけ答える。
「痛い目に合ぃとぉなかったら財布の中身くれんか?」
「すいません、さっき見てたかと思うんですけど、さっきたくさんお土産買ったので財布の中身からなんですよ。」
「嘘付けや、さっき覗かせてもらったけど、まだぎょーさんあるやろ。」
確かに今財布の中には10数万入っている。
めんどくせえなー、とか思っているとさっき俺に突っかかってきたブサトリオの一人が軽く頭を引っぱたいてきた。
「いい加減にせぇよ、俺はそんなに気が長くないねん。金出したらすぐに去ったるわ。」
俺は避けなかった、なぜならさっき躓いたように見せてたからここで避けるわけにはいかないのだ。更に言うなら威力は大したことないと判断したのだ。だから問題ないと思っていた。
が、
プチッ(何かが切れた音)
ブンッ!!!!!(足を振り回す音)
ゴッ!!!!(頭を引っぱたいてきたやつの顔に足が当たる音)
ズシャッ(頭が地面に落ちた音)
ん?今何が起きたんだ?鷹士は疑問に思いながら地面に転がっているブサトリオの一人を見下ろす。
「おまっ!なにしとんねん!!!!」
一人が突っかかってくる。
俺は本気で殴りかかってきている一人から距離を取り、
「どうしたんだよ、一体」
「お前がけり倒したんやろが!!!」
本気で走って来ていて俺は後ろに下がっていたので容易に追いつかれる。
ちっ、と舌打ちをしながら相手が右手を乱暴に大振りで殴りかかってくる。
俺は殴りかかってきた右手を左手で右に受け流し、体を回転させ、ひねりながら右ひじでカウンターを的確に顎に入れる。
意識を持っていかれたブサトリオ二人目が地面に落ちる。
「お前強いなー、なんか武道でもやってたんか。」
「うるせぇよ、答える必要なんかねえだろ。お前はなんだ?ボクシングか?」
ピクッと体が動いた。男は一瞬戸惑っていたがすぐににやりとして言った。
「ようわかったな。じゃあ勝てへんってことはわかったか?」
あ?こいつは何を言ってんだ?と頭の上にハテナが出ているところに3メートルぐらいの距離を一瞬でつめてきて殴りかかってきた。
唐突だなー、と思ったが
遅ぇよ。
俺はぎりぎりで避けて次の攻撃を見る、正確には相手の筋肉だが。
相手の筋肉の動きを見ればどこから攻撃が出るか大体わかる。
特に半そでの時にはどっちの腕に力が入れているのかが手に取るようにわかる。
相手の二発目がくる気配がなかったためスッと俺は後ろに離れて相手の射程県内から離れる。
「お前やるなー、ほんま格闘技とかやっとったやろ。」
攻撃は初撃のみで2発目はしてこなかった。
舐めてんな、こいつ。
俺は舐められたことに完璧に頭にきて言ってしまった。
「オイ、不細工。誰に対して油断してるかわかってんのか?お前今ので俺を傷つけられなくなったぞ。覚悟しろよ、不細工。」
「あぁ!?お前こそわかってるんか!俺はこう見えてもジム行っててプロとも戦ったことあるんやぞ!」
「勝ってから言えよ、不細工が。」
「お前ボクシングをやっとるやつがグローブつけないで人殴ったらどうなるか知ってるんか?」
「しらねぇよ、不細工。」
「不細工、不細工うるさいわ!!!お前の顔面殴りまくってぐしゃぐしゃにしてやるわ!!!」
そういった不細工はすぐに距離を詰めて来て、ジャブも何もなしに、俺の顔を狙っていきなりストレートを放ってきた。
俺は何も言わずに右手を出して相手の右手を受け止めた。
「は!?」
「覚悟しろよ不細工。」
相手は何を言っているかわからないと言うような顔をした。
俺は左手で相手の横腹にフックを入れる。
そんなに強く殴ったつもりは無い。
予想以上にめり込んで相手がぐっ!と言ってひざが折れる。
同時に俺が離すと相手は正座する形になって崩れる。
「ぐがっ....、てめ、」
「うるせぇよ、不細工、立てよ。」
俺は胸倉つかんで無理やり立たす。
「やめてくれよ、俺大会前なんだよ。」
「わかった。」
俺は手に入れていた力を緩める。
相手は安堵した表情になる。
そこで一言。
「手足は勘弁してやる。」
「えっ?」
俺はそこから気絶しないようにしっかり腹と顔面に世間の厳しさを叩き込んだ。
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「「「すみませんでした!!」」」
「次から気をつけろよ、不細工トリオ。」
「はい!それでは失礼します。じゃあさっさと行け。2度と声かけてくんじゃねぇ。」
「「「はい!失礼します!!」」」
速攻で去っていた不細工トリオを3人を見送り、俺は携帯を見て11時半を回っているのを確認して独り言を言った。
「お土産しか買ってねぇ。」
まぁ、いいや。腹減ったし旅館に戻るか。
そう思い、帰路につく。
ありがとうございました。
部活は午後から参加と言うことで別行動をしたらこうなってしまいました。
不細工トリオは今後出番があるかもしれません。