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フシノカミ  作者: 雨川水海
特別展『断章』

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新人店長クイド

【伝説の羽 クイドの断章】

 行商をしていると、色んな土地を見るし、色んな人を見る。

 元々サキュラ領内で俺が担当している村はほんの少しだったが、それでも村ごとに違いがあり、村に住む人も違う。

 農村なんて、皆が大体同じような生活をしているんじゃないかと思うのだが、それでも違いがある。

 ふとそういうことを考えて、不思議なものだと首をひねることが増えた。

 もっとも、皆が違う人間だから当然だろうなと、すぐに納得が追いついてきたりもする。


 こういうことを考えるようになったのも、ノスキュラ村のアッシュ君と出会ってからだ。

 いや、あの人との出会い自体はさらにさかのぼるんだけど、なんていうか、ほら、あれだ、アッシュ君の本性と出会ってから、というか……。

 ちゃんと一人一人、お客様に向き合わないとどんな目に遭うかわかんないよね、って心臓の奥の魂の底まで思い知ったからね……。


 まあ、そんなわけで、心の中に住み着く魔王アッシュ様に誠実な商人であることを今日も今日とて宣誓して、定例の行商へとやって来たわけだ。

 今日の行商先は、水車を修理したあの農村である。


 いやー、あの時は大変だった。

 水車の修理代は、村にとって重たすぎる負担だ。それを任される責任も重いこと、重いこと。

 あの一件があったから、お店は持てたし、ネイヴィル殿のおかげで商人としての立場も強くなったし、成長できたと思うんだけど、振り返るとやっぱり大変だったなぁ。


 この村に来て、ゆるゆるのんびり回っている水車を見ると嬉しくなるよ。

 村の人達も、前より優しくしてくれるしね。

 荷馬車を開いて商品を並べていると、男の子を連れたお父さんがやって来る。顔馴染みの親子だ。


「いらっしゃい、アコイさん。それにコロイ君も。元気そうだね」


 笑って声をかけると、コロイ君がびくりと震えた後、ぎこちなく頭を下げる。


「お、今日はわたしの顔を見てちゃんと挨拶できたね。えらい、えらい」

「クイドさんが褒めてくれたぞ、よかったな、コロイ」


 お父さんのアコイさんは、息子さんの頭を撫でながら、ちらっと向けた視線で申し訳なさとありがたさが半分半分の苦笑を送ってくる。

 コロイ君、頭は下げたものの、声を出して挨拶してないもんね。失礼な態度といえばそういう風にも取れる。

 大丈夫ですよー。コロイ君には精一杯な挨拶だったのはわかってますからね。


 この子、めっちゃ人見知りなのである。

 買い物に来る時はいつも両親の影に隠れていて、話しかけるなんて絶対しない。だから、コロイ君の声は聞いたことがない。

 驚くべきことに、ノスキュラ村の無口代表、猟師バンさんより声を聞いたことがないんだよ。すごいよね。


 そんな子が、顔を見せて一礼したのである。

 立派な挨拶だと感心しても、失礼な態度だと怒るところはどこにもない。

 成長してるんだなぁ、この子も。微笑ましいくらいだ。


「今日は親子でどんな買い物です? コロイ君の調子が悪そうにも見えないですし、お薬とかではなさそうですけど……?」

「ああ、コロイの調子は大丈夫だ。もうすっかり元気で、ここのところは熱も出てない」


 それはよかったと頷く。

 コロイ君、小さい頃からちょっとしたことで熱が出ちゃう子で、よく解熱剤を買いにご両親がやって来たのだ。


「コロイ君も十歳過ぎましたもんね、体も丈夫になったんでしょう」

「いや、クイドさんのおかげだよ。カンゾ村から薬をもらって来てくれたから」


 もらって来てはないかな! ちゃんとお薬代は頂いているんで、普通に商売です。

 その辺、この新生クイドは適正取引を心がけているので、手と首を振って否定しておく。


「ちゃんとお金を頂戴していますし、カンゾ村の薬師さん達にもお金をお支払いしています。ええ、普通の商売ですから」

「そうは言うがな、クイドさん。あんたならずっと解熱剤を売ってるだけでよかったはずだ。それをわざわざ、コロイのことを調べて、カンゾ村で相談して、新しい薬を持って来てくれた」

