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〔Side.B 三人称〕
祐介が死んでから数日が過ぎ去った。
心のなかにぽっかり空いた傷口は、少しずつだが確実に埋まっていく。そうやって、後には薄皮を被せたように傷跡だけが残っていく。
感傷に浸りたかったが、残念ながら彼にそんな暇はなかった。金がいる──そう思って必死に働いた。
秋はすぐそばにまで忍び寄っていた。
夏が終わってしまえば、もうマキに会えないかもしれない。その事実が彼を焦らし苛つかせる。
朝から晩まで働く──それならいっそう就職した方がマシではないか?──マキと家庭を持ちさえすれば、この苦しみから抜けだすことができるのではないのか?──誰かが頭のなかで囁き続ける。
神はそれを奪う──その言葉が頭から離れない。
呪文のようなその言葉──まるで呪いのようだった。10年前の約束も気になってしょうがない。
不安に押しつぶされそうになりながら毎日働いた。
そんな日の夜に限って、今は亡き友人──祐介とのバンドの演奏を思いだし──彼はひとり──涙ぐんでしまうのである。
10年前のあの夏、三人のバンドは、人生のなかで最高の演奏をしていた。彼は思いだす。そうだ。確かに、なにか約束をしていた。
8月14日のあの奇行の後、なにか大切なことを四人全員で誓ったような気がする。そして確かもうひとりの人物に自分たちのラストソングを歌わせたような気がするのだ。
だが約束の内容も、もうひとりの人間が誰であったのかも、彼はまったく思いだせずにいた。顔も名前もなにもかもが、嘘のように覚えていないのだ。もしかするとユースケは、その約束を果たすことができなかった為に、呪い殺されてしまったのかもしれない。
もしもそうだとすると、次に死ぬのは──死相が出ている──自分の番になる──




