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…
ピピピピピピピ ッ!
朝になった。
「んー!」
俺は目覚ましを止めて顔を洗いに行く。
母さんがテレビでニュースを見ていた。この近くで人が刺されて殺されたらしい。犯人はまだ捕まっていないみたいだ。物騒だなあ
…
母「…うーん。」
「母さん、おはよう!」
母「あ、おはよう●●。今から朝ごはん作るからね。」
「いいよ、俺がつくるから。」
母「本当に?それじゃあ食パンを焼いてもらえる?それからお湯も沸かして。」
「はーい。」
俺は台所へ向かった。六枚切りの食パンを二枚取り出してトースターに入れる。チーンと音が鳴ったらそこにバターを沢山塗って出来上がりだ。
「…すっかり慣れたもんだな。」
出来上がるまでにお湯を沸かす。母さんがよく飲んでるあのコーヒーを淹れてあげよう。きっと喜ぶ筈だ。
「母さん、出来たー!」
母「ありがとう、●●。」
俺はバターの香りが広がる焼きたての食パンを貪りながらそれを牛乳で飲み干した。
…
「それじゃ、学校行ってくるよ!」
母「気を付けてね。…帰りはお友達と帰るのよ。」
「大丈夫だって!行ってきまーす!!」
母「行ってらっしゃい!」
俺は重い鞄を背負って学校へ向かった。
「さて、どこで処分するかなあ。」
…
…
キンコンカンコーン
着いた…
校門の前で腕組みしている先生に軽く挨拶して学校に入った。
上履きに履き変えて階段を上り教室に向かう。
教室の中に入るとまだ一人しか居なかった。思いの外早く着いたようだ…。ホームルームまでまだ20分程ある。よし…。
俺は鞄から紙と鉛筆を取り出した。昨日の晩、寝る前にし忘れた作戦をしよう。
鉛筆でナイフを描いた。
…
人を刺して血が付いたナイフ、服とて袋をそのままゴミ箱に入れるのは不味いよな。指紋や血痕でシッカリ証拠が出るかもしれない。もし、ゴミ箱に入れたら警察はすぐに俺のもとへ辿り着くはずだ。… 山に埋めるか。埋める場所はあの複雑な山にすればバレないか…。いや、同じ場所はさすがに危ない。あの鞄は?アレには血がついてない…。でもアレが決め手になるかもしれないよな。
夢中になって紙に絵を描いていると、クラスメイトの男子が話し掛けてきた。
…
生徒1「何やってんだよ●●〜〜!ん、 何これ?おまえ落書きしてんの?」
「うん、落書き。今さ すっげー頭使うゲームやっててさ、クリア出来なくてその作戦考えてた。」
生徒1「へー!!どんなの?なんてゲーム?…俺も考えさせろって!!」
そいつは俺の書いた証拠品の数々を見てとても興味津々のようだ。仕方無い…。
「しつこい敵から宝物を隠すゲームでさ、ゲームの名前は多分言っても分からないと思うよ。…そうだ○○君ならその宝をどこに隠す??」
生徒1「はあー??そんなの知らねー。」
「…。そっかー。」
するとそいつは突然笑い始めた。
「そうだなー、俺なら絶対見つからない底なしのウンコの中に隠すかな。臭くて誰も近寄らねーじゃん。」
そいつはそう言うとトイレに向かった。
「…沼の中か。」
…
四限目が終わった。休み時間がもうすぐ終わる、給食の時間だ。
「あ…!そうだ、給食当番だった…。危ない、忘れるところだった。」
今日の献立は…、豆がたくさん入ったカレーとあの冷めたとり肉か。俺はため息を吐きながら自分のクラスメイトを見渡した。可哀想に。こいつらが罪人にみえてきた…
「いや、罪人は俺の方か。」
…俺は自分の席に座った。
生徒1「●●君ってさー、部活やんないの?」
「うん、やらない。自分の時間を潰されたくないから。」
生徒2「●●君、この鶏肉食べてくれない?」
「いいよ、あとなにか食べてほしいものある?」
生徒3「●●君って、将来何になりたいの?」
「俺?vtuber。」
…
キンコンカンコーン
六時限目が終わった。
先生「…今日のホームルームはここまでです。なるべく友だちと帰るように。暗い道や人の少ない所には一人で入らないように。何かあったら大声で助けを呼ぶこと。分かりましたね?」
先生が、生徒たちに注意を促している。さよならの挨拶が終わってようやく下校の時間になった。俺は鞄を背負って一人で帰る。太陽は雲に隠れてよく見えなかった。
…
家の前に着いた。
ガチャ
「ただいまー!!」
「…」
何だ…、誰も居ないのか。俺はスマホを確認する。母さんからラインが来ていた。
【お買い物に行ってきます。冷蔵庫にお菓子があるからね。しっかり手を洗ってから食べるように!】
…
俺は返事を返した。
【いつもありがとう母さん。】
俺は冷蔵庫からお菓子を取りだして食べる。カーテンから冷たい風が入ってくる。何だか雨が降りそうだな。