「いやー、あれは向こうの薬師さんが、自分達の薬が本当に効いているか気にされていたので、その報告をしていたら、その流れで、ですね。わたしは頼まれてた報告してただけですよ」


 コロイ君の体調不良。あまりに頻繁だし、長い期間だし、単に体が弱いってだけなのか、とカンゾ村のケイシ神官が気にしてたんですよね。

 それでクララさんとケイシ神官が調べたら、どうも寄生虫が原因の発熱じゃないかって可能性が浮かんだそうで、それで新しい薬を処方した、という流れだ。

 俺がしたことは移動と商品の売買だけ。行商人としての普通の仕事だけなんだよ、ほんと。


「でも、あの時は水車の修理のこともあって、ずいぶんと忙しかっただろう?」

「忙しかったのは確かですけど。でも、水車の件でこの村に来れば、ついでに済ませられるので」


 なんかこの件、アコイさんからめっちゃ感謝されてるんだよね。

 いやまあ、大事な息子さんの健康を取り戻した、といえば感謝されて当然なんだろうけど、本当に仕事の一環で片付いたことだからなぁ。

 薬代も適正価格というか、変な値引きもしてないし。


「まあ、商人をきちんとやっていれば、これくらいできるってことですよ。あんまり気にしないでください」


 お礼はコロイ君が元気になった時にもたっぷりもらってるから、マジでもらいすぎになりそうだ。

 感謝の気持ちってタダだけど、時にタダより高いものはないってこともある。

 アッシュ様への借りとか。


「どうしてもって言うなら、ノスキュラ村のハーブティーでもいかがです? これ飲んでると風邪をひきにくいので、コロイ君にもいいと思いますよ」

「ああ、それはいいな。買わせてもらう……けど――」


 アコイさんがコロイ君をちらちらと見る。

 まだなにかあるのかな?

 首を傾げて待っていると、もじもじしていたコロイ君が、ぎゅっと唇に力を入れて前に出て来て、ばっと両手を前に突き出して来た。


「……手紙?」


 そういえば、前の行商の時にちょっといい紙を買っていたことを思い出す。


「おぉ、もう字を覚えたんだ。すごいね、コロイ君」


 とりあえず、差し出された手紙を受け取りながら褒める。

 行商人の仕事の一つは、こうした手紙の配達も含まれる。農家の人から手紙を預かるのは珍しいし、ましてやコロイ君みたいな小さい子からの手紙なんて――アッシュ君やマイカちゃん、ルカちゃんから結構預かるな。

 でも、まあ、なんだ、ノスキュラ村は色々と例外だよね。


 とにかく、ノスキュラ村以外では中々珍しいものを預かった。

 どこの誰宛の手紙だろうかと宛名を確認すると、ややぎこちない流れも読み取れる文字で、「クイド」とある。


「わたしに?」

「あ、ありがとう、ございました……っ」


 超びっくりした。

 コロイ君が手紙を書けるようになってることも。

 コロイ君から手紙をもらったことも。

 コロイ君の声を聞いたのも。

 コロイ君からなんか感謝されたことも。

 とにかく全部、超びっくりした。えっと、なにがどうなってるの?



