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最終話? ひとまずのお別れ

「箱庭で異彩を放つ花 ローズ・レクチャー伝」をお読み下さり、ありがとうございます。

前回、お話した事情により、とりあえず完結となります。


注意)

この話には「異世界味噌」、「チート」ネタが含まれています。

「ねえ、みんなで何の相談しているの?」

「げっ、カスケード!」

私は思わず、部屋に侵入した人物の名を叫んでしまった。



「先生、何をおどろいているのですか?」

進入した女性は、柔らかいほほえみを浮かべながら、私に向かって声をかける。

「い、いや、驚いていないぞ。

絶対に!これっぽっちも、永遠に!」

私は、いつものように冷静な口調で返事する。


「先生(笑)の、話す言葉の意味がわからない」

「レフトス、いつものことだ、気にするな」

「そうでした、慌ててしまったようです。

先生(笑)ほどではありませんが」

レフトスとライトンが訳のわからないやりとりをしていると、カスケードが口を開く。


「とりあえずお腹がすいたので、夕食でもとりながら、話を伺います」

「わかりました、カスケード様」

「レフトス、私には様付けは不要よ」

「先生(笑)の大切なご友人を、呼び捨てになどできません」

「そうですね、カスケード様がいなければ、「魔法の基礎について」があれほど売れることは有りませんでした」

再び、レフトスとライトンが意味不明な言葉を発しているので、私は制止するために、言葉をつむぐ。


「ライトン、レフトス。

変な言い方はやめなさい。

あの本は、私が執筆し、カスケードが魔法監修を行っただけだ。

どちらが重要か、言うまでもなくわかるだろう」


「……」

「……」

レフトスとライトンは、表情を曇らせながら私を眺める。

「カスケード様が、先生(笑)の荒唐無稽なストーリーに合わせるために、ありとあらゆる魔法を紐解いて監修したのですよ。

他の人なら、先生(笑)の原作を床にたたきつけて、踏みつぶすところです」

「そうです。

カスケード様が、作品に必要な魔法を開発されたおかげで、この世界の魔法技術は100年進んだと言っても過言ではないのですから」

「まあまあ、落ち着きなさい2人とも」

レフトスとライトンをなだめたのは、意外にもカスケードだった。


いや、彼女ならなだめるだろう。

「気にしなくてもいいわよ、2人とも。

それよりも、目の前の少年は誰かしら」

カスケードは目を細めて少年を見つめた。

「初めまして、私はローズ・レクチャーです。

先生のご厚意で、住まわせて頂いております」

ローズは、カスケードに礼儀正しく挨拶をした。

「こんにちは、私の名前はカスケード。

よろしくね」

カスケードは目を細めたまま、ローズを見つめていた。

「カスケード様ですね、「魔法の基礎について」で魔法監修を務めておられたと伺っています。私の愛読書のひとつですが、先生とカスケード様との素晴らしい共同作業で産み出された奇跡だと確信しています」

「……共同作業」

カスケードはローズの言葉に、何故かうっとりとした表情を示す。


私は話の展開が危険な方向に進むことを危惧して、別の話を持ち出す。

「今日はどうした、カスケード?

「魔法の基礎について」の続編の話なら、私の執筆スケジュールが立て込んでいて無理と言ったはずだが」


「……。

久しぶりに、先生の郷土料理をいただきたいと思いまして」


カスケードの言葉に、ライトンとレフトスが驚愕の表情を示す。

いや、恐怖と絶望を顔だけではなく、身体全体で示していた。

「……」

「あ、あれを、また食べたいと……」

蒼白な表情の2人を無視して、カスケードは話を続ける。


「先生の、郷土料理はすごく独特で、たまに無性に食べたくなります。

私はこれまで、各地を旅したことがありますが、先生が作られる料理に匹敵するものに、いまだ出会ったことはありません」

「……。

出会わなければ、幸せでいられたのに……」

「先生(笑)には、せめて執筆だけに専念された方が、世界の幸せの為になるのですが……」

ライトンとレフトスは、ぼやきに近い口調で小さくつぶやいた。


「カスケード、よく言ってくれた!

