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俺の趣味、そんなものはなかった。俺は昔から頭が悪かった。学校での成績もいつもクラスの最下位。そんな俺にもできる事はあった。人を殺すことだ。
起立!
礼!
おはようございまーす!!
生徒たち「おはようございまーす…」
先生「声が小さい!やり直し!!」
朝の8時半、学校の朝礼の時間だ。
やる気のない声にキレてる先生、大きな声を出す生徒、出さない生徒。出してるフリをしてる生徒、鼻くそほじってる生徒。実に最高だ。この馬鹿馬鹿しさが俺は大好きだ。
先生「はーい、英語の小テストを配りまーす。」
生徒1「やだー!!!」
生徒2「きたあああ!」
生徒3「ああああああああー!!」
前の席から紙が回ってきた、後ろの奴へ回す。今から小テストの時間だ。勿論俺はテスト勉強なんてしていない。何も書かないし、何もしない。名前すら書かない。後は寝ていればいい。
先生「はい、それじゃあ一番後ろの人は集めてきて下さーい!!」
俺は白紙の紙を渡して、あくびをしてからもう一度寝た。こんな物には何の意味もない。俺の夢、俺が将来なりたいものはもう決まってるんだ。
生徒1「なー!!テストどうだった!」
生徒2「ぜんぜん無理ー!」
生徒3「最後のところムズかったよなー…。」
この後は授業の時間だ。一時限目は体育か、面倒臭いな…。だけど毎日体は鍛えてるから問題ないな。軽い準備運動だと思ってやるか。二時限目は数学か、また意味のないものがきたな。適当に寝てサボるか。…
三限目… 四限目は…
キンコンカンコーン
授業が終わった。給食の時間だ。今週は給食当番だったか、…仕方ない。こいつらに臭い飯を用意してやろう。しかし、今日も務所の飯みたいだ。一体どんないかれた奴らが作ってるんだろう… 俺は給食を並べて、着替えてから自分の席についた
生徒1「ねえ、●●君ってさあ。休みの日何してるの〜?」
「ゲームとかしてるよ。ヒマな時はYouTube見てる。」
生徒2「●●君って、好きな音楽何?」
「最近流行ってるアレ、よく聴いてるかなー、○○○とか。」
生徒3「●●君って好きな女子いるの?」
「いないよ。おまえはいるの?」
キンコンカンコーン
五時限目の科学が終わった。今日は早めに帰れる日だ。後はホームルームで解散か。良かった。
俺は鞄を背負って一人で家に帰る。太陽が眩しかった。
「ただいまー!!」
母「おかえりなさーい!!… 小テストどうだった?」
「うーん、どうだったかなー。」
母「あなたはやれば出来る子なんだから、…頑張ってね。」
「あの、母さんごめん!このあと友だちと待ち合わせしてるから。すぐ行くね!」
母「はいはい、ご飯までには帰ってきてよ。」
俺はカバンを下ろして、部屋から白いカバンを取り出した。家を出て早足で駅に向かう。
…ふう着いた。
「今日はここまで行こう!!」
俺は電車にのった。電車の中はスマホを持った大人でいっぱいだ。立ったまま電車のドアに映る自分をみつめる。
「よし、ふつうにみえるな。」
四つ先の駅で俺は降りた。本当はもうすこし先に行きたかったけど、それは諦めるしかなかった。これ以上先へ進むとお小遣いが足りなくなるからだ。
駅を降りてまず息を吸い込む。さて、俺の夢の時間だ。
…
「なるほどな。こういう感じか。…。」
人を殺すには丁度いい場所だ。ネットでしっかり調べて来たのは正解だった。とにかく暗い場所を探す。そういう場所に獲物が沢山いるからだ。この辺りは商店街で大人や子どもが溢れている。つまり、それだけ人を殺せる可能性が高いってことだ。だけど、もう少し暗くなってからの方がいい。その方が見つからない可能性が高いからだ…。俺はしばらく商店街を探索した後、駅前で見つけた公園まで戻った。ブランコを漕いで時間を潰そう
…
「今何時だろう。」
スマホを取りだして確認すると六時半だった。辺りはすっかり暗くなっている。
「しかし寒いな。もうすこし着込めば良かったかな…。」
俺は白い鞄からナイフを取り出して底だけ破いて広くしたポケットに入れる。
「まだ5月だもんな…。そんなこと気にしてても仕方ないか。」
俺は人でうるさい商店街へ向かった。さっき見つけた暗い路地を探す …あったぞ、ここだ。…人が居る。
しかも寝ている奴がいる。…
…
俺は一度明るい場所に戻って、作戦を練る事にした。先ずはアイツでいいのかどうか。次にどうやって殺すのか、最後はどうやってバレずに家に帰るかだ。…
「ヤバい、…興奮してきた!」
心臓の音がうるさい。頭の血を落ち着かせるんだ。一撃で確実に仕留める、絶対の絶対に一撃だ。
先ずはアイツの首にこのナイフを思い切りぶっ刺す。…それから、えっと…。…自然に駅のホームに向かうんだ。お前ならできる。体は毎日筋トレして鍛えてるだろ!!
「ふぅー!!ふぅ!ふぅ…!!!すううう…」
俺はさっきの暗い路地に向かった。周りには誰もいない。俺は道で寝ている面識すらない中年のおじさんに近付いた。
「…!!!!」
神様が降りて来たきがした。
おじさん「…うっ!!ァ!!!!!」
刺した!刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した刺した!刺した!はいった!刺さった!!ナイフが入った!!!
俺はおじさんの首からナイフを引き抜いて、早歩きでその場を離れる。っ…。よし、ナイフをポケットにしまって駅に向かうんだ。…悲鳴は聞こえない。まだ誰の悲鳴も聞こえない。
「うっ、ぷはっははっ…う、あ。」
笑いが込み上げて来る。だめだ!!今笑うのは絶対にだめだ!!!気付かれたら終わりなんだぞ。踏ん張れ!踏ん張れ俺!!!
駅についた俺は何事もなかったように駅のベンチに座った。そして何事もなく電車に乗って普通に家に向かった。
スマホを持った大人がいっぱいだ。立ったまま電車のドアに映る自分をみつめる。
「…また成功しちまった。」
…
震えが止まらない。
…
「ただいまー!!」
母「おかえり!…もうご飯できてるわよ。」
「ごめん。ちょっと友達と盛り上がってて、遅くなっちゃった!」
母「分かったから、早く手を洗ってきなさい。」
「はーい!」
俺は自分の部屋に向かう。そして着ていた服を全部脱いだ。
「血がついてるのは、ここと、ここだったな。」
俺は上着とて袋を袋につめ込んだ。
「あとはこのナイフだな。…この鞄は捨てた方が良さそうだな。」
… ガサガサガサ
「ふぅ、とりあえずこれでよし…。」
母「ちょっと何してるのー!!冷めるわよー!」
「はーい!」
俺は新しい服に着替えて、すぐにダイニングに向かった。すっかりお腹が空いた俺はとりあえずご飯を食べることにした。今日は唐揚げだった。
…
お風呂から上がった俺は、水を飲んで自分の部屋に戻る。時計を見ると九時だった。
「もう寝る時間か…歯磨きは済んだし。明日の用意も大丈夫だな…もう寝よう。」
布団をかぶる。…温かい。…とても気持ちいい。
俺はスマホでYouTubeを見ながら動画の音声を上げる、そして、あの刺した感覚を思いだす。
「ぷっ。わっはっはっはっは!!!!」
母「もう寝なさーい!」
「…」