****



「ということがありましてね」


 領都イツツのお店に帰って来て、ネイヴィル殿に今回の行商の報告をする。

 商売上の話はサクサク終わったので、今はネイヴィル殿が淹れてくれたお茶を飲みながら、雑談に移行している。


「その少年のお手紙というのが、そちらのものなのですね。少し失礼いたします」


 テーブルを挟んで向かい合うネイヴィル殿が、手を伸ばして手紙を拾う。うん、指先までとても綺麗。

 カンゾ村でもアロエ軟膏が作られ始めたので、日頃のお礼にプレゼントしやすくなった成果が出ている。


 今度、指輪とかプレゼントしてみようか。あの綺麗な指先に視線が行くようにすれば、アロエ軟膏の効果の宣伝にもなる。

 指輪をするならアロエ軟膏で綺麗にしなくちゃ、みたいな売り方ができるかもしれない。

 一つ商売の種を脳内で植えている間に、ネイヴィル殿が手紙をテーブルに戻した。


「字の形はまだ荒いですが、十分に読める文字です。そうですか、これを農家に生まれた子供が……。今期の軍子会の件といい、時代の変化を感じますね」

「まったくですね。農村の子供が字の読み書きができるなんて、十年前の自分に言っても信じたかどうか」


 絶対に信じなかっただろうな。

 いや、一人二人はそういう人がいたとしても、「それはその人が特別でしょ」と決めつけたに違いない。アッシュ君のことだって、あの子だけが特別だと思っていたものだ。


 でも、今の俺は違う。

 なんたってノスキュラ村の教会で、どんどん読み書き計算ができる子達が出て来てるからね……。

 全員ではないにしろ、やればできるんだよ。まあ、この場合の「やれば」は本人のやる気とか能力以外にも、教える側がやらなきゃいけないこともあるわけだけど。


 それはそれとして、アッシュ君はやっぱり特別だと思ってるけどね!


「ところでクイドさん」


 ネイヴィル殿が、お茶のお代わりを注いでくれながら、テーブルの上の手紙をちらりと見る。


「その少年の、コロイ君ですか。ずいぶんとクイドさんに感謝しているようですが、一体なにをされたのですか?」

「う~ん? 特別なにかしたってつもりもないんですけどね。普通に商売していただけなんですけど」


 ていうか、それ以外にできることないし。あ、このお茶美味しい。蜂蜜たっぷりだ。

 行商帰りの疲れた体に、蜂蜜増量は嬉しい。思わず頬が緩む……と、なんかじっと視線を感じる。


「ネイヴィル殿?」

「……失礼いたしました。蜂蜜の量、お好みでした?」

「ええ、とっても。普段はそうでもないですけど、疲れてる時はこれくらい甘いと幸せですね」

「では、今後もお帰りになられた時は、このお茶にしましょう」


 え、やったー!

 いやぁ、贅沢だなぁ。

 蜂蜜多めもそうだし、執政館で働いていた侍女が淹れたお茶を飲めるのなんて、執政館に呼び出された時ぐらいだもんね。

 それが行商帰りに待ってると思うと……うん、幸せ。


「ありがとうございます。ぜひ、これからもよろしくお願いします」

「はい。こちらこそ、これからもなにとぞ」


 ニコニコしてお礼とお願いをすると、ネイヴィル殿も柔らかく笑み返してくれる。

 ……帰って来る場所があるっていいなぁ! ほんと、いいなぁ!


「ところでクイドさん」


 なんかさっきと同じセリフで、ネイヴィル殿がまたまたたずねて来る。


「普通に商売をされていただけとのことですが、具体的にはどんな商売をされたのでしょう。コロイ君の感謝の熱量が強いのが気になるのですが……」

「コロイ君、体調を崩しがちだったので、そのお薬ですね」


 一番感謝されてそうなところを答えると、ネイヴィル殿もなるほどという顔で頷く。


「後は……多分、体調を崩しがちだったのとちょっと関係あると思うんですけど、コロイ君、結構な人見知り……いや、はっきり言うと、極度の? 人見知りでして」

「そんなに?」

「ええ。これまでも毎回のようにご両親について買い物に来てたから顔は合わせていたのですが、今回の行商で初めて声を聞いたっていうくらい、極度です」

「そんなに」


 ええ、そんなに、なんですよ。バンさんが喋った時以上の衝撃でしたよ、あれ。

 つまり、アッシュ君でもびっくりするやつ。


「まあ、コロイ君の場合、仕方ないかなと思うんですけどね」


 コロイ君の人見知り、想像するに体調不良と関係があるんだと思う。

 小さい頃から熱がよく出るせいで友達と遊ぶ回数が少なくなって、人付き合いの練習が足りなかったとか、ありそうじゃない?