締め切りなどとという、小さなしがらみを捨てて、自分の限界を超越した料理を作ろうではないか!」

私は胸を張って、カスケードに応える。

「先生、ありがとう」

カスケードは嬉しそうに微笑むと、ローズの方に視線を移す。

「ローズちゃん。

料理が出来るまでの間、話を聞かせてもらってもいいかしら?」

「先生の料理のお手伝いが必要だとおもいますが、……」

ローズは、申し訳なさそうな顔をして、カスケードに返事をすると、私に視線を移す。

「心配ないよ、ローズ君。

私の料理の作り方は、特殊でね」

私は、ローズに笑顔を見せると、

「私の魔法が、チート魔法であるゆえんを見せようではないか!」

魔王をも倒せるような自信を持って断言する。


「料理に、チート魔法を使用するなんて聞いたことがありません」

「執筆活動に生かせないのが、なんとも……」

「2人ともうるさい!

君たちは、テーブルの準備をしなさい」

「はい」

「かしこまりました」

私は、ライトンとレフトスに指示をすると、料理場へと急いだ。




「やっぱり、先生の作る料理は、美味しいわ」

「お褒めにあずかり、光栄です」

私は、カスケードからの賞賛の声に、恭しく返事を返す。

「先生には、このような才能もあるのですね」

「そうだよ、ローズ君。

作家たるもの、いろいろな経験が必要なのだよ」

ローズが美味しそうに、料理を食べているのを確認しながら話を続けた。

「私の郷土で使う味噌は、こんなにも素晴らしいのだよ。

本当は、もっと美味しい料理もあるのだけど、ふるさとでは作る機会が無かったからね。

残念だよ」

私は少しだけ残念そうな表情をした。


「先生(笑)、麹も無いのに、味噌を造るなんて、あんまりですよ!」

ライトンが、不満そうな口調で私に、言いがかりをしてきた。

「そこは、チート魔法でなんとかしてみた。

すごいだろう!」

「……。

先生、たった今、全世界の味噌業界を敵に回しました」

ライトンは死刑の宣告をする裁判官の口調で静かに話す。


「仕方ないだろう、この世界で麹から作ったりすると、毒性の問題や衛生面でいろいろと苦労するのだよ。

もとの世界のように、加工設備が無いから、時間がかかるし。

だからといって、毒消しの魔法とか使うのだったら、最初から私が持つチート魔法を駆使した方が早いだろう?」

「……」

私の鮮やかな弁論に、ライトンは口を閉ざすと、今度はレフトスが文句を言い出す。


「先生(笑)の、味噌の製造に関する問題点については、大目に見ましょう。

チート魔法の使用についてもです」

「ならば、問題ないだろう?」

私は何を言っている?という口調でレフトスに問いただす。


「ええ、大問題です。

先生(笑)は味噌業界だけでなく、日本全体やインドを敵に回しています」

「インド?

何の話だ?」

私はレフトスの話について行くことが出来なかった。


「本当に解らないのですか?

普通匂いで解るでしょう!」

「すまないが、はっきり言ってくれ。

私は今、鼻の調子が悪いのだよ」

私は、両手を前に出して降参のポーズをする。

「食べてみたら解ります。

先生(笑)の作った味噌料理がどんな味であるかが」


「この魚の味噌煮に、問題があるのか?」

私は、一切れ口に含んだ。

「……。

これは、カレー味だな」



短い間でしたが、最後までお読みいただきましてありがとうございます。


前回の説明のとおり、第3章以降の掲載交渉が不調に終わり、この「とりあえずの未完結編」で終了させて頂きます。

斑鳩茂市先生からのお話では、「このネタは、本来第三章第三話のネタです。第8章の最後まで出来てます。これから本気だす。味噌ネタは後悔していない」というお言葉をいただいております。

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