 子供の頃って体が弱い、体力がないって結構バカにされるし。


 あのアッシュ君でさえ、村にいた頃は大人しかったから、同年代の男子から甘く見られてるところがあったと思う。

 まあ、アッシュ君は大人しくしていただけで、体が弱いわけでも心が弱いわけでもなかったけどね!

 魔王が魔王であることを隠していただけだもんね! あれはもう間抜けな獲物を油断させるための擬態だよ……。


「それで、その人見知りからくる口下手を、ご両親は大層心配していてですね」


 ネイヴィル殿が当然のことだと頷く。そうだよね、他人から見ても心配になるよね。

 ご両親が心配するのは当然だ。


 それで、薬の件もあるし、普通の商売よりも長く話をするようになった俺に、ふとご両親はその心配を漏らしたわけだ。

 相談ってほどでもなかったと思う。仲良くなって、信頼関係もできたから、何気ない日常の不安をちょっとだけ零した。

 助けてくれとか、そういう意図はなかったと思う。

 息子が体調を崩すことも少なくなったし、これからはちょっとずつ外に向かって行けるようになってくれればいいなぁ、みたいな。


 そんなご両親の希望を聞いて、俺は即座にノスキュラ村の無口すぎる猟師を思い出したね。

 あの人、今やマジで一言も喋らなくなった。文字で意思疎通するようになったから。


 教会の前で、地面にがりがり文字を書いてルカちゃんと談笑してる姿はだいぶ異常だよ。

 そこにジキル君とターニャさんも混じって、教会前の地面が文字で埋め尽くされると、なんか怪しい儀式でもしてるのかって思っちゃうもん。

 完璧に奇行だよ、バンさん……。


 でも、その奇行でできた文字を見て、村の人達も勉強になってるところがあるみたいで、誰も止められなくなってるんだよね。

 あのユイカ様が困った顔してるのって相当だと思うよ、バンさん……。


 とにかく、まあ、口下手っていうか無口っていうか、とりあえず声を出しづらい人ときたら、俺が思い浮かぶのはまずそれなんだ。


「それでまあ、提案してみたんですよ。いきなり面と向かって声をかけるのは大変そうだし、文字を覚えて手紙とか、向き合わなくてもいい形から慣れさせてみたらどうですか、って」

「……すみません、ちょっとなにを言っているのか理解が……?」

「うん。まあ、ネイヴィル殿のその反応が正しいとは思います。うん、絶対正しいんですよ、普通はね」


 そりゃあね、面と向かって話しづらいから文字を覚えて手紙を書こうなんて、普通は思いつきもしないでしょうよ。

 だって、ほとんど全ての人が文字なんて読めないし書けないんだから!


 文字を覚えて手紙を書いたところで、誰がそれを読めるのか。

 大抵の人は読めないんだから、面と向かって話すための努力をした方がまだマシ。

 それが普通の考え。


 でもね、ノスキュラ村は普通じゃないんです。例外なんですよ!

 それを思いついて、実行して、実現しちゃった人がいるんですよ、あの村には!

 それに、コロイ君が普通かっていうのも、ちょっと怪しいところがあるし……。


「コロイ君の人見知り、だいぶ重たそうに見えたんですよね。それを考えると、普通の対応だと難しいかなって思いがありまして……。ほら、文字の読み書きができるようになれば、将来の稼ぎ方の幅って拡がるじゃないですか?」

「それは……そうですね。文字さえ書ければ、あまり人と接しない仕事ができる可能性はあります」

「体調を崩さなくなったとはいえ、体力がある方ではないですから。肉体労働がしづらいなら、知識はあった方がいいかなと思ったんですよ」

「それで、文字の読み書きを覚えてはどうかと提案したのですね」


 ネイヴィル殿が感心した眼差しで見つめてくるので、照れてしまう。


「いや、ははは。今、軍子会にいるアッシュ君を見ていれば、自然とこういう考えになりますよ。それに商売ですからね。文字を覚えるための絵文字カルタ一組、文字の勉強に最適だと売り込んで、きっちりとご購入を頂きました!」

「ああ、あの木の板の。表に文字、裏面にその文字で表すものの絵を書いてあるものですね。ノスキュラ村で使われているという」


 そう、ノスキュラ村発の教育玩具、クイド商会の隠れたオススメ商品の一つです!

 これ絶対売れると思うんだけど、いまいち売上が伸びないんだよね……。


「なるほど。あの木の板が売れたから、それで商売、と」

「そうです。しかも、あのカルタを使って文字が読める、書けるようになりましたーっていう実績ができたら、それも宣伝に繋がりますからね」


 我ながら素晴らしい商売をしたと思う。

 このクイド、順調に商人として成長しているぞ。


「多分、このコロイさんという少年とそのご両親は、クイドさんに商売以上の親切をして頂いた、と感じていると思いますよ」

「そうなんですかね? やたらと感謝されて、わたしとしてはちょっと心苦しいくらいなんですけど」


 赤字になってないから全然いいのに、感謝されすぎて戸惑うくらいだ。


「妥当な報酬かと。病気を治すために奔走しただけでなく、将来のことを考えてコロイさんの個性にあった道を示した。ご家族にはそのように見えていることでしょう」

「わたしの商売上、商品が手の届く範囲だっただけなんですけど……」

「ええ。クイドさんが優秀な商人だったからこそ、そのご家族は救われたのです」


 そう言われると照れくさい。特に、ネイヴィル殿ほどの美人さんに、それはもう優しい目つきで微笑まれると、とっても照れくさい。

 いかん、顔が赤くなっちゃう。


「あー、えっと、ネイヴィル殿。それでなんですけど、コロイ君のお手紙、最後の方の件はどうしましょう?」


 コロイ君、お手紙の最後に、うちの店で働きたいと書いてあった。

 こうして文字を覚えることができたし、計算も教会で習い始めた。一生懸命働くし、お給料なんて贅沢なことは言わない。憧れのクイドさんのお役に立ちたい。

 なんでもするから、お店に置いて欲しい。


 そんな感じ。

 あこがれ? お店持ったばかりで、商人としてまだまだ下の方なんだけど。

 激しく疑問だが、それはそれ、働きたいと言われたら無下にはできない。


 文字を覚えたら働き口が増える、ってご両親に言った責任も感じる。

 実際、お店を持ったので店員の確保は必要なのだ。

 でも、このお店が領主代行の肝いりである以上、お上のご意向に沿わない人材を内に入れることはできないんだよね。

 これまでも何人か希望者はいたけど、ネイヴィル殿の審査で弾かれている。正直、コロイ君だと厳しいかなと思うんだけど……。


「よろしいかと思います」

「え、いいの?」


 思わず素でびっくりすると、ネイヴィル殿が口元を押さえてくすりと笑う。


「はい。そうした経緯であれば、他の商会の手先や、他領の紐付きという心配はないでしょう。能力的には未知数ですが、やる気があるなら鍛えて伸ばせばよろしい」


 優し気に微笑んでいたネイヴィル殿の目元が、すっと細まった。


「ご安心を。人間、やればできるものです」

「あ、はい。そうですね」


 バティアール派閥は、侍女の教育が厳しいって評判がある。

 そして、ネイヴィル殿はバティアール派閥の侍女である。


 厳しいことになりそうだぞ、コロイ君。

 その覚悟があるならば、クイド商会は君を歓迎しよう!

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― 新着の感想 ―
クイドさんの話だ! 灰になった後のこの人の話好きだわ
後の○○支店店長である、ってね
厳しいことになりそうだぞ、ネイヴィル君。 その覚悟があるだろうけど、クイドはだいぶ鈍感だ!
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